2023.04.13

春が来た!ツーリングシーズン到来のこの時期オススメのスポット<中部北陸編>

季節は春へ。ポカポカと暖かな日も多くなって、バイクツーリングもシーズンイン。花も咲き始めて、走りながら見える風景もだんだんとカラフルになっていくこの時期に目的地にしたいスポットやエリアをご紹介。今回は中部北陸編です。

著・内田一成

【紹介スポット】


1.根尾谷淡墨ザクラ 2.居谷里湿原(いやりしつげん)の水芭蕉 3.砺波チューリップ公園

1.根尾の薄墨桜に幽玄を感じる


艶やかで賑やかな桜並木に対して、山里の一本桜というのは、一種幽玄な雰囲気を醸し出している。梶井基次郎は「桜の樹の下には屍体が埋まっている」と有名な一節を書いたけれど、そこにはたしかに、なにかこの世を超えたモノの気配を感じることがある。 昔、濃尾地震の際にできた大断層に沿って岐阜から福井へ抜ける道を夜中に辿っていたとき、暗闇に浮かび上がる満開の薄墨桜に出くわして、しばし魂を吸い取られるような気がしたが、この桜は、まさに「幽玄」という言葉をそのまま体現したような厳粛な迫力を持っている。この桜も、今年は早咲きのようで、4月上旬が満開になりそうとのこと。

樹齢1500余年の古木ながら、樹高17.3m、幹回9.4mと立派で樹勢もある。山梨県の「山高神代桜」と福島県「三春滝桜」と並んで日本三大桜のひとつに数えられ、国の天然記念物に指定されている(写真提供:一般社団法人岐阜県観光連盟)

2.居谷里湿原(いやりしつげん)の水芭蕉


長野県大町市の東に連なる山並みは、山岳博物館が置かれているように、大町の盆地を挟んで北アルプスの大展望を拝める展望台として有名だが、その尾根筋を東に越えると、静かな山里が展開する。 その一角にある居谷里湿原では、例年4月下旬頃から「ミズバショウ」が咲き始める。居谷里湿原は幅130m、長さ1.5キロあり、その中に遊歩道が設けられている。水芭蕉というと尾瀬が有名だが、もともと、日本の山間に春の点描を描く象徴的な花で、ひっそりとした湿原に咲く風景がいちばん似合っている気がする。ここは地元の人以外にはあまり知られていないので、ゆったりと時間が過ごせるのもいい。

派手で賑やかな花盛りもいいけれど、ひっそりとした風景の中で愛でる可憐な花もいい(写真提供:大町市観光協会)

3.あふれる色彩に埋もれる富山のチューリップ


ここまで、どちらかというとじっくり雰囲気を味わう花見を紹介したけれど、三番目は、華やぐ季節を全身で浴びるような色差の競演をあげておこう。 富山県の県花はチューリップで、4月の下旬から5月上旬にかけて、県内のあちこちで、色とりどりのチューリップが咲き誇る光景が見られる。 その中でも出色なのは、300万本のチューリップが植えられた砺波チューリップ公園。今年も4月22日から5月5日にかけて、「となみチューリップフェア」が開催される。高さ4m長さ30mの「花の大谷」、砺波発案の「水上花壇」、ハート型花壇のある「ILOVE花壇」、五連揚水水車のある「水車苑」、300品種が集められた「彩りガーデン」、「オランダ風花壇」、「こもれびガーデン」、「円形花壇」など見どころ満載。

立山黒部アルペンルートの「雪の大谷」をチューリップの花でイメージした高さ4mの「花の大谷」(写真提供:砺波市)