2023.10.25

ソロキャンプツーリング フィールドガイドVol.7 [日川浜オートキャンプ場]

茨城県の東南端に位置する神栖市の太平洋側に日川浜オートキャンプ場がある。 1990年代の第一次オートキャンプブームにオープンし、植え込みで区画された広い芝生のサイトが好評で、場内の施設も使いやすいように細かいところまで改良を続けている。 どちらかといえばファミリー向けのキャンプ場だが、2021年にソロ・デュオサイトが誕生し、ソロでも気兼ねなく利用できるようになった。

著・清水聖児(フィネス)

東国三社と関東最東端を巡るツーリングキャンプ


日川浜オートキャンプ場は鹿島臨海工業地帯にあり自然景観はあまり望めないが、海に近く海水浴や釣り、サーフィンなどマリンレジャーが楽しめる。とは言え、ソロツーリングでマリンレジャーはまずないだろう。 そこで神栖市の見どころを調べてみると、東国三社のひとつ息栖神社(いきすじんじゃ)という名が出てくる。残りの二社は香取神宮と鹿島神宮で、いずれも距離的にそれほど離れてはいない。であれば東国三社巡りをこのキャンプツーリングの目的にしたい。幸いなことにルート上の潮来には酒蔵もある。 そして一部通行止めだった波崎シーサイド道路が2023年7月に全面開通したので、その道を走り利根川の河口まで行き、そこから銚子大橋を渡り、関東最東端の犬吠埼へ。 さらに銚子市に2022年10月、日本酒博物館がオープンしたというのでそこにも立ち寄りたい。 ということで、東国三社巡りと関東最東端の灯台と酒蔵をめざすツーリングキャンプへでかけた。

キャンプ場から波崎シーサイド道路へ向かう途中、海岸沿いに風力発電施設の風車が並ぶ。残念ながら道路から海は見えない

Pick Up! 周辺情報


1.東国三社巡り 2.愛友酒造 3.湧水茶屋一休 4.レストランうおっせ 5.石上酒造 6.犬吠埼灯台 7.酒の駅かまた・日本酒博物館

1.東国三社巡り


茨城県鹿嶋市の鹿島神宮、神栖市の息栖神社、そして千葉県香取市の香取神宮を総称して東国三社という。 鹿島神宮は全国にある鹿島神社の総本社で常陸国の一宮。香取神宮も全国にある香取神社の総本社で下総国の一宮。いずれも2600年以上の歴史を持つ。息栖神社は2000年以上の歴史を持つといわれ、一の鳥居の両脇には日本三霊泉のひとつに数えられる忍潮井(おしおい)と呼ばれる井戸がある。1000年以上もの間、清水を湧き出し続けているこの井戸が息栖神社のご神体とされている。 東国三社巡りは江戸時代にお伊勢参りの禊ぎの三社参りと呼ばれ、伊勢神宮参拝後に下三宮巡りと称してこの三社を参拝したという。現在でも関東のお伊勢参りとして、またパワースポットとしても東国三社巡りは人気があるようだ。 鹿島神宮 茨城県鹿嶋市宮中2306-1 TEL 0299-82-1209 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.42 L-3 香取神宮 千葉県香取市香取1697-1 TEL 0478-57-3211 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.41 J-2 息栖神社 茨城県神栖市息栖2882 TEL 0299-92-2300 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.42 A-2

2022年に令和の大改修が終わった鹿島神宮奥宮。拝殿は現在改修中(2024年終了予定)。社殿(本殿、幣殿、拝殿、石の間)は国の重要文化財

香取神宮本殿は1700(元禄13)年造営で国の重要文化財

ほかの2社に比べ静かな佇まいの息栖神社。現在の社殿は1963(昭和38)年に建て替えられたもの

2.愛友酒造(あいゆうしゅぞう)


1804(文化元)年創業、潮来唯一の酒蔵で代表銘柄は愛友。鹿島神宮の御神酒「神の池」も造っている。 大生七つ井戸のひとつ、大生神社の神泉「思井戸」を用い、酒米は潮来市産五百万石を100%使用した精米歩合50%、アルコール度15度の純米吟醸友寿はこの酒蔵の逸品だ。 売店に入ってすぐのところに「買ってください」と言わんばかりに並んでいたのは、ひやおろし! 迷わず今年初のひやおろしを購入。その後、酒蔵を案内してもらった。 住所 茨城県潮来市辻205 TEL 0299-62-2234 時 9:00~17:00 休 無休 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.50 K-6

