2019.08.15

「オートバイ 時々 Camp! Camp! Camp!」 by フィネス vol.1

長年「アウトドア」や「オートバイ」、「ドライブ」などにまつわる旅の本を手掛けてきたフィネスの清水さん・中村さん。ツーリングマップルでは関東甲信越版の著者を担当しているお二人に、キャンプとオートバイの思い出や楽しみ方について語っていただきます。

著・フィネス(清水聖児)

第1回 私的オートバイとの関わり(清水聖児の場合)


フィネスの清水です。今回は古い話ですが、僕の私的なオートバイとの関わりについて書いてみたいと思います。 僕がいちばん最初に乗ったオートバイは、ヤマハのミニトレ(GT80)というマシンでした。今から40年も前(!)のことですが、当時アルバイト先の先輩に 「ちょっと乗ってみるか?」 と言われて運転したのがきっかけです。これでいきなりガツン!とオートバイの魅力に取りつかれてしまいました。すぐにバイク雑誌を読み漁り、原付の免許をとって、ホンダのXE50というオフロードタイプのバイクを買ったのでした。 しかし高校時代はクラブ活動があるため、あまり乗る時間はありませんでした。それでもたまに、狭山湖の森の中のオフロードや、多摩川の河川敷にあったコースなどを走って遊ん楽しんでいました。

HONDA XE50

大学に進むと、乗れる時間は増えますが、50ccではだんだん物足りなくなります。そこで中型の免許をとって、新しいバイクを買うためにアルバイトを始めたのでした。 ちょうど、ホンダの狭山工場でアルバイトを募集していたのを知り、すぐに履歴書を持って面接に。幸運にも、二輪のラインに入ることができ、僕はそこでメーターとクラッチワイヤーの取りつけをすることになりました。 当時ラインに乗って流れてくるバイクはGL1100ゴールドウィングやCBX1000、CB900Fなどの輸出用のビッグバイクがメインで、雑誌でしか見たことのないようなバイクが目の前を次から次へと流れ、その部品を組み立てているということに、とても喜びを感じたものです。 「ライン作業」と言うと、単純作業のように思われがちですが、メーターは米国仕様だとマイル表示、カナダ仕様だとキロメートル表示、フランス仕様だとさらにフランス語のステッカーを貼る作業が増え、輸出先によって細かい違いがあるので、思っていたよりも複雑です。 一日中同じような作業をしているので、時にボーっとして間違えて取りつけてしまうようなこともありましたが、そんな時は、すかさず検査担当の社員が飛んできて、よく怒られたものです。 1ヵ月半のバイトで35万円を稼ぎ、そのお金で買ったバイクが「XL250S」です。前輪が23インチという大径タイヤがとても印象的なマシンでした。 それからは大学にもバイクで通い、休みの日には仲間と林道ツーリングにでかけ、毎日楽しくオートバイライフを過ごしました。 念願の250ccのオフロードバイクを手に入れたので、丹沢や秩父、富士山周辺を中心に、林道ツーリングにはたくさん出かけました。たまに泊まりがけで、伊豆や北関東などの林道へも遠征し、行動範囲はどんどん広くなっていきました。 未舗装路では、タイヤの空気を抜いて圧を低くし、未舗装路の走行が終わったら空気を入れて圧を正常値に戻す、などという面倒な作業も、毎回当たり前のようにやっていました。 今では通行止めや完全舗装になった林道も増えていますが、当時はけっこう身近に未舗装の林道が多く、楽しめました。林道好きライダーには今の状況は寂しいですね。 そのころから、キャンプも始めるようになりました。キャンプと言っても今みたいに「高機能でコンパクト」なキャンプ道具などはありません(あったのかもしれませんが、学生では手が出せないような代物)。 そのためテントは2本ポールの三角テント、寝袋代わりに毛布、食器は飯ごう、熱源は固形燃料、灯りはろうそくと懐中電灯で、それらの道具をバイクに積んで出かけました。 食事もレトルトのカレーや缶詰がメインでしたが、外で食べれば不思議と何でもおいしく感じますよね。焚火を前に、ポケット瓶のウイスキーをちびちび飲みながら、地図を広げて翌日走るコースを確認する、そんなキャンプツーリングが好きでした。 (続く) ※当記事はツーリングマップル週刊メルマガにて2016年6月~2016年9月に配信した記事を再編集したものです。