2023.04.25

走行距離20万km到達の瞬間がやってきた!賀曽利さんと春の房総を走る!

1台のオートバイで走行距離10万km到達は、なかなか大変な道のりですが、それを越える20万km到達の瞬間を見るために、春の房総半島ツーリングを楽しんできました。この旅はツーリングマップルのYoutubeチャンネルでも配信中です、ぜひそちらもご覧ください。

著・フィネス

【走行ルート】


 

プロローグ


地球狭しとバイクを走らせている賀曽利さん。ここ数年の旅の相棒はスズキのVストローム250。このバイクの走行距離10万km到達には立ち会えなかったけれど、20万kmの瞬間はぜひその現場にいて、感動をわかちあいたい、と2021年頃から機会がある度に残り距離を賀曽利さんへ聞いていた。しかし、到達前におきたまさかの事故。バイクも長期修理となり、残り距離のカウントダウンも仕切り直しとなった。 昨年の秋頃から、そろそろですかね、とツーリングマップル編集長の舛木さんと気にしていたが、3月末に会ったときに残りがそろそろ100kmを切りそうだと聞いた。「ぜひ、20万km到達の瞬間に立ち会いたいですね」と、話しが盛り上がって、「では、ツーリングの企画をよろしく」と舛木さんから依頼を受けた。そんなわけで、重責を感じつつ、記念すべきツーリングを企画することになった。 20万㎞までの残りは約100km。できれば、到達場所は岬や峠などのランドマークにして、後生に伝えていきたい。また、舛木さんからGOALは昭文社にしましょう、と提案があったので、それらを検討材料に地図で距離を確認しながら思案した結果、行き先を房総半島に決定した。

Vストローム250での20万km到達へのスタートは「70代編日本一周」で東京・日本橋を出発した2017年9月1日

10万kmは国道158号の小鳥(おどり)峠(岐阜県)で、2019年7月25日の早朝に到達したとのこと

船旅で始まる房総ツーリング


そして迎えたツーリング当日。房総半島へ行くなら、やはり東京湾フェリーからスタートでしょう。ということで、集合場所は久里浜港。時間よりも早めに到着したら、賀曽利さんはさらに早く到着していた。もう一人、今日一緒に走る舛木さんを待つが、なかなか来ない。 バイクの乗船時間になっても到着しないので、賀曽利さんは「次の便に変更しようか」と言ってくれたが、フェリー会社の人に「もう少しで着くので」と謝りながらギリギリまで待っていたところ何とか間に合って、無事3人揃って乗船できた。

久里浜に着くとちょうど前の便の「かなや丸」が出航していくところだった

久里浜港で気合い十分の賀曽利さんと合流

もうだめかとあきらめかけたその時、舛木さんが颯爽と到着、なんと出航の5分前!

約40分の船旅で金谷港へ上陸。 「賀曽利さん、あと何kmですか」 「えーっと、75kmぐらいだね」 船を下船したところで、バイクのトリップメーターを0kmにリセット。75、75、と数字をしっかり記憶して、バイクが安全に停められないような場所にならないように、ツーリングマップルを見ながら慎重にルートを考える。 当初は野島崎を目指して海沿いを南下しようと思っていたが、海ばかりでは単調だなと、北へ。目指すのは鹿野山の九十九谷展望公園(ツーリングマップル関東甲信越29F-7)。途中、マザー牧場の前を通ったが、カソリさん達はてっきりここのソフトクリームを目指していたのかと思っていたらしい、そうか、朝ソフトもありだったか。 朝は薄ぼんやりとしていた天気も、すっかり良くなって真っ青な空の下、桜もまだまだ咲いていて実に華やかな最高のバイク日和に変わっていた。時期的に黄色の菜の花も咲いていて、いやぁ、春の房総最高!と、るんるん気分でバイクを走らせる。

予定変更かと焦りましたが、無事3人揃っての房総ツーリングスタートです

海を見ながらデッキで船旅を楽しむ

金谷港に到着、さぁ20万㎞到達へ!