築200年の蔵も酒造りの歴史を感じさせる。酒蔵は随時見学できる

酒蔵の一角にある売店。店頭限定販売の酒もある

酒蔵の看板酒、純米吟醸友寿(写真中央)。純米大吟醸愛友(写真左)は世界最大級の日本酒品評会SAKE COMPETITIONで日本一になったこともある

この季節はやっぱりひやおろし! 精米歩合55%、アルコール度15度。常温がおすすめ

3.湧水茶屋一休(ひとやすみ)


鹿島神宮境内の奥、御手洗池のそばにある茶屋で、長命の湧き水と呼ばれる御手洗池の奥から湧き上がる清水を使った湧水そばやみたらし焼だんごが人気。コーヒーや抹茶、甘酒などにも長命の湧水を使用している。夏はかき氷もあり、完熟イチゴの自家製シロップと練乳がかかった完熟いちごミルクがおすすめとのこと。 住所 茨城県鹿嶋市宮中2306-1 TEL 0299-82-4393 時 9:30~17:00 休 無休 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.42 L-3

鹿島神宮の奥宮のさらに先、御手洗池の横にある湧水茶屋。店頭で焼くみたらし焼きだんごの香りに誘われる

湧水天せいろそば1450円。茨城産の常陸秋そばを長命の湧水で打った二八そば

御手洗池は湧水茶屋一休のすぐそばにある

4.レストランうおっせ


銚子のランドマーク、銚子ポートタワーのすぐ下にあるウオッセ21のシーフードレストラン。目の前の銚子漁港で水揚げされた新鮮な魚介をリーズナブルに堪能できる。 メニューには、カサゴの煮魚と刺し盛が付いたウオッセ定食や、サーモン、イクラ、ウニ、ホタテ、カニ、エビなどが盛られた黒潮丼などがあり、どれも美味しそうで選ぶのに迷う。注文したのは当店人気NO.1とあった海鮮丼。予想以上にネタの種類も多く、満足。 銚子には行列のできる海鮮料理の有名店も多いが、待ち時間のことを考えるとココはおすすめ! 住所 千葉県銚子市川口町2-6529-34 TEL 0479-24-8831 時 11:00~16:00(土・日曜、祝日は10:00~17:00) 休 無休 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.32 L-1

銚子漁港のすぐそばにあるレストランうおっせ

ネタが盛りだくさんの海鮮丼(煮あなご入り)1870円

5.石上酒造


1844(天保15)年創業の関東最東端にある酒蔵。代表銘柄は銚子の誉。明治蔵と大正蔵の2つの大谷石造りの蔵があり、この蔵で千葉県産の酒造好適米を中心に、南部杜氏の優れた醸造技術でていねいに酒を醸している。 ここでは蔵のおすすめの本醸造原酒をおみやげに購入。 住所 千葉県銚子市田中町7-1 TEL 0479-22-0655 時 8:00~17:00 休 日曜、祝日 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.32 J-1

県道254号沿いにある店舗。店舗の裏にある大谷石造りの蔵は国の登録有形文化財

店内には本醸造原酒のほか、純米酒と大吟醸が並ぶ

本醸造原酒は精米歩合65%、日本酒度+5、アルコール度18度、辛口で濃厚な味わい

6.犬吠埼灯台


関東最東端の岬に建つ白亜の犬吠埼灯台。内部の99段の螺旋階段を上がって、展望台まで行くことができ、展望台からは太平洋を一望できる。北側には美しい弧を描く君ヶ浜を望む。 犬吠埼灯台とその横にある旧犬吠埼霧信号所霧笛舎は国の重要文化財に指定されている。 灯台入口にある白いポストは恋愛が成就するポストと言われている、知らんけど…。 住所 千葉県銚子市犬吠埼 TEL 0479-25-8239 時 8:30~17:00(時期により異なる) 休 無休(荒天時休あり) ¥ 参観寄付金大人300円 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.32 L-3

高さ32mのレンガ造りの西洋式灯台。 灯台内部の階段は狭くて角度も急なため、すれ違いは要注意

展望台から君ヶ浜を望む。遠くには銚子ポートタワーや風力発電の風車も見える

灯台の並びにある地域情報発信施設、犬吠テラステラス。カフェやショップ、展望テラスなどがある

7.酒の駅かまた&日本酒博物館


日本酒、焼酎、ワイン、ビールなど、千葉の酒を中心に、おいしいものも数多く取り揃えた酒の駅かまた。2022年にはその隣に日本酒博物館がオープン。銚子市内の酒蔵から譲り受けたものや各地を回って探し集め購入したものなど、酒造りの道具が200点ほど展示されている。 入館は無料で自由に見ることができる。かまたのご主人の情熱に感服! ここでは、この店オリジナルの聖泉猫シリーズ純米吟醸秋あがり猫の昼寝をおみやげに購入。 住所 千葉県銚子市小浜町1966 TEL 0479-23-9025 時 9:00~19:00 休 第1・3火曜 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.42 E-7

