2021.03.08

「2021年版の取材を振り返って」Vol.3~中国・四国編~

「2021年版の取材を振り返って」をテーマに、各著者が感じたことについて語ってもらうシリーズの第3回は中国四国担当の博田さんからの話です。

著・博田巌

2020年の取材シーズンを振りかえる


例年は桜の時期から始まり、季節の花々や各地の風物詩を絡めながら、初秋にかけて比較的長い期間分散したスタイルで進めていた中国四国の実走取材。コロナ禍に見舞われた2020年は、春先に少しだけ桜を絡めた取材が出来ただけで、その後の空白期間が長かったですね。 果たして2021年度版の「ツーリングマップル」は出版されるのだろうか、という心配もありましたが、緊急事態宣言明けから少したった6月末に「著者会議」を開催。ようやく次の年に向け動き出すことになりました。 7月に入りまだまだ自粛ムード漂う中、マスクに除菌スプレー、除菌シートなどの感染症対策グッズを揃え直して、まずは慎重に日帰りで、近場から手探りながら走り出したのを思い出します。その後、四国内ならまあ大丈夫でしょう、と少しずつ泊りも入れながら、再び感染拡大する可能性もあるのでなるべく早く取材を進めていこうという思いで出かけていました。 が、2020年の梅雨は長かった。しっかり雨の降る日も多くて、なかなか思うように実走取材が進まず、ついに仕方がない、今年は「ドライブマップル」もありね、と車での取材も取り入れながら、無理せずに安全第一、体調管理にも気をつけながら取り組みました。 7月末に「GOTOトラベル」が始まりましたが、この頃はまだまだ利用者も少なく、例年の実走取材では宿泊しないであろう温泉宿なども有難いことに利用できました。しかし中にはトイレ共同、部屋や同じフロアに洗面台がなく、エレベーターで階下の浴場まで行かないと手が洗えないという宿もあり、さすがに頻繁に手が洗えないというのは精神的に厳しいなと感じて、その後は宿選びも慎重になり結局ビジネスホテルがメインになりました。感染を考慮して、計画していたゲストハウスやライダーハウスへの宿泊も断念、この調査は次の年以降への持ち越しとしました。

桜と冠雪した山並みを見られる国領川桜並木(中国四国70A-5)

西照神社参道付近の遅咲きのアジサイ(中国四国60A-7)

梅雨も明けて、8月に入ると今度は猛暑の中での取材活動。海を渡り、中国地方にも足を延ばしていきます。暑さで汗をかくのもありますが、コロナ禍で身の回りを清潔に保たなければと宿のコインランドリーでの洗濯が日課になり、そのおかげで今まで多くなっていた着替えなど、夏場の荷物を少なくすることができて、より身軽に実走取材に取り組めるようになったのが個人的には大きな収穫に。毎年フェリーで行ける瀬戸内や隠岐等の島巡りも実走取材の楽しみでしたが、今年は無理しなくてもいいよね、と、橋で繋がっているしまなみ海道や周防大島の再調査とすることにしました。ツーリングライダーも多く見かけるようになりましたが、ほとんどが同一県内ナンバー。道の駅で会ったライダーに「四国から?」と驚かれるほど、まだまだ遠くまで出掛ける感じではなかったですね。会う人にツーリングマップルを見せながら、「取材で走っているんですよ」と、説明をすることもあったのですが、道端でこれからのルートを思案中に、散歩中の地元の方が気さくに話しかけてくれたり、セルフのガソリンスタンドで従業員が「どこから?」などと普通に話しかけてくれたりするなかで、少しずつ人に対する緊張感も少なくなっていきました。夏場は感染者数も少なかったですしね。

日本海独特の断崖の海岸線が続く仁万の海岸(中国四国12L-3)

岩見銀山大森の町並み(中国四国12M-4)

お盆期間には表紙撮影を敢行(この模様は2021年度版巻頭ページで紹介しています)。訪れた萩や柳井、岩国など、例年だと暑い時期でも人出の多い観光地はどこも閑散としていて、シャッターを閉めているお店も多く、やはり例年とは違いました。 表紙撮影に入る前に、広報車両を徳島港で引き取った後に通った国道438号~439号ではやけに車が多いなと思っていたら、剣山登山口の駐車場は満車、路上駐車も多くて、少し離れた駐車場にも車が。何かと思ったら、多くの登山者で賑わっていて、なんだか人が向かう場所が変わった印象でしたね。 その後に通った「ひばり食堂」(中国四国77L-5)には長蛇の列、土曜日のお昼時でしたが並んでも食べたくなる繁盛店の人気ぶりは相変わらずで、「せっかく出掛けるなら」という気持ちも分かりますね。 お盆を過ぎるとツーリングを楽しむバイクも多くなり、なかにはキャンプ道具でしょうか?荷物を満載したバイクも少しずつ見かけるようになりました。 9月に入ると暑さも和らいできました。「GOTOトラベル」の効果か、少しずつ観光地の人出も戻りつつ、週末などは予約サイトでの宿泊予約が難しく感じることも多くなってきました。しかし毎年楽しみにしている大山周辺取材はなんと3日間雨。でも、そのおかげでしっかり温泉調査が出来ました。コロナだけが原因ではないでしょうが、昨年は日帰り温泉施設の休業、閉業が多かった気がします。残念ですが、これも取材成果として誌面に反映できたと思います。

門司の和布刈公園で九州沖縄の表紙撮影が終わった坂口さんと合流(中国四国63K-1)

錦帯橋が見られるホテルの部屋から盆の花火を鑑賞(中国四国55E-5)

呉のご当地グルメ「呉海自カレー」を港町珈琲店で(中国四国56C-4)

大芝島で素敵な瀬戸内の風景を眺める

実走取材の終盤は、恒例の四国の林道調査、山の中はすっかり秋の気配、人の少ない場所に出掛けるのは少し安心できました。毎年なるべく掲載している林道のダート情報をすべて確認出来ればと思っているのですが、2020年はやはり安全第一、確認できなかった場所も残りました。とはいえ新型コロナに感染することもなく、無事に終えることが出来てよかったです。 当初は不安も大きかった実走取材でしたが、感染者数が比較的少なかった中国四国ということもあり、場面によっては意外と例年と変わらない印象でした。しかし観光地にはやはり人出が少なく、そんな中ホテルや飲食店でしっかり働く方々の姿はとても有難く感じられました。亡くなられた方や重症の方も多くまだまだ気が抜けませんが、早く収束し気楽にツーリングに出掛けられるようになることを願っています。次回は実走取材で印象に残った魅力あるスポットを紹介したいと思います。

剣山スーパー林道沿いにある徳島のヘソ(中国四国72E-7)

走り応えのある仁尾ヶ内林道(中国四国77J-2)

【取材・撮影協力】


車輌:Tiger900Rally(トライアンフモーターサイクルズジャパン) ヘルメット:XDアウトライン(アライヘルメット) ウェア・グローブ・靴:GWMゴアテックスマルチクルーザージャケット/GWSゴアテックスデニムパンツ GWMX-OVERメッシュグローブ GベクターGWMX-OVERブーツ(ゴールドウイン) バッグ:GWMX-OVERリアバッグ35(ゴールドウイン)

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