2021.11.09

【ツーリングマップル】SSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)を走って体感してみた【480kmのロングラン】

今や数千人のライダーが参加する一大イベントとなったSSTRに初エントリー。ツーリングマップルの看板を背負って、意気揚々と千里浜のゴールを目指して走ってきました。予想外の結末となった旅のレポートの前半をお届けします。

著・中村聡一郎(フィネス)/取材協力・ スズキ

【今回エントリーしたSSTRとは】


今年で9回目の開催となる「SSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)」。太平洋側で日の出を見て、指定されたミッションをこなしながら、石川県の能登半島、千里浜に日没までにゴールするのが基本ルール。 ルールブックに書かれている完走の条件は 1.日本海の反対側となる海岸を、日の出時刻以降にスタートする 2.SSTR運営委員会が選出した「指定道の駅」の中から1ヶ所以上に立ち寄る 3.道の駅や高速道路のパーキング/サービスエリア等に立ち寄り、立ち寄りポイントを10ポイント以上獲得する 4.石川県の「千里浜なぎさドライブウェイ」に、同日の日の入時刻までに到着する の4つ。 スタート地点、走るルートは指定されないので、参加者それぞれがベストと考えたものでいい。だから、「ラリー」とは名付けられているが、参加への敷居はさほど高くない。安全に長距離のバイク走行ができる技量とガッツがあればいいのだ。

こちらが参加者に配られるルールブック。ルールやスケジュールのほか能登半島のツーリングマップも掲載

【エントリー、そして運命の一日の始まり】


そんなSSTRには以前から興味があったが、今回昭文社から実際に参戦して、その様子を記事にしてみませんか、と打診があった。 「よし、完走目指して参戦してみよう」 そう思い立って、エントリーをした。 新型コロナ対策で去年から開催に関して試行錯誤が行なわれている。2021年は10/2~10/17が開催期間で、10/2、10/9、10/16の3日間は定員制、ほかはオープン制の「MySSTR」としての開催となった。 自分がエントリーしたのは最終日の10/16。日に日に日の出から日没までの時間が短くなる時期なので、10/2がベストだと思ったが、予定があわずこの日程となった。 出発地点はSSTR経験者から教えてもらった横浜のベイサイドマリーナ付近。当日の日の出時間は5時49分頃、現地には少し早かったが5時前には到着した。予報ではあいにくの空模様とのことだったが、実際家を出たあたりから雨が降り始めた。 「昇る朝日は見られないかな...」 そう思いながらその時を待つ。しばらくして撮影のために今日一日同行してくれる昭文社の舛木さんも合流した。 ほかの参加者も数台いたが、その中にVストローム250に乗る友人のI氏もいた。じつは彼には参戦を伝えていなかった。見送りにきたのかと思っていたところに、自分もエントリーしていることを話すと、驚いた様子。 彼の見送りに来ていた人たちも、全員知った顔だったので、同じく驚かせてしまった。 そうやって談笑していると、厚くたれこめた雲と大地の間にわずかな隙間ができて、そこが赤く染まっていった。 「日の出が見られた!」 天候を考えるとまさに奇跡だった。幸先の良い始まりだ、とこの時は思った。まさか、あんな結末になるとは思わず...。

SSTRのスタートの号砲は昇る太陽、多くの参加者が思い思いの場所で同じ瞬間を迎えている

見送られて、I氏とともに出発!

千里浜へGO!GO!

