2021.12.27

ツーリングマップル2022年度版の取材・撮影で使用した車輌&ウェア&用品類【中部北陸編】

今年のツーリングマップル中部北陸の表紙撮影&実走取材で使用した車輌&ウェア&用品類を紹介します。 ※掲載の情報は2021年12月現在のものです

著・内田一成・フィネス/撮影・盛長幸夫・内田一成

【車輌インプレッション】YAMAHA TRACER9 GT


今年、大幅なモデルチェンジで生まれ変わったトレーサー。2020年の取材の半分はトレーサー900だったので、その変化がはっきり体感できて面白かった。 前モデルは、アドベンチャーマシンブームの時流に乗って、どことなくオフロードテイストを残した大柄さが感じられたけれど、新型になってずっとロードよりの性格となって、GTの名前が示すように、グランドツーリングにふさわしいモデルになった。 前モデルでは、発進時やUターン時などに、もう少しトルクがほしいと思わせる場面があったけれど、そのあたりをカバーする低速トルクが増えて、不安感がなくなったのが好印象。中速から高速へのトルクフルで伸びやかな回転フィーリングは、3気筒ならではのテイストで、これはいいところをそのまま受け継いでいる。 大型化された可変ウインドプロテクターは、条件に合わせてワンタッチで操作できて、高速走行から一般道をゆっくり流すといった変化にすぐに対応できて便利。デジタルメーターも視認性が良くなって、路面状況に合わせたセッティングもしやすくなった。 ただひとつ、これはほとんどのライダーにとってはメリットなのかもしれないけれど、シート高が低めのセッティングで、窮屈に感じられた。とくに長距離を走る場合、シートとステップの間はある程度離れていたほうが、膝の屈曲が少なくて脚の疲れが少なく、また腰を上げる動作がしやすいので、体重移動も素早くできるのだけれど、それが、「よっこらしょ」という感じになってしまう。 筆者は身長178cm、体重76kg。二段階調節のシートをハイにしても両足はべったりで、安心感はあったが、ライディング時の膝の屈曲はかなり窮屈に感じられ、ヨーロッパなどに見られるハイシート仕様が欲しくなった。

YAMAHA TRACER9 GT


TRACER900 GTのエンジン、フレームを刷新した2021年のNEWモデルで、軽量な車体に888ccの直列3気筒エンジンを搭載。クイックシフターやKYB製電子制御サスペンションなど、快適で安全なツーリングをサポートしてくれる各種電子デバイスも充実の装備となっている。 <主な仕様> メーカー希望小売価格=145万2000円 全長2175×全幅885×全高1430mm/シート高810mm・825mm/車両重量=220kg 総排気量=888cc/燃料タンク容量=18ℓ/最高出力=88kW(120PS)/10000rpm

サイド、トップのケースのデザインも全体のフォルムにしっくり馴染んで、GTモデルと呼ぶにふさわしい風格を感じさせる。また、フレームなどの最適設計により3ケースの同時装着も可能になった 注)サイドケース・トップケースはアクセサリーです

トルクフルかつ伸びやかな3気筒エンジンは、高速から街中までストレスなくオールラウンド。低速トルクが増えたのが取り回しの良さに貢献している

視認性とともに操作性も高くなったデジタルメインフォメーションパネルは3.5インチフルカラーTFTメーター

フロントのウインドプロテクターとナックルガードの効果で、高速巡航もストレスなくこなせる

シート高は2段階に調整可能。高い方でも足付き性はとても良かったが、身長の高い自分には、シートとステップの位置関係が窮屈に感じられた。ハイシート仕様があってもいいかも

【ヘルメットインプレッション】アライヘルメット ツアークロス3


オフロード系ツーリングヘルメットの定番中の定番。長年の経験が活かされた通風性は、季節と天候に合わせて自在に調整できる。調整のためのノブなどの位置と形状が絶妙なので、グローブをしたままでも扱いやすい。 今回はオンロード寄りになったトレーサー9GTが取材車だったけれど、バイザー付きのフォルムでもまったく違和感がなかった。個人的には、効率的に日差しを避けられるので、オンロードバイクでもバイザー付きのこうしたヘルメットが好きだ。 ブラックカラーで、炎天下では暑くなるのではないかと心配もしたが、ラメが入ったようなグラスブラックの塗装は、かなり光を反射して、表面の加熱を防いでくれた。そして、なによりファッショナブルだった。

アライヘルメット ツアークロス3(グラスブラック)


オン、オフ問わずに使えるマルチパーパスモデルで、バイザー、シールドを装備。シールドは強力な防曇効果のTXピンロックシート(別売り)が装着できるTXピンロックブローシールド。頭頂部やサイドに効果的に配置されたベンチレーションと、<冷・乾>内装のおかげで快適な利用ができる。

