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2023.09.22
ソロキャンプツーリング フィールドガイドVol.6 [みよりふるさと体験村キャンプ場]
栃木県日光市北部、日光と福島を結ぶ「野岩(やがん)鉄道」の「中三依(なかみより)温泉駅」のすぐそばに、「みよりふるさと体験村」がある。 体験村には日帰り温泉施設の「男鹿の湯」があるほか、コテージと、ちょっとワイルドなキャンプ場もある。 このキャンプ場が、かつてのスキー場跡地を利用したもので、テントサイトには微妙に凸凹があったり、傾斜があったりして、テントを設営する場所を決めるのにけっこう悩む。それでも静かな環境と、営業時間内なら温泉に入り放題という点が、キャンプ場選びのポイントとして何より勝るのだ。 (取材日:2023年8月24日~25日)
ソロ優先サイトで温泉&キャンプを満喫
[みよりふるさと体験村]は、野岩鉄道の線路北側に「男鹿の湯」、南側にキャンプ場のフリーサイトがあり、その一部がソロ優先エリアになっている。フリーサイトから男鹿の湯へは、歩行者用トンネルを通って3分ほど。入浴料はキャンプ場の利用料に含まれているので、営業時間内なら何回でも入れる。ただし、繁忙期以外は土・日曜、祝日中心の営業となり、営業時間も異なるので、温泉を楽しむならホームページで事前確認する必要がある。 2023年9月からは平日(不定期)に、薪ストーブを使ったテントサウナと源泉掛け流しの水風呂をセットにしたプランもスタートしたので、ぜひ体験してみたい(取材時は8月なので体験できず)。 キャンプ場は中三依温泉駅のすぐそばにあるが、駅周辺には商店やコンビニなどはなく、一番近いスーパーでも車で40分ほどかかる。キャンプ場へのアクセスは東北自動車道の西那須野塩原ICから約30㎞、日光宇都宮道路の今市ICからは約38㎞で、距離的には西那須野塩原ICの方が近い。ただし途中で買物をするのであれば、今市市街には道の駅や大型スーパーがある。そして酒蔵も2件あるので、やはり今市ICからのアクセスがベストだろう。

みよりふるさと体験村のメイン施設、男鹿の湯。キャンプの受付もここで
Pick Up ! 周辺情報
1.渡邊佐平商店 2.片山酒造 3.旬菜処いずみ 4.龍王峡 5.榮太楼 6.竜化の滝・風挙の滝


1.渡邊佐平商店
創業1842(天保13)年の酒蔵で、代表銘柄は「日光誉」。醸造アルコールは使わない純米醸造酒にこだわり、全製造量の90%が純米醸造酒で、その純米率は栃木県一という。看板商品の「純米吟醸日光誉」は今市産の「五百万石」をはじめ「夢ささら」「雄町」などの酒米と、栃木県開発の酵母、日光山麓の名水で仕込んだ生粋の地酒だ。 ほかに「純米大吟醸清開」や創業当時に醸していた生酛造りを復活させたこだわりの「生酛純米酒尊徳」などがある。 住所 栃木県日光市今市450 TEL 0288-21-0007 時 8:00~18:00 休 8月14日~17日、12月31日~1月4日 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.72 I-4

道の駅 日光 日光街道ニコニコ本陣の目の前にある築100年以上の歴史ある建物

日本酒だけでなく、酒粕焼酎や地酒焼酎などの焼酎も製造している
2.片山酒造
創業1880(明治13)年、代表銘柄は「柏盛」。創業以来、醪(もろみ)をひとつひとつ人の手で袋詰めして丹念に積み重ね、上からゆっくりと圧をかけて酒を搾る「佐瀬式」という方法にこだわり、酒を醸している。 看板商品の柏盛は、搾り終わった酒に加水しない原酒として親しまれてきた。中でも「柏盛 素顔」は圧力をかける前に自然に染み出たものを、ろ過も熱処理もせずに瓶詰めした完全な生原酒として評判だ。基本的に酒の販売は蔵元直販または直送となる。 住所 栃木県日光市今市瀬川146-2 TEL 0288-21-0039 時 8:00~18:00 休 無休 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.72 I-4