皆さんに賑やかに見送られていよいよスタート。時間は6時20分頃。日没予定は17時10分頃なので、制限時間は11時間弱。予定している走行ルートは、「指定道の駅」の道の駅すばしりにまず向かって、そこから安房峠か開田高原経由で能登半島へだった。I氏とも急遽そこまで同行することになった。 日野ICから横浜横須賀道路に入って東名高速へ向かったのだが、すでに渋滞が始まっていた。それで、まだ余裕はあると考えて横浜新道から国道1号経由に切り替えたが、これが最初の選択ミスだった。 I氏に沿道の案内をしながら進み、新湘南バイパス、圏央道、新東名高速で東名高速へ。足柄SAでの休憩を挟んで御殿場ICから道の駅すばしりへ向かう。今年、国道138号のバイパスが開通したおかげで、御殿場から道の駅まであっというまに到着だ。 ここでスタート地点をあとから出発していた舛木さんが出迎えてくれる。 「あれ、後に出発しているし、東名が確か渋滞だったと思ったのに、何故?」 聞いてみると、渋滞はそれほどひどくなかったらしい。それで我々よりも30分以上早く到着していたらしい。思わず膝から崩れ落ちるとともに、無駄な時間を使わせてしまったI氏に心からお詫びをする。 「もしかして日没に間に合わない?」 そんな心の声が頭をよぎりはじめていた。 遅れを取り戻すためにI氏は先に出発。ゴールで会おう!と約束したのだが...。

横浜横須賀道路の六ッ川料金所、ここでのルート変更が最初のつまづきに

足柄SAからは富士山がチラリと見えた

道の駅から国道138号で篭坂峠を越える。 道の駅富士吉田で立ち寄り登録だけ行なって、河口湖から御坂峠へ。できれば旧道で越えたかったが、すでに時間の余裕がなくなりはじめていた状況だったので、新御坂トンネルで峠を越えた。 甲府盆地は暑いぐらいの晴天で、着ていたレインコートを脱ぐついでにコンビニで小休止。いわゆる「カソリ寝」(大地から元気をもらう、旅の鉄人の賀曽利さんの得意技で、いわゆるごろ寝)で元気を取り戻して一宮御坂ICから中央自動車道へ入った。 天気は良いが雲が多く、双葉SAの展望台から富士山は見えなかった。 SAの駐輪場ではほかの参加者と出会った。車体に貼られたステッカーですぐにわかるのもSSTRならではだ。 会話はどうしても時間内に走れるのかという話題一色に。 SAを出発して松本ICまでノンストップで走る。本当は途中のSAやPAでグルメを楽しみながらと思っていたのだが、まだまだ能登半島までは遠い。 松本ICを降りたところで今日1回目の給油。スタート地点から約270km走行して、燃費はリッター約34kmだった。しかし、Vストローム250の17Lタンクはじつにたのもしい。給油を気にせずにどんどん走れる。

霧にけむる篭坂峠を越える

双葉SAの展望台からの眺望、甲府盆地は一転して晴れ模様で暑いと思うぐらいの気温だった

今回のルートで一番の懸案だったのが、国道158号の混雑だったが、予想よりもスムーズだった。途中、道の駅風穴の里で立ち寄り登録をして、安房峠は安房峠道路のトンネルで越えた。 約6kmの長大トンネルをくぐって岐阜県へ。ここまで、神奈川県、山梨県、長野県を走ってきた。残るは岐阜県、富山県、石川県で、本格的な峠越えもここから先にはない。 料金所横で休憩をとりつつ、残り時間を確認して、ここからの行程を検討した。 時間は14:40分、日没までは残り3時間を切ってしまった。となると、日没までの到着はほぼ無理だということがわかり、せめてゴールゲートがクローズする、18時30分までに千里浜へ到着することへ目標を切り替えた。 そして、時間的に道の駅で立ち寄り登録をしていると、完全に時間切れとなりそうなため、指定されたポイントに達していなかったのだが、今年はとにかくなぎさドライブウェイを走ってゴールゲートをくぐることだけでも達成しようと、道の駅には寄らずに千里浜を目指すことにした。ただ、この決断も間違った選択だったことに後々気づくことになる。 後編では平湯から富山、そして千里浜への行程とSSTR2021最終日の様子をお届けします

道の駅風穴の里でひと息入れる、先に行ってしまったのだろうか、SSTR参加者の姿は見られなかった

余裕はなくても気になる、建設が進む国道158号の奈川渡改良工事

安房峠道路のトンネルで一気に長野県から岐阜県へ

安房峠道路の料金所を出たところで休憩と場所登録。ちょうど1台SSTR参加者が出発するところだった

Youtube動画もアップされています。笑いと涙に包まれた感動の一日(笑) 併せてどうぞ!

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