2025.11.06

【ドキュメント96時間】琵琶湖一周!アフターSSTR大団円【アフターSSTR2025 <ビワイチ編>】

ここまでお届けしてきた、2025年のSSTRに関連したツーリングのレポートですが、今回が最終回です。3台のVストローム250SXは、敦賀に到着。最終日の目的地は「琵琶湖」に決定。「ビワイチ」で最終日を締めくくることになりました。

著・中村聡一郎(フィネス)/取材協力:SUZUKI

【6/2の走行ルート】


敦賀から琵琶湖の北岸へ。「道の駅 塩津街道あぢかまの里」を起終点に、ぐるっと東岸から西岸へと時計回りに走って琵琶湖畔を一周です。

今回のルートは、面積約670平方km、日本最大の湖「琵琶湖」の湖岸沿い約200kmをぐるっと一周

【目指せ、滋賀のマザーレイク「琵琶湖」】


「おはようございます」 朝食会場で舛木さん、カソリさんと今日の行く先についてご相談。Xで行き先投票をした結果、「伊勢神宮」が1位でした。しかし、当日、アポなしでの訪問では、境内での撮影は一切出来ないことに気づいて(事前に取材申請しても、許可が下りるのかどうかは怪しいところですが)、投票していただいた方には申し訳ないのですが、「琵琶湖一周」に決定しました。

JR敦賀駅前の「ホテルルートイン敦賀駅前」を出発

ホテルの駐車場が満杯だったため、JR敦賀駅そばの「敦賀市駅前立体駐車場」を利用。大型バイクの収容台数は7台ですが、無料で24時間利用可能

国道8号を走りながらインカムで会話をしていると、カソリさんから、興味をひかれる話が出ました。なんでも、この先の峠にあった茶屋に、松尾芭蕉の『奥の細道』の素龍清書本(原本)が展示されていたそうです。では、寄ってみようとバイクを停めましたが、茶屋は数年前に閉店。建物と、『奥の細道』の素龍清書本にまつわる話が記された石碑だけが残っていました。

右手の茅葺き屋根が2023年に閉店した「民芸茶屋 孫兵衛」。カソリさんは店内で展示されていた「素龍清書本(原本)」を見たことがあったそう

芭蕉翁と茶屋を経営していた西村家との繋がりが記された石碑はそのままです

【道の駅 塩津街道あぢかまの里からビワイチ、スタート】


峠を下って、琵琶湖の西岸へ向かうJR湖西線の高架をくぐり、「道の駅 塩津街道あぢかまの里」に到着です。ちょうど営業開始のタイミングで、ぶらぶらと駅内を散策していると、「ごパン」と書かれた看板が。 「ごはん?、パン?、???」 これは食べてみないと、と早速購入。「米粉」を使うパンは、よく見かけるのですが、ここのパンは、炊いたご飯を混ぜているとのこと。米粒の食感は全くなくて、すごくモチモチした初めて味わう食感です。そして、じつに美味しい!

国道8号と、小浜へ続く国道303号の交差点近くにある「道の駅 塩津街道あぢかまの里」。「あぢかま」とは塩津地域をさす枕言葉で、びわ湖の水辺で冬を越す鴨に由来している

駅内に展示されている琵琶湖の水運で活躍していた「丸子舟」。詳しい情報は「北淡海・丸子船の館」(道の駅から約6km)へ

「ごパン」は食パンから菓子パンまでいろいろな種類を販売していました

そして、いよいよ「ビワイチ」スタートです。コース途中の「奥琵琶湖パークウェイ」が、南から北への一方通行なので、東岸から西岸の時計回りのコースにします。日没までに、またここへ戻ることに決めて、出発。まずは、「賤ヶ岳」の麓を湖沿いに走る県道336号で、木之本へ。ここから「さざなみ街道」※で琵琶湖の南の端を目指します。 ※「さざなみ街道」とは、木之本と大津までの、琵琶湖の湖岸を通る複数の県道の総称

「塩津」の入り江から琵琶湖一周スタートです。カソリさん、「みなさーん、海ですよー」と叫んでます...確かに、湖とは思えないスケール感ですが...