こだわりの生原酒を手に入れるならぜひ訪れたい酒蔵だ

日本酒以外にも酒ケーキや酒ようかん、たまり漬チーズなども人気
3.旬菜処いずみ
東武鬼怒川線、鬼怒川公園駅の近くにあり、地元でとれた新鮮な素材を使った天ぷらやそばが評判の食事処。開店の11:00に入店し、「新作」と書かれていたメニュー、「岩魚のからあげと生ゆば刺しのセット」を注文。岩魚のから揚げは身がホクホクで、頭から骨までサクサクと残さず食べられ、生ゆば刺しも美味。そばは細くてコシがあり、打ち立てのそばと揚げたての岩魚が実に美味しかった。 住所 栃木県日光市藤原19-79 TEL 0288-77-1952 時 11:00~16:00 休 不定休 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.81 J-6/東北 P.2 J-6

鬼怒川公園駅のすぐ近くにある。駐車場はないが国道沿いに駐車スペースあり

岩魚のからあげと生ゆば刺しのセット1600円。舞茸の天ぷらも添えられて、ボリューム満点
4.龍王峡
国道121号で鬼怒川温泉から川治温泉に向かうと、左手に龍王峡の大きな駐車場がある。そこから川治温泉まで、全長約6㎞(所要時間約3時間)の龍王峡自然探求路が整備されている。もっともポピュラーな散策コースはむささび橋巡回コースで約3㎞(所要時間1時間30分)だが、あまりの暑さに一番近い虹見の滝を見て虹見橋で引き返す約30分のお手軽コースを歩いた。 散策路を下り始めると程なく滝の音が聞こえてくる。そこは虹見の滝の上部で、すぐそばには五龍王神社が鎮座され、その横から豪快な滝の流れを間近に見ることができる。さらに下って虹見橋の上に立てば虹見の滝が鬼怒川に流れ落ちる様子と龍王峡(白龍峡)を俯瞰できる。 できれば紅葉の時期に改めて歩いてみたい。龍王峡の紅葉は例年10月下旬から11月中旬が見ごろのようだ。 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.81 J-6/東北 P.2 J-6

虹見の滝へと流れる川の美しさにも目を奪われる。この上流には竪琴の滝がある

虹見橋から望む虹見の滝と龍王峡下流部の白龍峡
5.榮太楼
塩原温泉のご当地グルメといえばスープ焼きそばが知られるが、以前食べたことがあるので最近話題になっている「しもつカレー」を食べることにした。聞いたことがある名前だが、栃木の郷土料理「しもつかれ」の具、大豆やおろし野菜などを入れたカレーのことらしい。 塩原には「しもつカレー」を提供する店が何店舗かあるが、今回はくるみ最中や温泉まんじゅうが人気の甘味処、榮太楼に入店。2階がカフェになっていて、メニューを見ると「しもつカレーうどん」が推しらしいので、迷わず注文。よく煮込まれたおろし野菜がカレースープになじんで濃厚な味わい。麺はおっきりこみのように太く、スープも最後まで飲み干して完食。 榮太楼にはもう一つの塩原温泉名物「とて焼き」もあったが、すでに満腹のため注文できなかった。残念! 住所 栃木県那須塩原市塩原689 TEL 0287-32-2155 時 8:00~18:00(カフェは10:30~16:00) 休 不定休 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.121 G-5

しもつカレーうどん1000円。しもつかれの具、大豆やおろし野菜がアクセント

食べ応えのある太いうどん
6.竜化の滝・風挙の滝
塩原渓谷にはたくさんの滝がある。中でも塩原随一の名瀑と言われるのが竜化の滝だ。 竜化の滝は全長130m、落差60mの滝で、切り立った岩の間を三段に流れ落ちる様子が天に昇っていく白竜の姿に見えることからその名がついたという。 国道400号(旧道)沿いにある駐車場にバイクを置いて、遊歩道を歩き始める。しばらくは国道に沿って塩原渓谷を眼下に眺めながら進むが、竜化の橋を渡ると沢伝いに山側へと遊歩道が続く。途中落差10mほどの風挙の滝があり、滝壺のすぐ近くまで行けるのでしばしクールダウン。そこからさらに進むと徐々に滝の流れ落ちる音が大きくなり、竜化の滝の観瀑台に到着する。遊歩道入口から竜化の滝までは片道約20分。沢沿いの遊歩道は夏でも涼しく、急なアップダウンもないので手軽に楽しめる。 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.121 H-5