リブ付きのバイザーは高速走行でも安定。口元センターにはデュアルファンクションシャッター、口元サイドにはスリットを装備

頭頂部の大型のエアーダクト、ヘルメット下部のサイドエキゾーストダクト3でヘルメット内をクールダウン

【ウェアインプレッション】パワーエイジ アーリーライダース他


ライディングウェアに必要な機能性はしっかり持ちながら、カジュアルウェアとしてとてもファッショナブルなパワーエイジのウェア。創業当時からずっと愛用しているけれど、歴代モデルはずっと手放せないワードローブになっている。 今回の取材では、軽く涼しい着心地のアーリーライダースとカーゴコットンパンツの組み合わせ。ライディング時はもちろん、バイクを離れて散策するときなどにも、とても快適で、収納も多く便利で、散策も楽しくなる。 アーリライダースは、ウェアにプロテクターを装備することもできるけれど、今回はPORON®肩・肘・胸・脊椎サポーターをインナープロテクターとして、アーリーライダースはシェルとして使った。 体に密着するサポーターはウェアに装備するプロテクターに比べて、密着度が高く、大きく動いた後などにも全くずれたりしないので安心だ。さらに、これをインナーとすれば、アウターを選ばないので、気軽にスウェットやTシャツなどを着用することもできる。また、ライダーが転倒したとき、胸部が深刻なダメージを受けやすいという統計データがあって、今は警察などもチェストガードの使用を推奨しているけれど、これならその条件も満たしている。

パワーエイジ アーリーライダース(アクア)/コットンカーゴパンツ(チノ)


アーリーライダースは高い通気性のメッシュジャケット。速乾性に優れた、ソフトでストレッチする素材を採用していて、立体構造とあわせてストレスフリーでライディングできる。首周りや袖口には、吸汗性や放熱性の良いコットン素材を配置。プロテクターは肩・肘・脊椎に標準装備されていて、別売りの胸部プロテクターも装着できる。 コットンカーゴパンツは心地よい肌触りのコットン素材を使用した履き心地の良いパンツ。車体をホールドする場所にニーグリップパッチ、耐摩耗性と耐久性に寄与する尻部二重構造、乗車時にアクセスしやすい腰ポケットなどこだわりも詰まっている。膝・腰にプロテクターを標準装備。

ジャケットもパンツもとても自然なフォルムで、街着としても違和感がない。インナーにPORONR肩・肘・胸・脊椎サポーターを着用しているがフォルムもとてもスリム

ジャケットもパンツもライディングを妨げないバイク専用の立体構造。パンツは裾がずり上がらないオリジナルのカッティング

パワーエイジ コンフォートグローブ(チャコールグレー)


甲側はほどよい通気性でストレッチするソフトシェル素材、掌側に牛革、指の股には高い通気性のメッシュ素材を使用したグローブ。手になじむ立体構造設計で操作もスムーズ。ナックル部分と掌つけ根に衝撃吸収素材のPORON®XRD®を内蔵していて、親指と人差し指はスマートフォン操作に対応している。

適材適所の素材を組みあわせた造りのグローブ。独自の立体構造設計でとても自然なグリップの握り心地。

パワーエイジ PORON®肩・肘・胸・脊椎サポーター


インナーに着用できるサポーター。伸縮性があり、吸水速乾、UV カットの素材の肩・肘・胸部・脊椎に衝撃吸収素材PORON®XRD® のプロテクターを装備している。動きやすくフィット感も高く、フロントファスナーで着脱もしやすい。

ライダーがダメージを受けやすい主要な部位をしっかりカバーしてくれる。これに薄手のジャケットといった気軽なスタイルでも安心できるのが良い

【用品インプレッション】エンデュリスタン ハリケーン バックパック


スイス発のオフロード用パッキングギア、エンデュリスタンは、耐久性と防水性の高さから、様々なオフロード・アドベンチャーツーリングシーンやラリーなどで定番のギアとなった。 ハリケーン バックパックは、そのエンデュリスタンシリーズの中の高機能防水ザック。登山用のザックでは、悪天候時にはザックカバーが必要になる。また、高い水圧のかかるライディング時には防水カバーがあっても、隙間からの水の侵入は防ぎきれない。その点、徹底的に防水性能に拘ったこのザックは、たとえ豪雨の中を高速走行しても内部にはミスが入らない。 また、バイク用として設計されているだけあって、シートに腰を掛けたときにボトムが当たって体が突き上げられるようなこともなく、分厚いチェストハーネスシステムで、オフロードで激しい動きをしたときにも、ザックが振られたりしない。 積載性の低いピュアオフロードモデルなどでは、ツーリングのとても強い味方になってくれるはずだ。

エンデュリスタン ハリケーン バックパック(25L)


各種バッグをラインナップしているエンデュリスタンのバックパックで、サイズは15Lと25L。過酷な使用にも耐える、1000デニール3層構造の耐久性の高い生地に、防水設計のジッパー、すべて溶接された接着部で完全防水防塵になっている。

耐久性、機能性、そして防水性は文句なし。シンプルな外観だが各部のポケットや小物をはさめるバンジーコードなどで収納性能も高い

調整可能な肩ベルト、チェストベルトでしっかりと体に固定できる