2023.10.27

【道の終わりまでGO!】終点でステキなことが待っているスポット~関西編~ 

旅先で見つけた新しい道。地図で見ると行き止まりだけれど、終点には何があるのだろう、と興味をひかれることはありませんか。ここではそんなスポットを5つ選んでご紹介。第1回は関西編をお届けします。

著・滝野沢優子

オススメはココ!


1.樫野埼【和歌山県】 2.御座岬【三重県】 3.須賀利集落【三重県】 4.菅浦集落【滋賀県】 5.鳴門海峡(門崎)【兵庫県】

1.樫野埼【和歌山県】


ルート

本州最南端・潮岬とくしもと大橋で繋がった紀伊大島の最東端。釣りやダイビングで人気だが、樫野崎灯台周辺にはトルコ記念館やトルコの民芸品を売る店もある。 「なぜ、ここにトルコ?」 と思われるだろうが、これは明治23年(1890年)にトルコ軍艦エルトゥールル号が樫野崎沖で遭難、587名が死亡(生存69名)した事故が起こり、その際に島民が懸命に救助活動をしたことが縁。現在でも5年ごとに慰霊祭が行われている。 日本人にはあまり知られていないが、トルコではよく知られているそうだ。イラン・イラク戦争時、イラクに攻撃を受けているテヘランから自国民よりも日本人救出を優先しトルコ航空機を派遣、無事にトルコまで避難させた。「トルコは海の恩を空で返した」と言われた。 ツーリングマップル➡ 関西 P.2 D-6

串本と紀伊大島を結ぶくしもと大橋。290mのアーチ橋と苗我島にかかる386mのループ橋からなる

樫野埼灯台は日本最古の石造り&回転式閃光灯台。冬には明治初期に灯台技師のイギリス人が植えたスイセンが咲き乱れる

灯台のある広場にはオスマン帝国の将軍でトルコ共和国の元帥、ケマル・アタチュルクの像が立つ

樫野埼の南にある「海金剛」。鷹巣岬の断崖下の海から荒々しく切り立つ岩が連なる絶景。「21世紀に残したい日本の自然百選」

樫野埼付近で見かけたゴクラクチョウカ。冬でも温暖な気候なので、ほかにもハイビスカスなど亜熱帯の植物が野生でも見られる

2.御座岬【三重県】


ルート

志摩地方の最南端部にある先島半島の最西端で、真珠やカキの養殖筏が浮かぶ美しい英虞湾の眺望を楽しみながら3つの橋を渡ってたどり着く。国道260号は一旦途切れるが、対岸の浜島との間が海上国道になっていて、浜島から再び国道260号が紀伊長島まで続いている。以前はフェリーがあったが現在は航路がないので渡ることはできない。一帯には美しいビーチが広がっていて、キャンプ場もたくさんある。干潮時だけ姿を現す「潮仏」も必見。 ツーリングマップル➡ 関西 P.20 G-2/中部北陸 P.2 G-2

ひっそりとした御座漁港。潮仏はここのフィッシングセンターの建物脇から歩いていく

国道260号線の終点。以前は定期航路があって浜島へ15分ほどで渡れたが、現在、浜島へ行くには英虞湾を回り込み1時間かかる

海中に祀られているので、満潮時は海に隠れてしまう。腰から下の病や子宝、安産などにご利益あり

海に隠れてしまった潮仏。潮の満ち引きの時間を調べて行くといい

御座白浜と呼ばれる美しい海。海に面してキャンプ場が並び、サーフィンや海水浴客で賑わう

3.須賀利集落(すがりしゅうらく)【三重県】


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尾鷲湾の北部、須賀利湾に面した人口300人ほどの小さな漁村で、江戸時代には江戸 と 大坂を往来する廻船の風待ち港として栄えた。地理的には陸続きではあるが1982(昭和57年)まで道路がなく、尾鷲からの巡航船(2012年に廃航)でしか行き来できない「陸の孤島」だった。海に山が迫る入り組んだ地形で、瓦屋根の民家200軒が斜面にびっしりと貼り付いたように建ち並ぶ風景が見られる。尾鷲市の飛び地だが道路開通後は紀北町との繋がりが深い。「日本の里百選」。 ツーリングマップル➡ 関西 P.12 E-2

