2021.12.17

ツーリングマップル2022年度版 撮影旅日記【中部北陸(後編)】

今年の表紙撮影の様子をお届けしてきたツーリングマップルの撮影旅日記は、今回の中部北陸後編で最終回です。 なお、各エリアの撮影・取材で使用した車輌&用品の紹介コラムを順次配信中です。そちらも撮影日記とあわせてぜひ読んでみてください。

著・内田一成/撮影・盛長幸夫・内田一成

<表紙撮影2日目>


朝起きると、テントの内側が異様なほど結露していた。いったいどういうことだと思ったら、なんとフライシートの裏表を逆に張ってしまっていた。これでは夜露が内側に浸透して、そこに閉じ込められて結露するわけだ。 昨夜は、もうだいぶ暗くなりかけていたのに加えて、だいぶ疲れていて、それでテントの設営をしたので、確認が足りなかったのだろうが、45年もキャンプをしてきて、こんな凡ミスは初めてだった。 「こりゃ、歳だな……」 と、朝から少々ブルーな気分に。 しかし、そんな気分も爽快な朝の雰囲気に消し飛んだ。盛長カメラマンが、昨日の失態を挽回すべく? 頑張って仕込んだパスタとドリップコーヒーの朝食を堪能している間に、山の端を割って日が昇り、谷間に差し込んできて緑と渓流が映える。息を呑むほど美しい朝だ。 天気が良ければ、当然、写欲も湧くわけで、キャンプ風景からバイクや装備の写真と、ここでスタジオ撮影よろしく、たっぷり時間をかけて盛長カメラマンはシャッターを押す。

朝から撮影に気合が入る盛長カメラマン

キャンプを撤収して出発したのは、昼近くになってしまった。 飯田から伊那に北上して、権兵衛トンネル(ツーリングマップル中部北陸62C-2/ツーリングマップル関東甲信越35C-2)を抜けて木曽谷に入る。例年だと、木曽の宿場と観光客で溢れている時期だが、まだコロナのパンデミックが収束に向かうようには見えつつも不安要素として残っているので、ずいぶんとひっそりしている。しばし撮影して、今日のメインとなる走りの写真を撮るべく、R361を開田高原から御嶽山のほうに抜ける。

大展望の幻の池を目指すも、途中通行止めで諦める。それでも南アルプス前衛の山並みが雄大

伊那谷から木曽へと抜ける。宿場はひっそりとしている

キャンプとギアの撮影でだいぶ時間をとられたので、果たして日没前に撮影ポイントに行き着けるかと、少し気をもんだが、なんとかポイントとなる御嶽山中腹にたどり着くことができた。 しかし、肝心の御嶽山は雲の中。意気消沈して振り返ると、そこに、乗鞍岳が全容を現していた。光線もちょうどいい感じで、ワインディングを何度も往復して走りをおさめた。

R361を御岳方面へ。開田高原の白樺林の中の道が爽快

この晩は、御岳方面に来たときにはすっかり定宿となった「ビューおんたけ」(ツーリングマップル中部北陸71H-6付近/ツーリングマップル関東甲信越43H-6付近)に投宿。おだやかな老夫婦が営むこのペンションは、実家に帰ったかのようなアットホームな安らぎが溢れている。 「ビューおんたけ」の楽しみは、広く取られたダイニングの窓の外に広がるパノラマだ。それも窓全体を額縁にして、そこに御嶽山の全容が収まる形になっている。ペンションの名前そのままの景色が広がるわけだ。

<表紙撮影3日目>


撮影三日目の朝も、空は晴れて、その額縁に御嶽山が収まった。ゆったり朝食をとりながら眺めに浸る。 宿を後にして、バイクと御嶽山のツーショットをと思ったが、山の天気は気まぐれ。ダイニングでみた御嶽山は、展望台では半ば雲に隠れてしまっていた。

「ビューおんたけ」からの御嶽山

展望台まで来たが御嶽山は雲に隠れていた

そのまま高山まで一気に抜け、円空仏で有名な飛騨千光寺を拝観。素朴な円空仏の味わいに浸る。その後、高山名物の昔ながらの中華そばを老舗の「板蔵」で食べて、ここで盛長カメラマンと解散となった。

高山に抜けて、円空仏で有名な飛騨千光寺の円空仏寺宝館を訪ねる

旅の仕上げは、素朴な高山の中華そばで

<私が選んだ表紙写真ならコレ!>


今年の撮影画像から2022年度版表紙にするならこれでしょう、という2枚を選んでみました。

豊丘村の野田平キャンプ場での朝のキャンプ風景(ツーリングマップル中部北陸52G-5/ツーリングマップル関東甲信越22G-5)

乗鞍岳をバックにワインディングを駆け抜ける(ツーリングマップル中部北陸71E-6/ツーリングマップル関東甲信越43E-6)