到着した最初の目的地の九十九谷展望公園は南房総の山並みを一望できるビュースポット。ここからは千葉県最高峰の愛宕山も見えるけれど、それでも標高は408mだから、立ち塞がるようにそそりたつ北アルプスや南アルプスとは違って、緑の海がさーっと広がっているような光景が見られる。賀曽利さんにもこの風景を十分に堪能してもらった。 ここで、残り距離を確認してみると、野島崎はちょっと難しいかなというところで、ルートを養老渓谷方面へ変更して久留里へ向かうことになった。

なだらかな山並みが眼前に広がる九十九谷展望公園からの眺め

小糸川が流れる谷から県道93号で尾根を越えて小櫃川(おびつがわ)が流れる久留里へ。ここは上総掘り(かずさぼり)と呼ばれる自噴井戸があちらこちらにある名水の里。JR久留里駅前(ツーリングマップル関東甲信越29I-6)にも水汲み場があって、そこでひと休み。そばには2022年の秋に改装オープンした「生きた水久留里 酒ミュージアム」があり、試飲したい気持ちをグッとこらえて、ズラリと並ぶ地酒を見学(?)した。試飲メニューにノンアルコールの甘酒が書かれていたので、それならこちらをと注文してみると、売り切れだったのか飲むことはできなかった、残念。 次はどこへ向かうか、残り距離から検討していると、賀曽利さんから提案があった。 「養老渓谷に我が賀曽利家の墓があるんですよ。ぜひ、ご先祖様に20万㎞を報告したいですね~」 お、これはまったく知らなかったし、大変興味もひかれたので、早速向かうことにした。

JR久留里駅前にある水汲み広場と生きた水久留里 酒ミュージアム

県道32号で養老川が流れる養老渓谷へ。菅野トンネルを抜けてしばらく走ると小湊鉄道と併走。線路沿いには菜の花が咲いていて、写真を撮っているライダーの姿もあった。 目的地は養老渓谷駅のすぐ近くの宝林寺(ツーリングマップル関東甲信越29K-7付近)。本堂にお参りしてから墓参りへ。 「ここには南総里見八犬伝の伏姫のモデルになったと言われる、里見家の種姫の墓があるんですが、賀曽利家の墓はそのすぐ横にあるんですよー」 実際に行ってみると、びっくり。賀曽利家代々の墓は立派で歴史も感じるものでした。しかも、種姫と歴代の住職が祀られている、ほかとは区分けされた場所にあって、ご先祖様は一体なにをされていた人?賀曽利家のルーツは一体?と、疑問がいくつも浮かんだのですが、賀曽利さんも知らないそうで、逆にツーリングマップル関東甲信越担当の責任として、調査してくださいね、とお願いされてしまった。

宝林寺の駐車場で咲き乱れる菜の花に賀曽利さんも笑顔

賀曽利さんのご先祖様にご報告。しかし、どんな方だったのでしょうか

ここで、残りは20kmほどになっていた。県道81号に戻って「山の駅 養老渓谷 喜楽里」(ツーリングマップル関東甲信越31L-1)へ。大きな地層の露頭(地層や岩石が土や植物で覆われることなく露出している場所)と、房総名物の川廻(人工的に作られた水路の一種)の跡を見学した後、20万㎞達成の場所をどこにするか3人で話し合い、まずは小湊鉄道、いすみ鉄道がつながる上総中野駅(ツーリングマップル関東甲信越29L-7)へ行くことになった。 上総中野駅は2つの鉄道の終着駅で、旧国鉄木原線のいすみ鉄道と、ここからさらに安房小湊駅を目指していた小湊鐵道、二つの幻となった房総横断線の歴史が残る。

「山の駅 養老渓谷 喜楽里」に入ると目に飛び込んでくるのが巨大な老川露頭。賀曽利さんも感嘆!

奥に見えるのが川廻しで山を掘って造られた人工のトンネル。そこからの水の流れが遠見の滝と名付けられている

2つの鉄道の終着駅、上総中野駅に到着。20万㎞まであと少し

懐かしさを感じる駅名標。駅はローカルな雰囲気を楽しむ人で思ったよりも賑わっていた

竹の姿をした上総中野駅のトイレ

いよいよ残りは約7km。上総中野駅から「道の駅たけゆらの里おおたき」(ツーリングマップル関東甲信越30B-7)までがちょうどそれぐらいだったから、昼食もとれるのでそこを達成地点にしようということになる。 トリップメーターの数字を気にしながら走っていると、国道465号と国道297号をつなぐ一般道に入ってすぐに賀曽利さんがスローダウン。まさか、と思ったが残り1kmになったとのこと。このまま進むと交通量の多い国道297号沿いになりそうなので、安全に停められそうな総元(ふさもと)駅に戻ることにした。 しかし、うまくはいかないもので、そこまでもたどり着けず、国道465号を曲がってすぐの場所で賀曽利さんが道ばたにバイクを停めた。 「20万㎞達成しました~!」 国道の道ばたという場所で案内した身としては大変恐縮でしたが、運良く広い路肩があってバイクを停められたのは何よりでした(20万km到達したのに停められなくて、20万0001kmとかになったら目も当てられないので・・まあそれはそれでネタにはなるのですが)。3人でやったー、と感動を味わっていましたが、さすがに、長居はできないので、道の駅へ向かい、そこで昼食をとりながらあらためて祝杯をあげることになった。