沿道の「道の駅」にはできるだけ立ち寄りすることにします。最初の駅は、ユニークな外観の「道の駅 湖北みずどりステーション」。もしかして、鳥のイメージ?1階に直売所と食堂、2階に展望室があります

信号も、交通量も少ないので、琵琶湖沿いの道を気分良く快走です。湖北から長浜までは、湖岸に緑も多く、幻想的な夕景が見られることでも人気のエリア

米原まで、ほとんどが琵琶湖の湖岸の快適な道で、気分上々のツーリングを楽しみます。そして、遠くに見える対岸の山並みと、広々とした湖面にあらためて大きさを実感します。

道越しに琵琶湖を望む「道の駅 近江母の郷」へ到着

カソリさん、琵琶湖の郷土料理「鮒ずし」を見つけて、ニコニコです。この時には自宅へ持ち帰ると思っていたのですが。ちなみに、「鮒ずし」は、日本最古の寿司とも言われる発酵食。琵琶湖でとれるニゴロブナを塩漬けにして、米と共に発酵させたものです

【寄り道を楽しみながら琵琶湖最南の大津へ】


彦根市から近江八幡市へと走っていると、道沿いにお洒落な建物が見えました。 すると、舛木さんから 「あ、ここだ。前から寄りたかった店なんです」 と寄り道のリクエスト。 すぐにUターンします。何の店かと思ったら、ベーカリーでした。店名は「ジュブルリタン」で、オジサンが入るにはちょっとたじろいでしまうお洒落な建物です。中に入ると美味しそうなパンがズラリ。パンを購入して、屋内フリースペースでいただきました。

建物がじつにみごと。カソリさんも、興味津々に店へ。2階にはカフェもあります

ちょっと早めの昼食となりました。えーっと、パンの名前は...すいません、メモしていませんでした...反省

美味しいパンを味わったら、ツーリングを再開です。彦根市街を過ぎたところで、県道から湖岸沿いの道へ入ってみます。すると、大きな木が立ったスペースがあって、木の下にはベンチが置かれています。 「あ、これがSNSなどでよく見る、琵琶湖畔のベンチか」 ツーリングマップル関西にも「あのベンチ」と載っている映えスポットで、センダンの木の根本にベンチが置かれています。座ってみれば、目の前に広がる琵琶湖の眺めがじつにいい雰囲気。しばらくここでのんびりひと休みはさぞ気持ち良いだろうな、と思ったのですが、平日にもかかわらず、見物客がやって来るので、邪魔にならないように、早々に出発です。

このベンチは、近くに住んでいる方が、琵琶湖の眺めを楽しむために作った手作りのものだそうです。ちょうどセンダンの木にきれいな花が咲いていました

しかし、この二人は映えスポットより地図?私とカソリさんは周辺の防災マップに興味津々。「水路の形状がおもしろいですね」「集落を囲んでますね」

【琵琶湖を離れて人気のショップと近江八幡へ】


近江八幡市で琵琶湖から離れて、「ラ・コリーナ近江八幡」へ。ここは洋菓子で知られる「たねや」「クラブハリエ」が手がける施設で、緑に覆われた建物の写真を見て、一度訪れてみたいと思っていた場所です。 草原の中に歩道があり、その先には緑色、ではなく植物に覆われたメインショップ。さらに、そこを抜けると池があり、そのまわりにショップやフードコートが建っています。ぐるりと中を巡って、最後に「バームファクトリー」で買物です。

植物に包まれたメインショップ。カソリさんはこれを見て「縄文だね~」とひと言...

施設の中央には池があり、どこかビオトープ的な雰囲気の空間。それを囲むように回廊で繋がれた建物が建つ

製造の様子も見学できる「バームファクトリー」で、焼きたてのバームクーヘンを購入

次は近江八幡市街へ入ります。ただ、道が良くわからず、ツーリングマップルを頼りに走ります。狭い路地の先で、「日牟禮八幡宮」の境内に出て、さらに「八幡堀」や「白雲館」、「近江兄弟社」と、運良く近江八幡の名所を見ることもできました。じつに、雰囲気が良くて、次は歩いてまわりたいですね。

琵琶湖への水運のために造られた「八幡堀」に架かる「白雲橋」を渡る

「日牟禮八幡宮」の鳥居をくぐる。正面の建物は「白雲館」。明治10(1877)年に八幡東学校として建てられた擬洋風建造物で、現在は観光案内所になっている

ヴォーリズ建築で知られる「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏」が創業した「近江兄弟社」の前を通過

この後、琵琶湖畔への道がわからず迷いましたが、何とか湖岸へ戻ります。だいぶ対岸との距離が狭くなってきて、交通量も増えてきます。今日は平日なので、夕方のラッシュ時間の前には大津市街を通り抜けたいところです。

琵琶湖の湖畔周辺では「麦」の収穫の時期、「麦秋」を迎えていた

「道の駅 草津」は休業日でした、残念

【瀬田の唐橋を渡って大津へ、そして東岸を北へ】


どこで琵琶湖を渡って西岸の大津市へ入るか、思案しましたが、やはり、一番南にある「瀬田の唐橋」でしょう。ということで、南へひた走ります。そして、「瀬田の唐橋」に到着。瀬田川を渡って大津市へ入ります。

琵琶湖大橋を過ぎると、東岸が手の届きそうな距離に見えてきます。周りの風景もだんだんと都市の景観に

旧東海道の「瀬田の唐橋」を渡って大津へ。途中に小島があり、「大橋」と「小橋」にわかれています。昭和58年に掛け替えられていますが、欄干の擬宝珠など、昔の雰囲気が残っています

