2023.05.09

【ツーリングマップル2023年度版はココに注目!】新規掲載コメントからピックアップ紹介<中部北陸編>

ツーリングマップル、毎年出版されているけれど、「掲載内容は変更されているの?」と、疑問に思っている方が意外といらっしゃいます。でも実際は、毎年の実走取材をしっかりみっちりと反映しているんですよ。今回は、新しい情報がどういう感じで反映されているのか、2023年度版から新しく掲載されたもの、取材の結果からアップデートしたもの、そういったコメントを各エリア担当者にピックアップして語ってもらいます。では中部北陸編、どうぞ。

著・内田一成

【日龍峯寺(高澤観音)/中部北陸50C-5/関西80C-5】


 

大きな岸壁を背負った舞台造りの本堂が立派な日龍峯寺は、美濃の清水寺とも称される。ここからは、美濃の奥深い山々が一望でき、山腹に広がる境内は静謐に包まれていて、とても落ち着く。鎌倉時代に建立された堂宇のほとんどは焼失して再建されたものだが、多宝塔は鎌倉時代のままに残り、国の重要文化財に指定されている。美濃から飛騨にかけて多く残る両面宿儺の伝説に彩られた幽玄な空間が、人をして別世界に誘う。

荘厳な舞台造りの本堂は、まさに美濃の清水寺

本堂の縁に鎮座する「びんずる様」。朽ち果てた顔貌がちょっと怖い

【ぴんころ神社/中部北陸62D-6/関東甲信越35D-6】


 

勇壮な中央アルプスを眼前に望む大田切川のほとり。以前から通る度に気になっていた「ぴんころ神社」という怪しげな看板。今回は、思い切って訪ねてみた。いわゆる宗教法人としての神社ではなく、隣接する旅館が設けたものだが、かつてこのあたりで行われていた風習を伝える記念館ともいえるもの。菅笠にわらじを履いて、杖をついて巡礼すると、「ぴんぴんころり」と苦しまずに往生できるという。なかなか凝ったつくりで一見の価値がある。

なんだか土産物屋風の威厳のない看板なのだが…

手のこんだわら細工のぴんころ様。菅笠や杖、わらじは貸し出してくれる

中央アルプスの勇姿が迫る川沿いに巡礼路がある

【今庄宿/中部北陸58B-5/関西80B-5】


 

北陸道(北国街道)の宿場で、福井県南越前町に位置する今庄は、北陸随一の難所を背に、京の都から北陸地方への玄関口として、また、江戸時代には参勤交代のための宿場町として栄えた。幕末の1864年12月、尊王攘夷を掲げて上洛しようとした水戸天狗党一行が、寒さも厳しい雪中行軍のなか、この今庄宿で休息につく。なかには自分たちの志が達成できない苛立ちからか、抜刀し柱に斬り付けた浪士もいたようだ(住民は事前に逃げていた)。この今庄宿を出てすぐに、十数藩の兵士1万数千人に包囲され、ついに投降。その後全員が処刑されたという悲しい歴史も刻まれている。私の故郷は天狗党の本拠でもあったので、思い入れが深い。地元のブックカフェ「ゴドー」(ツーリングマップル中部北陸58B-1/関西80B-1)のマスターに案内していただき、思い出深い取材となった。

水戸天狗党の悲劇を伝える記念館がある

今庄…福井といえばおろしそば。人気店の若狭屋さん

若狭屋のメニューは、おろし蕎麦のみ。普通盛りと大盛りが選べる。これは大盛り