酒の駅の看板に吸い寄せられる

昨年オープンした日本酒博物館が隣接

日川浜オートキャンプ場【キャンプ場情報】


キャンプ場は入口にある受付から奥に向かって1本の場内道路沿いにオートサイトが向かい合って並ぶ。ソロ用サイトはオートサイトの先にあり、さらにその奥にキャビンとオープンサイトがある。受付から最奥部までは300mくらいあるが、炊事場やトイレは3か所あるので、それほど不便は感じない。 給湯器付きの炊事場や温水洗浄便座のトイレなど、サニタリー施設も清潔で快適に利用できる。また、ゴミ袋を購入して分別すれば、ほとんどのゴミは捨てられるのでバイクのキャンプでも安心だ。 唯一気になったのが道路の向かい側にある工場の稼働音で、とくにソロ用サイトのある奥の方が夜間静かになると工場の音が気になる。もちろん寝られないほどの音ではなく、隣のテントから聞こえるいびきがずっと続くような感じだろうか。 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.42 E-2

■サイトの種類


▶ソロ・デュオテントサイト サイトの広さは5×8mほどで、木の板の壁で区切られていている。サイトのすぐ前が駐車スペースになっているので、サイトは広く使える。テントだけなら4人用の2ルームテントも設営できそうだ。ただ、一部サイトにはテントの設営に邪魔になりそうな木がある。 地面は砂混じりの草地でペグは刺さりやすいが、雨の日はテントのボトムが濡れた砂で汚れそうなのでグランドシートは必須だろう。 囲いがあるのでプライベート空間は確保され、女性のソロキャンプでも安心して利用できるかもしれない。

各サイト間は囲いがあり、プライベート空間はしっかり確保できる

サイトのすぐ前に駐車スペースがあるので、荷物の積み下ろしも苦にならない

テントと小型タープを張っても少し余裕がある

砂混じりの地面は直接物を置くと砂が付くので、直置きはなるべく避けたい

▶オートサイト オートサイトは約50区画でほとんどが10×10mの広さ。一部を除きAC電源も付いている。オートサイトも植え込みで区画されているので、プライベート空間は確保されている。 そのほか10×15mの広さのAC電源・ミニキッチン、焚火台付きのサイトが3区画と、キャンピングカー用のフルフックアップ(電源・水道・排水設備付き)サイトが1区画ある。 また、芝生のサイトで車の乗り入れができないオープンサイトもある。150㎡で定員8人のサイトが4区画、250㎡で定員10人のサイトが2区画、いずれもグループでの利用に向いている。

100㎡のAC電源付きオートサイト

AC電源、ミニキッチン付きのオートサイトは150㎡の広さ

キャンプ場に一番奥にあるオープンサイト。車の乗り入れはできないが駐車スペースは近くにある

OGAWAの大型テント「グロッケ」が張ってある手ぶらキャンププラン用のサイト

▶キャビン 宿泊施設はウッドデッキ付きのシンプルなキャビンが2棟ある。設備はエアコン、照明、AC電源のみで、1棟だけ冷蔵庫、BBQグリル、焚火台が付いている。いずれも定員9人で屋外にはテント・タープを設営するスペースもある。

冷蔵庫付きのキャビンA(手前)はウッドデッキにピックニックテーブルも設置されている

■場内施設


▶管理棟(受付) 管理棟内には売店があり、ホワイトガソリン、OD缶(コールマン、キャプテンスタッグ)、CB缶などの燃料をはじめ、調味料、缶詰、カップ麺、冷凍食品、お菓子など簡易食品、地酒やクラフトビール、コーヒー、ジュース、お茶などのドリンク類、そのほか日用雑貨など品ぞろえは充実している。薪は針葉樹と広葉樹を販売。 レンタル品はテント、タープ、テーブル、チェア、ランタン、寝袋、焚火台、BBQグリル、クッカー、調理器具セットなど、ほとんどキャンプ用品一式がそろう。

売店(管理棟)の営業時間は8:00~17:00(土曜と連休は~20:00)