竜化の滝の手前にある風挙の滝。滝壺の間近から見ることができる

切り立った岸壁を三段に流れ落ちる竜化の滝
みよりふるさと体験村キャンプ場【キャンプ場情報】
テントサイトは野岩鉄道会津鬼怒川線の線路を挟んで両側にあり、どのサイトからも電車が走る様子を近くで見ることができる。とはいっても、電車の運行本数は少ないので電車の走行音も気になることはない。 キャンプ場の施設自体は必要最小限だが、利用料がリーズナブルで営業時間内なら温泉に入り放題というのがなによりうれしいポイント。中三依温泉駅にも近いので、バックパッキングでのキャンプにもおすすめだ。 ただ、スキー場の跡地を利用したフリーサイトやソロ優先サイトは傾斜があったり、場所によって凸凹があったりするのが気になるところ。それでも繁忙期以外はそれほど混み合うこともないので、比較的自由に設営できる。 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.81 J-2/東北 P.2 J-2

すべてがトレインビューサイト(ソロ優先エリアからの眺め)
■サイトの種類
▶フリーサイト(ソロ優先エリア) 受付のある男鹿の湯と線路を挟んで南側にある。収容数は10張り程度。奥には盛り土されたサイトが3区画分あるが、それ以外はフリースペースで、凸凹している部分もある。ほとんどが草地だが、利用したときは草がけっこう伸びていた(多分定期的に草刈りはしていると思うが)。 利用者が少なければサイト内への車の乗り入れも可能。乗り入れる場合は別途バイク500円(車は1000円)。

フリーサイトのソロ優先エリア。左手の奥にコテージが2棟、手前は炊事場

ソロ優先エリアの奥に盛り土されたフラットなサイトがあったのでそこに設営。盛り土された区画は4×4mほどの広さ
▶フリーサイト(スキー場跡地エリア) ソロ優先エリアの隣にあるスキー場跡地エリアは全体的に傾斜がある。収容数は12張り程度。このサイトも利用者が少なければ、車の乗り入れ(有料)も可能。混雑時は荷物の積み下ろしの際に15分以内であれば近くまで乗り入れ可能だが、それ以外は男鹿の湯の駐車場へ。

全体的に傾斜があるスキー場跡地エリアのサイト

男鹿の湯からフリーサイトへ行く歩行者用の通路(線路下のトンネル)があるので徒歩での移動も楽
▶オート区画サイト 線路の北側、男鹿の湯の斜め前にオートサイトが10区画ある。1区画は8×10mの広さ。男鹿の湯のトイレを利用できるが、夜間は閉まるためフリーサイト側のトイレを利用することになる。炊事場はBBQ場内にある。

畑だった場所を整備した草地のオートサイトは傾斜もなくフラット
▶フリーサイト(BBQ場エリア) 男鹿の湯に隣接するBBQ場の周りのサイトで、収容数は12張り程度。車の乗り入れも可能。地面は石混じりで硬い。複数のグループで利用するのにおすすめ。今後、女性専用サイトへ変更の予定があるようだ。

BBQ場の周りがサイトになっているので炊事場も近くて便利
▶コテージ ソロ優先エリアには森のペットコテージ(4名定員)が2棟、男鹿の湯側にはファミリーコテージ(4名定員、最大7名まで)5棟、とグループコテージ(8名定員、最大14名まで)1棟がある。キッチン、調理器具、冷蔵庫、炊飯器、トイレ、寝具なども完備。BBQなど食事付きプランもあり、手軽に楽しめる。

ペットと一緒に泊まれるペットコテージ。コテージの横でBBQもできる

男鹿の湯の並びにあるコテージ。手前の1棟はグループコテージ、奥はファミリーコテージ
■場内施設
▶中三依温泉 男鹿の湯(総合受付) 日帰り温泉施設でキャンプ場の受付もまずはここで。 温泉は自家源泉を加温、循環して利用者数に応じて新しい源泉を入れている。男女別の内湯のみのシンプルな温泉だが、ボディーソープやリンスインシャンプーも常備。BARや休憩スペースもある。営業日や営業時間は要チェック。 売店にはカップ麺やパックご飯、おつまみなどが少々。自販機はないが、ビールやペットボトル飲料は売っている。屋外には薪置き場があり、備え付けのコンテナに薪を入れて量り、自己申告で受付に支払うシステム。PayPayでセルフ決済も可能。1㎏200円、6㎏1000円、10㎏1500円。南会津産の広葉樹でよく乾燥していて火持ちも良好だった。