大津市市街は、交通量もグッと増えて、国道1号はノロノロ状態。できれば、西岸も湖岸沿いを走りたかったのですが、この状況では日没までに「ビワイチ」達成は難しいと判断して、湖西道路、志賀バイパスで一気に北上します。そして、高島から湖岸沿いの県道304号で琵琶湖と再会です。

自動車専用道の湖西道路で琵琶湖西岸を北へ。時折、琵琶湖が見えます

湖上に立つ鳥居で有名な白鬚神社前を通過

高島からは県道333号で再び琵琶湖の湖畔沿いを走ります

「ここが道の駅?」と思ってしまった「道の駅 しんあさひ風車村」。以前は右に見える「風車」の辺りが駅でしたが、現在はこちらの駐車場とトイレが駅の施設。しかし、このままで良いのでしょうかね

【日没までにビワイチ達成なるか、最後にハプニング発生!?】


街道の面影が残る「海津」の町並みを通り、春の桜並木が有名な「海津大崎」へ。この辺りは、コンクリートで固められた護岸もなく、琵琶湖を近くに感じる道です。 そして、大浦の集落から今日のハイライト、となるはずだった「奥琵琶湖パークウェイ」へ。通行時間が気になっていたのですが、ギリギリ間に合うと信じて向かった結果は... 「残念、ゲート閉まってますね」 途中の看板では18時まで通行可だったので、間に合ったと思ったのですが、後日確認したところ、ゲートは30分ぐらい前に閉めるとのことでした。 気を取り直して、「菅浦集落」の入口まで往復して、国道303号で「道の駅 塩津街道あぢかまの里」まで戻りました。

海津大崎のあたりはガードレールもないので、琵琶湖がとても近く感じられる

ああ無情のゲート閉鎖。「奥琵琶湖パークウェイ」は通行時間に間に合わず

道の終端にある、奥琵琶湖の隠れ里「菅浦集落」。カソリさんも初訪問でした

集落への出入りを監視するために造られたという「四足門」

【ビワイチ、そしてSSTRの旅、これにて終了、お疲れさまでした!】


奥琵琶湖パークウェイは走れませんでしたが、暗くなる前に「道の駅 塩津街道あぢかまの里」に戻ることはできました。これで、4日間のSSTR&アフターSSTRも終了です。 3人ともこれから関東へ帰宅ですが、それぞれのペースがありますので、ここで解散となりました。 「お疲れさまでした~」 と、帰ろうとすると 「忘れてたよ、琵琶湖の味をみんなで食べていこうよ」 と、カソリさんの一声。 「!」 というわけで、「鮒ずし」をいただいてあらためて解散となりました。 「で、お味はいかが?」 それについては、実食の様子を含めて、後日、ツーリングマップルチャンネルにアップされると思いますので、そちらをお待ちください。

「ビワイチ走ったぜ!」

やはり、鮒ずしは手強かったです...

【後書き】


2025年のSSTRとアフターSSTRのレポートは今回が最終回です。大雨の大磯から始まり、琵琶湖で終わる4日間でした。 スタート時の天気は、これまでで一番の荒天でした。しかし、日本海で青空に再会、千里浜へ到着してみると、逆にこれまでで一番ステキな夕景が目の前に。じつに劇的な一日を体験できました。 また、これまでは、とにかく完走条件を達成して、千里浜に時間内にゴールすることに注力していました。観光やグルメを楽しむことは、二の次となっていて、でも次回はそれも楽しみながら走りたいとは考えていたものの、実現できませんでした。 しかし、今年は大雨のせいもあったのですが、スタート後一気に北上して、北陸を目指す行程にしました。結果、これまでよりも時間に余裕が出来たのかな、というのが実感です。おかげで、道の駅できちんと地元の味覚を昼食でたべることができました。少しだけ、旅も楽しんだSSTRでした。 来年、もし参加するのであれば、今年を参考にして、さらに観光地も巡る、旅を楽しむ行程にしたいですね。もちろん、可能であれば「道の駅 狼煙」経由での千里浜ゴールも視野に入れています。 そして、今回印象的だったのは、2日目に実際に見た「能登半島」の被災地の状況です。2026年も、状況の変化を見るために、能登半島を必ず再訪しようと考えています。 最後に、SSTRの帰路のゴール地点、やはり次回は「潮岬」でしょうか。乞うご期待!

4日間の良き旅の相棒となってくれた「Vストローム250SX」。トータルでの走行距離は約2000kmでした

【youtubeも配信中】


マスキさんが走って、見て、そして感じた「SSTR2025」を「TOURING MAPPLEチャンネル」で配信中です。こちらも是非!

 

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