穏やかな湾の中にある須賀利漁港。昔ながらの素朴な漁村風景が見られる。近年はタイの養殖が盛ん

集落の中は狭い路地が入り組んでいる。奥の階段を登ると普済寺

普済寺の境内から見た瓦屋根が密集する須賀利の集落

以前は銭湯だった? かつて繁栄していた頃の名残もちらほら見かける

お年寄りの手形。須賀利に今も残る風習のようで米寿を迎えた人の手形を縁起物として飾っているそう

4.菅浦集落【滋賀県】


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琵琶湖の北部、奥琵琶湖の葛籠尾崎(つづらおざき)の西岸入江に位置し、奥琵琶湖パークウエイに繋がる県道513号の途中から数キロ進んだ終点にある漁村。縄文時代から人間が住んだ記録があるが、険しい地形によって周辺地域から隔絶されているため独自の暮らしが営まれ、中世の自治形態である「惣(そう)」の伝統が現在まで継承されている。東西の出入り口にはかつての監視門であった茅葺きの四足門(しそくもん)が残る。「菅浦の湖岸集落」として重要文化的景観に指定されている。近年はカヌー、カヤックの基地としても人気。 ツーリングマップル➡ 関西 P.66 M-1/中部北陸 P.36 M-1

山が迫り、平地の少ない急峻な地形に造られた60軒余りの集落。昭和30年代までは陸路はなく、船でしか行けない「陸の孤島」だった

西と東の入口に残る茅葺の四足門。かつては東西南北にあったようだ。これは集落の東側のもの

県道の分岐を進んだ終点が菅浦集落の入口。東の四足門を過ぎたところ。左側に須賀神社がある

集落の中はタイムスリップしたような家並みが続く。地区の住民は57世帯人口103人(2020年)

須賀神社。この地に隠棲したと言われる淳仁天皇を祀る。鎌倉~江戸時代の集落の様子を記録した「菅浦文書」が残り、国宝に指定されている

5.鳴門海峡(門崎)【兵庫県】


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淡路島と四国を隔てる鳴門海峡は日本一のうず潮観測地。瀬戸内海と太平洋との潮の干満の差によって発生するが、このうず潮を淡路島側から見るには、鳴門海峡に突き出た門崎へ。岬の先端には道の駅うずしおがあり、駐車場にバイクを止め遊歩道を海に向かって歩こう。数分下ったところが鳴門岬公園で、大鳴門橋とうず潮の海を間近に望める。うず潮をさらに近づいてみたい人は福良港の道の駅福良から観潮船が出ている。現在、道の駅はリニューアル中だが、令和7年3月の再オープンまでは駐車場内にできた「うずまちテラス」が営業中。 ツーリングマップル➡ 関西 P.15 E-3/中国四国 P.61 E-3

門崎から見た、鳴門海峡大橋と鳴門海峡に沈む夕日。対岸が四国だが、高速道路でしか繋がっていない

道の駅「うずしお」の駐車場から歩いて2、3分で大鳴門橋の真下に到着。うず潮も見られる

クルーズ船に乗って鳴門海峡のうず潮を見学。うずしおクルーズはここからではなく福良港から出航

「道の駅うずしお」。2階レストランからは鳴門海峡の大展望が広がる。※2022年1月よりリニューアル工事で休業中。現在は駐車場内にできた「うずまちテラス」が道の駅の代わりに営業中。新しい道の駅は2025年3月再オープン予定。画像は休業前に撮影

淡路島は玉ねぎの名産地。「道の駅うずしお」のバス停には、大きな玉ねぎが! 「おっ玉チェア」というベンチになっている。※これも工事中で別の場所に移動しているかも。画像は休業前に撮影