2021.04.21

春ツーリングのお約束はココ!<東北編>

春のお出かけにおすすめの場所を紹介するコラム。 ツーリングマップル東北掲載エリアの「春ツーリングのお約束はココ!」です。

著・賀曽利隆

三春の桜めぐり


「東北の春」で真っ先に目に浮かぶのは、「日本三大桜」の「三春の滝桜」(ツーリングマップル東北14I-3/関東甲信越98I-3)。 大きく枝を広げた樹齢1000年の枝垂桜が満開になると、その名の通り、まるで大滝が流れ落ちるかのようだ。三春滝桜が満開になるのは例年だと4月中下旬だが、今年は異常なくらいに開花が早く、4月の初旬に満開を迎えた。 三春は梅・桃・桜が一度に咲き競うところからその名がある。 周辺には枝垂桜の名木が何本もあるが、高度の違いによって開花はずいぶんと違ってくる。三春滝桜が満開の日に周辺の枝垂れ桜を見てまわったが、三春滝桜と双璧を成す地蔵桜はポツポツと咲き始めている状態。ここでは花桃も見られる。 国道349号の風越峠下の永泉寺には三春滝桜の妹樹があるが、こちらはまだ固い蕾だった。 三春の桜めぐりをしたあと、JR磐越東線の三春駅(ツーリングマップル東北14I-2/関東甲信越98I-2)のばんとうプラザで食べた「三春そうめん」は美味だった。 なお「日本三大桜」というのは三春の滝桜(福島)と山高の神代桜(山梨)、根尾の淡墨桜(岐阜)だが、神代桜は朽ちかけているので、実際には滝桜と薄墨桜の「二大桜」といっていい。

満開の三春滝桜(2012年4月26日)

三春の桜めぐり、三春滝桜は満開だ(2015年4月18日)

地蔵桜は咲き始め(2015年4月18日)

永泉寺の桜はまだ固い蕾

JR磐越東線の三春駅で「三春そうめん」を食べる

鳥海ブルーラインの雪景色


日本有数の絶景ルート、鳥海ブルーライン(ツーリングマップル東北109)は11月上旬から4月下旬まで冬期閉鎖になるが、冬期閉鎖解除直後に走ると、この季節ならではの雪景色が見られる。残雪の鳥海山と鳥海ブルーラインの雪の壁だ。路面にはまったく雪はないので快適に走れる。 2016年4月27日、冬期閉鎖解除直後の鳥海ブルーラインを秋田県側から走った。 標高893メートル地点の4合目までは路肩に雪はなかったが、ここを過ぎると雪の壁が見られるようになる。 標高1150メートルの5合目の手前では、まだ、たっぷりと雪を残した鳥海山が見える。 5合目の「鳥海山鉾立」(ツーリングマップル東北109D-4)の駐車場には見上げるような雪の壁。レストランは営業していて、ここで「力コンニャク」と「山菜そば」を食べた。 鉾立から山形県側を下っていくと、秋田県側よりもさらに高い雪の壁を見る。鳥海山を下った国道345号沿いには菜の花畑。一面の菜の花の向こうに見る残雪の鳥海山は目に残った。

鳥海ブルーラインの4合目。このあたりまでは雪はない

鳥海ブルーラインの5合目の手前から見る鳥海山

鳥海ブルーライン5合目の鉾立の駐車場。見上げるような雪の壁

鳥海ブルーラインの山形県側の雪の壁

山形県側の国道345号沿いの菜の花畑。その向こうに鳥海山を見る

奥会津で山菜を味わう


奥会津は山菜の宝庫。木賊温泉の民宿「若松屋」(ツーリングマップル東北7C-7/関東甲信越89C-7)は我が定宿で、春ツーリングで泊まったときの夕食には、ゼンマイ、ヤマブキ、ミズ、ヤマウドなどの山菜料理が出た。それとイワナの刺身。手打ちそばとそば餅の「はっとう」は美味。最後に舞茸ご飯が出た。 女将のえみ子さんに山菜採りに連れていってもらったことがある。驚かされてしまうのは、車を運転しながら、 「あ、あそこにワラビが、ウルイが、ウドが…」 といった言葉が次々に口をついて出ることだ。 新緑の奥会津の山々にはいろいろな植物が芽吹き、混じり合っている。それなのにどうしてわかるのですかと聞くと、 「食べられるものだけに目がいくんですよ」 という。山菜にはゼンマイにしてもウドやウルイにしても、似た種類が数多くある。間違ってそれらのニセ山菜を食べると、腹痛や中毒を起こすこともある。えみ子さんの目には、それらニセ山菜はまったく入らないという。これはまさに子供のころから奥会津の山々で山菜を採りつづけてきた人の技というものだ。

木賊温泉の民宿「若松屋」の夕食の山菜料理。上段左からゼンマイ、ヤマブキ、ミズ、下段左からヤマウド、ナメコ、ワサビ

イワナの刺身

手打ちそば

はっと(そば餅)

舞茸ご飯