2020.06.04

ツーリング前に知っておきたい!「あの映画・小説はココで生まれた」vol.13

漫画やアニメ、映画やドラマ、小説、歴史的事件などの舞台を旅する「聖地巡礼」がメジャーになってきた昨今。物語の舞台になった場所は日本中にたくさんありますが、案外、そのことを知らずにツーリングで訪れて満足していることも多いものです。 せっかく行くなら、その土地にちなんだ作品を鑑賞したり、歴史を知ったりしたうえで行ったほうが、何倍も楽しめますよね!そんな作品や歴史、土地について、ツーリングマップル各著者から紹介していもらいます!気になった作品を見て、その場所を訪れてみましょう!

著・坂口まさえ

「青春の門」(映画・小説・ドラマ)の舞台 by 坂口まさえ(九州担当)


「青春の門」は、1969年から連載が開始された、五木寛之のベストセラー小説です。1975年・77年に東宝で、1981年・82年に東映で映画が制作・公開され、何度もTVドラマ化もされました。 炭鉱の町に生まれ育った、伊吹信介を主人公とする群像小説で、舞台は大正時代の北九州・筑豊地方となっています。

佐藤浩一!! なお「筑豊地域」とは福岡県の、北九州地方と福岡地方に挟まれたエリアです。

(福岡県防災ホームページより)

この辺りは明治期以降、石炭の産出で栄えた土地。今はすべての炭鉱は閉鎖し、街の形も変わってきましたが、まだ当時の面影は様々なところに感じることができます。そんな、炭鉱の町の雰囲気残るスポットを幾つか紹介したいと思います。 筑豊地方で最も大きい炭鉱だった、「三井田川鉱業所」のあった田川市は「炭坑節」発祥の地と言われています。現在、鉱業所跡地は石炭記念公園(九州沖縄5F-3)として整備され、公園内には石炭・歴史博物館や築造当時からある伊田竪坑櫓、伊田竪坑第一・第二煙突なども歴史遺産として残されています。

また、博物館には日本初の世界記憶遺産となった、山本作兵衛氏の炭坑記録画・記録文書等の展示や石炭産業の歴史を含む生産流通、現場再現の展示もされていて、見所満載の公園です。 公園からの最寄り駅となる「田川伊田駅」は、2020年1月に駅舎の全面リニューアルをして、開業式典が行われました。 炭鉱業が盛んだった当時を思わせるようなクラシックな駅舎の中には、寝台列車をイメージしたホテルや、名物料理を楽しめるレストラン、パン屋、物産紹介所もあり、私の中では次回の宿泊候補No1です。客室からホームを見渡せるなんてワクワクしますね。 →田川伊田駅舎 また、公園から直ぐの「道の駅いとだ」(九州沖縄5D-3)では、石炭にちなんだお菓子(クッキーやケーキ等)が色々あり、真っ黒な“石炭ソフトクリーム”なんてのもあって楽しませてくれます。味は食べてのお楽しみ~♪です。

その他、炭鉱遺産としては、北九州と田川の炭地とを結ぶ路線として開通した平成筑豊鉄道田川線(旧豊州鉄道)崎山駅~源じいの森駅間に所在する延長74.2mの石坂(いっさか)トンネルもあります。 ここは、1895年(明治28年)に完成した九州最古のトンネルで現在も使われており、国の登録有形文化財にも登録されています。トンネルは源じいの森から見ることができますよ。合わせて、同鉄道の赤村にある煉瓦と石で造られた「内田三連橋」(九州沖縄5G-3)も是非!

最後にここまで来たならば、隣町の香春(かわら)町も訪れてみてください。香春町は古くから良質な銅が採れ、奈良の大仏や貨幣などの材料となっていたと伝えられており、「採銅所」の地名は、まさに銅の採掘を由来としています。 現在の日田彦山線の「採銅所駅」(九州沖縄5G-1)の駅舎は、1915年(大正4年)の開業時以来使われている貴重な駅舎町の有形文化財に登録されていて当時の歴史に触れることができます。

近年は石灰石の産地として、セメント業界の盛行を支えてきました。そんな雰囲気も、走り抜ける中で見る、白い山肌や、国道をまたぐ運搬路などから感じることができて、私のお気に入りのルートのひとつです。

道の駅香春のごぼ天うどんもおいしい!

なお、この一帯には温泉も多く、少し足を延ばすと平尾台(九州沖縄2I-6)のカルスト台地も広がり、ツーリングにおススメですよ♪

「青春の門」で当時の様子を想像しながら、ぜひ炭鉱の町のツーリングを楽しんでみてください。

関連記事