2022.05.27

 "裏"ツーリングマップル!? -地図に載せきれない・載せられない取材ネタ- ~Vol.5 思い出の林道 in 関東甲信越

ツーリングマップルでは、毎年各エリアの取材担当がバイクで実走取材を行っています。取材は春から秋にかけて合計で約30日間ほど行われ(準備期間を含めるともっと日数をかけています)、その中で、担当者はいろいろな情報を入手します。しかし実際に地図上に載る情報は、その中のごく一部にすぎません。ツーリングマップルは本なので、スペースに限りがありますし、すごくおススメなんだけどたくさんのお客さんが一度にくると対応できない施設や、いつやめるか分からないお店なども…。そんなさまざまな事情で紙面に載せられなかった情報を、今回”裏”ツーリングマップルとしてご紹介していきます。 今回は関東甲信越担当、フィネスの中村さんから、いろいろな変遷をたどる、林道にまつわるお話を紹介します。

著・フィネス(中村聡一郎)

【今は走れない関東周辺のロングダート】


かつては豊富にあったものの、舗装されたり閉鎖されたりしてどんどん姿を消していった関東周辺の未舗装林道。 そんな状況にあって、最近まで約34kmもの未舗装路を走ることができた群馬県の「栗原川林道」は貴重な存在だった。途中に、百名山の皇海山(すかいさん・2144m)の登山口があったおかげで比較的整備されていて、公衆トイレもあったのだ。 しかし、関東周辺に大きな被害を与えた2019年の台風19号で被災してしまい、複数個所で土砂の流出や路肩の崩落が発生。あまりの被害に復旧だけでなく今後の維持も難しいということで、閉鎖となってしまった。恐らくこのまま廃道として自然に帰る可能性が高いのだが、「もしかして…」という期待をこめて、2022年度版ではまだコメントを残している。今年の取材であらためて現地の状況を見て、それ次第では2023年度版ではいよいよコメント含め、地図から削除ということも検討が必要かなと考えている。

栗原川林道の根利側にあった自分で開けて入るゲート

この林道の撮影ポイントだった素掘りのトンネル

【「落ちれば即死…」という伝説のコメント】


もうひとつ、奥多摩に「泉水横手山線」というロングダートがあった。国道411号の南側を走る道で、ツーリングマップルがまだ前身の「2輪車ツーリングマップ」の頃だったか、「落ちれば即死の深い谷」というコメントが入っていたこともあった。 西側の国道へ繋がる区間が繋がってからは、未舗装区間が10キロ近くある楽しい林道になって、ところどころで展望も広がる楽しい道だった。 しかし、今は両側の入口ともに、ガッシリとしたゲートで閉鎖されている。恐らく、このままかつてのように一般通行が再開されることはないだろう。ただ、それでも、近くを通ると「もしかして」と思っていつも入口に立ち寄ってしまう。

ツーリングマップに記載されていたコメント、この当時はまだ西側区間が未開通だった

【再開通が待ち遠しいロングダート「旧中津川林道」】


2019年に長期通行止から再開通した秩父市の「大滝幹線17号線」。というよりは「旧中津川林道」と呼んだほうが馴染みがあるだろうか。久しぶりにあの道が走れる、とその年は多くのオフロードライダーが訪れたのだが、やはり同年の台風19号の被災で再び通行止に…。 しかしここは過去、幾度も自然災害による通行止から復旧しているので、今回もその日を正座して待ちたいと思う。

2019年訪問時の画像。中津川沿いの渓谷から三国峠まで移り変わる沿道の景観が何よりの魅力

変わりゆく林道情報を見比べてみるのも面白いかも!?


関東甲信越のベテランオフロードライダーの方は「昔は遊べる林道がたくさんあったんだけどなぁ」という方が多いですね。これから(公に走れる)新たな未舗装林道が開通するようなことは期待できませんが、残っているものは大事にマナーを守って走りたいものですね(全国には一部ライダーの迷惑行為で閉鎖されてしまう林道も多くあります)。 変わりゆく道路の様子を1年ごとに追えるのも、ツーリングマップルの魅力です。しばらく更新してない方も、この機会に買換えてみてはいかがでしょうか。

左:通常版(税込¥2,200) 右:R版(税込¥3,300)