国道465号沿いでついに、ついに20万㎞到達です!ここまでかかった年数は5年6カ月

道の駅の食堂では、春限定メニューの「たけのこ御膳」を提供中で、賀曽利さん、舛木さんはこれを選択。自分はもう一つの大多喜の味覚、猪肉の丼を食べようと思ったが、生憎この日の提供は終了していた。代わりに猪肉のそぼろに大多喜町産のタケノコを使った自家製メンマがのる大多喜猪担々麺にした。 「20万㎞達成!」 と、お茶で祝杯をあげて、春の味覚を味わう。たけのこ御膳は筍炊き込みごはんをはじめ、さまざまなタケノコ料理が味わえる贅沢な一品。大多喜猪担々麺も思ったよりも辛口で、ちょっと刺激的だったけれどもじつに美味しかった。

大多喜の春の味覚、タケノコがたっぷりと味わえるたけのこ御膳

ピリリと辛くて美味しい大多喜猪担々麺

食事をしながら、このあとのルートを相談。当初からGOAL地点に決めていた昭文社へ直行でもいいが、やはりもう1カ所ぐらい寄っていきたい。ルート的に富津岬かなと考えていたのだが、そういえば東金に新オープンの店があったことを思い出した。 「賀曽利さん、元GPライダーの中野真矢さんはご存じですか?」 「ええ、知ってますよ、MOTORISEという番組に出演したときに会ったことが」 「56designというバイク用品のブランドをやってるんですが、今月東金にショップをオープンしたばかりなんですよ、そこに寄ってみませんか」 「そうしましょう!」 ということで、56designのLakeside Terraceが今日最後の立ち寄り地点に決まった。

大多喜から東金までは天気も良いので「波乗り道路」とも呼ばれている九十九里道路で潮風を感じながら、と思ったのだが、だんだんと風が強くなってきたので、波乗りならぬ風乗りになりそうなので、残念ながら断念。かといって、交通量の多い国道128号では退屈かなと考えて、県道123号から九十九里広域農道のルートを選択した。 到着したLakeside Terraceには56designのショールームとCafe & Pizzeria-Fiorettoがある。しかしなんと、ショールームは土・日曜、祝日のみのオープンで中野さんも不在だった。カフェは営業していたので、コーヒーとソフトクリームでひと息入れて、昭文社へと向かった。

4月1日にオープンしたばかりの56designのショールーム。桜の下にバイクを停める

イタリアンレストランのCafe & Pizzeria-Fioretto。東金インターが近いので房総や九十九里へのツーリング中に立ち寄りやすい立地

東金ICから高速道路に入って都内を目指す。京葉道路で事故渋滞が発生していたので、東関道を進み、湾岸市川インターから一般道で江東区の昭文社へ。 18時頃、到着してみると、想像以上の出迎えにびっくり。賀曽利さんもさぞ驚いたと思うけれど、自分も予想以上の盛り上がりに慌てふためいた。そして、社内の臨時会場でなんと表彰式。多くの方々にお祝いされて無事20万㎞達成ツーリングは終了となりました。

18時頃、江東区の昭文社へ無事到着。盛大なお出迎えが待っていました

走破証明が昭文社から授与されました

最後に記念撮影、本日のツーリングも無事終了

20万km達成ツーリングを振りかえって


菜の花の黄色がじつに鮮やかだった房総半島。もう散ってしまったかな、と思っていた桜も見られた最高のツーリングでした。なにより20万km到達の瞬間に立ち会えたこの日は記憶に残る1日となりました。 私も過去、自分のバイクで10万km到達を2回経験していますが、残り数キロになって、メーターの数字が気になり出すと、ふとその時のことを思い出しました。あと1km、あと100m、とメーターを見ながら、199999が200000に変わった瞬間の感想を賀曽利さんにあらためて聞いてみたいですね。ちなみに20歳からの生涯200万km達成まではあと19万kmとのこと。ぜひその瞬間にも立ち会いたいですね。