みよりふるさと体験村の総合受付となる男鹿の湯

大きな窓で明るい内湯。湯温はやや温めでゆっくり浸かれた

良質な薪を量り売りで販売。いい薪だと焚火も楽しい

男鹿の湯の隣の小屋にランドリーも設置。洗濯機1回300円、乾燥機30分100円。洗濯洗剤も置いてある
▶炊事場 炊事場はソロ優先エリアとBBQ場の2か所にある。いずれも屋根付きで給湯設備はないが飲用できる水。備え付けの洗剤もあり、清潔に管理されている。灰や消し炭を捨てる場所もある。

ソロ優先エリアにある炊事場。右側に灰捨て場がある

BBQ場内にある炊事場。奥に灰捨て場がある
▶トイレ トイレはスキー場跡地エリアにあるそば打ち体験道場と、総合受付の男鹿の湯にある。ただし男鹿の湯のトイレは基本的に営業時間外の利用はできないので、夜間はそば打ち体験道場のトイレを利用することになる。トイレは洋式で、男鹿の湯のトイレは温水洗浄機付きトイレになっている。

フリーサイトにある、そば打ち体験道場内のトイレ。24時間利用可能。便座は暖房付き×2

男子小×2

女性専用のトイレは右側のドア(内部未確認)
▶キャンプ場基本データ◀
住所 栃木県日光市中三依423 TEL 0288-79-0262 開設期間 3月中旬~11月中旬 予約 WEB予約 ※繁忙期以外は週末でも、比較的空いている。男鹿の湯が休業日の平日には風呂なしプランもある。 CHECK IN 12:00~18:00/OUT 11:00 <ソロキャンプモデル料金> 2580円~(ソロ優先フリーサイト利用、バイク乗り入れの場合+500円、普通車乗り入れの場合+1000円) サイト使用料 2980円~(フリーサイト、オート区画サイト) 大人1人 1500円 <ごみ処理> 受付時に可燃ゴミ指定袋1枚配布。可燃ごみ(生ごみ、ビニール、プラスチック、アルミホイルなど)/ビン/缶/ガス缶/ペットボトル/不燃ごみ/段ボールに分別し、専用コンテナに入れる。 灰や消し炭はソロ優先エリアの炊事場とBBQ場内に捨て場所がある。

男鹿の湯の建物の隣にゴミステーションがある

燃えるゴミは指定の袋に入れて専用ボックスへ
<周辺情報> ※( )内はキャンプ場からの距離 スーパー:ヤオハン今市店(約37km) コンビニ:ローソン鬼怒川滝店(約24㎞) 道の駅:道の駅 湯西川(約10㎞) 道の駅 日光 日光街道 ニコニコ本陣(約38㎞) ホームセンター:コメリ藤原店(約29㎞)
今回のキャンプ飯
食材は今市ICに近い道の駅とスーパーで調達。道の駅 日光 日光街道ニコニコ本陣では生ゆばとアスパラとソーセージ、クラフトビール、ヤオハンでは牛肉とミックスサラダ、焼きそば用の麺と中華あんかけを買った。 ➡夕食 クラフトビールを飲みながら焚火の準備。今回はひと手間(?)かけてアスパラの根元の固い部分をカットし、牛肉は塩コショウで軽く味付け。熾火になったら湯を沸かしてアスパラを茹で、牛肉をフライパンで焼いて調理完了。今夜のメニューは黒毛和牛のステーキと生ゆばとアスパラサラダ。

道の駅とスーパーで買った夕食の食材

本日のクラフトビール。右から道の駅日光オリジナルクラフトビール、奥日光天然水仕込みの日光いろはビール、鬼怒川の天然水仕込みの鬼怒川温泉麦酒

本日仕入れた日本酒。右が渡邊佐平商店の純米吟醸日光誉、左が片山酒造の生原酒素顔

手前の白いのが豆乳入り生ゆば。日本酒にもよく合う
➡朝食 朝食は中華あんかけ焼きそば。焼きそば用の麺を炒めて、湯を沸かして中華あんかけを温めるだけ。そして昨夜のアスパラサラダを添えて完成。 いつもながら映えない食事なので、次回は朝食にデザートでも添えてみるかな。

リーズナブルな朝食食材

見てくれが悪くても、ソロのキャンプ飯はあくまでも自己完結
ようやく暑さも一段落して、いよいよ味覚の秋。そしてひやおろしの季節。これからが本格的な酒蔵巡り! キャンプシーズンだ!