2024.03.13

【ツーリングマップル中部北陸2024年度版】取材車両インプレッション~KTM 890 ADVENTURE R/KTM 1290 SUPER ADVENTURE S~

2024年度版のツーリングマップル中部北陸(2024年3月14日発売)の表紙撮影&実走取材で使用した車両を紹介します。 ※掲載の情報は2024年3月現在のものです

著・内田一成、フィネス/撮影・盛長幸夫

1.車両インプレッション  1-1.KTM 890 ADVENTURE R  1-2.KTM 1290 SUPER ADVENTURE S 2.車両紹介

KTM 890 ADVENTURE R

KTM 1290 SUPER ADVENTURE S

メーカー公式サイト、取材担当者による取材で使用したグッズのインプレッションは下記リンクからどうぞ▶

1-1.KTM 890 ADVENTURE R インプレッション


じつはこのバイクは、個人的にいちばん興味があって、乗れるのを楽しみにしていた。同じミドルクラスのオフロードアドベンチャーモデルの中で、もっとも軽い部類で、もっともパワーがある。そして、"R"のネーミングが示すように、オフロードをアグレッシヴに攻められるエンデューロバイクそのものの味つけになっている。 なので当然、それなりのオフロードを走るべく、表紙撮影、実走取材のツーリングコースには妙高から白馬へ抜けるロングダートやサンドの走りが楽しめる千里浜から内灘にかけての能登半島西岸を織り込んだ。

水冷並列2気筒889ccとは思えない、無駄を省いたスリムな車体

ロワータンクのおかげで、ライダーの視界の中もスッキリしている

いちばん印象的だったのは、ロワータンクがもたらす低重心化による抜群の安定性だった。20リットル容量の燃料タンクがエンジンヘッドよりも下側にあるおかげで、またがった瞬間から、安定感が感じられる。 さらにダートで寝かし込んでいったとき、燃料タンクが普通にエンジンヘッドの上にあるコンベンショナルなバイクだと自分から切れ込んでバランスを崩しそうになるようなシチュエーションでも、逆に立ち上がり傾向を示すので、抑え込むように倒し込んでいける。それで不意にグリップを失ったりしないので、自分が思い通りに操っている感覚を味わうことができる。

内灘付近のフカフカのサンドでもシャープなアクセルレスポンスで、フロント荷重を抜いて気持ちよく走れる

低重心のおかげで、ややタイトなコーナーでも積極的に寝かし込んでいける

終始、ABSが解除されてパワー制限もかからないラリーモードを使ったが、これも低重心が効いてスライドコントロールが自由自在にできて、けっこう荷物を積んでそれなりの重量になっていたのに存分にファンライドが楽しめた。

本気でオフロードを走るときに、簡単に微妙なサスペンションがセッティングできるのはうれしい

ロワータンクだけでなく、このステアリングダンパーも安定したハンドリングに貢献している。錯綜する轍なども振られることなく安心して走れる

ストリート、レイン、オフロード、ラリーの4つのモードの他にスキッドコントロールやABSなどを自分の好みに合わせて調整できるのがうれしい※オプション装備含む

それなりにオフロード経験のあるライダーなら、"R"というネーミングに尻込みせず、このバイクを選べば、安心して積極的にダートやサンドに踏み込んでいけるので、ツーリングの世界も楽しみも大きく広がるはずだ。

シート高はそれなりに高いが、しなやかなサスペンションのおかげで1Gの沈み込みがけっこうあるので、あまり意識しなくてすむ

1-2.KTM 1290 SUPER ADVENTURE S インプレッション


こちらは、KTMが熟成を重ねてきた信頼のVツインエンジンLC8を搭載するツーリングアドベンチャー。こちらにもRモデルがあるが、KTM 890 ADVENTURE Rとの性格の違いを見るのも面白いだろうとストリート寄りのSを選んでみた。 ひとことでいえば、コンフォートなグランドツアラー。 余裕のあるエンジンパワーとトルクで、高速巡航もいたって静かで、オートクルーズはいうに及ばず、前車追従システムまで備えていて、もはや四輪のラグジュアリーカーを運転しているのとさほど変わらない。 だけど、さすがにKTMだけあって、これもロワータンクがもたらす低重心のおかげで、ワインディングでのスポーツ走行はもちろん、ダートに出くわしてもまったく怯むことはなかった。

こちらもローワータンクによる低重心が安定感と安心感に繋がっている。フル装備でも重さを感じさせないのはさすがKTM

こちらの車両ではKTM PowerPartsのTOURATECH CASEを使用。黒色アルマイト製で容量は45L

2.車両紹介


▶KTM 890 ADVENTURE R KTMのアドベンチャーモデルのミドルクラスで、パラレルツインの889cc水冷DOHCエンジンを搭載。「R」はスタンダードモデルのオフロード走破性能をさらにアップさせたモデル。コーナリングABSをはじめ、ライダーを安全にサポートしてくれる電子デバイスも充実。 メーカー希望小売価格=189万円 シート高880mm/車両重量200Kg(燃料含まず) 総排気量=889cc/燃料タンク容量=20L/最高出力=105PS

▶KTM 1290 SUPER ADVENTURE S ミリ波レーダーを使用したアダプティブクルーズコントロールほか、最新の電子デバイスを搭載したアドベンチャーモデルで、パワーユニットは1301ccのVツインエンジン。メーターは7インチのTFTディスプレイでKTMconnectを使用してスマートフォンとの接続もできる。 メーカー希望小売価格=267万9000円 シート高849/869mm/車両重量220Kg(燃料含まず) 総排気量=1301cc/燃料タンク容量=23L/最高出力=160PS