キャンプ用燃料はもちろん、着火剤、ライター、電池、簡易スモークセットも

缶詰やカップ麺、パックご飯など、簡易食品も種類豊富

管理棟の横に薪棚があり、針葉樹は1束700円、広葉樹は1束900円

▶炊事場 炊事場は管理棟の並びと場内中央部のサニタリー棟、キャビンの前の3か所にあり、いずれも給湯器付き。シンク(蛇口)の数はキャンプ場の収容数に比べるとやや少なく感じる。食器用洗剤やスポンジなどはない。

ソロ用サイトから近いキャビンの前にある炊事場。シンクは4つで作業台もある

場内中央部にあるサニタリー棟の炊事場。ここはシンク8つ

▶トイレ トイレも炊事場と同じ場所に3か所あり、いずれも温水洗浄便座を備えている。一番奥のトイレは男子用大1室、小2。この場所はオープンサイト、キャビン、ソロ用サイトとオートサイトの一部の利用者が使用するので、混雑時はけっこう混み合う可能性あり。

ソロサイトに近い一番奥のトイレ

男子トイレの個室

場内中央部にあるサニタリー棟

▶シャワー シャワーは管理棟の並びと場内中央部のサニタリー棟内の2か所。サニタリー棟のシャワーは4室。利用時間は7:00~21:30、料金は5分100円。

サニタリー棟のシャワー室

管理棟の並びの男女別トイレ&シャワー

▶キャンプ場データ◀


住所 茨城県神栖市日川2036-124 TEL 0299-97-0567 開設期間 通年 予約 WEB予約 ※今回平日利用でソロ用サイトは1人だけ。オートサイトも4組程度だった。サイト数も多いのでハイシーズンや3連休以外なら土・日曜でもオートサイトの予約はとりやすい。ただソロ用サイトは5区画だけなので週末は早めに予約したほうがいい。 CHECK IN 13:00~17:00/OUT 11:00 <ソロキャンプモデル料金> 3300円(休前日は4400円) サイト使用料 オートサイトAC電源付き(100㎡)3660円~/オートサイトAC電源、ミニキッチン付き(150㎡)9900円~/オープンサイト(150㎡)8800円~、(250㎡)15400円 <ごみ処理> 指定ゴミ袋購入で分別回収。可燃ごみ袋と不燃ごみ袋、各1枚45リットル300円。 可燃ごみは生ごみ、紙類、ビニール、プラスチック、段ボール。不燃ごみはビン、缶、ペットボトル、発泡スチロール、網、アルミホイル、ブルーシートなど。ガス缶は穴を開け専用コンテナボックスへ。消し炭や灰捨て場もゴミ置き場の近くにある。

指定ゴミ袋は可燃ごみと不燃ごみ各1枚300円。1枚45リットルなので、ソロでは大きすぎる。小さいゴミ袋もぜひ用意してほしい

ごみ置き場は3か所。ガス缶回収専用コンテナも同じ場所にある。ガス缶に穴を空ける器具も常備

消し炭や灰捨て場には、未使用の薪や炭を置く場所もある

<周辺情報> ※( )内はキャンプ場からの距離 スーパー フーズマーケット ハピネ知手店(約4㎞)/フードマーケットカスミ神栖店(11㎞) コンビニ セブンイレブン神栖知手東店(約2㎞) ホームセンター コメリ神栖店(約5㎞) 温泉 ゆ~ぽ~とはさき(約5㎞)/ふれあいセンター湯楽々(約3㎞)

今回のキャンプ飯


食材は地元スーパーのカスミで調達。酒は潮来の愛友酒造、そしてクラフトビールはキャンプ場の売店で購入。 ➡夕食 ビールを飲みながら夕食の準備。いつものことながら湯を沸かして温めるだけ。メインは銚子漁港で水揚げされたサバの味噌煮。そして筑前煮と冷ややっこ。酒の肴としていうことなし。

今年初のひやおろしは愛友酒造のひやおろし!

キャンプ場の売店で見つけた「常陸野ネストビール」。 茨城県那珂市の日本酒の蔵元、木内酒造が製造・販売するクラフトビールとのこと。ホワイトエール(左)とヴァイツェン(右)

そして夕食はこんな感じ

➡朝食 自分なりにおしゃれに整えたつもりの朝食? トルティーヤにサラダにオニオンスープ、牛乳とコーヒー、そしてデザートにコーヒーゼリー。昨日の夕食とは打って変わって洋風!

朝食もスープとコーヒーを淹れるために湯を沸かしただけ。撤収日の朝食はこれでいいんだ!