2021.11.13

【ツーリングマップル】SSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)を走って体感してみた(後編)【480kmのロングラン】

今や数千人のライダーが参加する一大イベントとなったSSTRに初エントリー。前半では平湯温泉までをお届けしましたが、後編ではいよいよ千里浜にゴール?となるでしょうか。

著・中村聡一郎(フィネス)/取材協力・ スズキ

国道471号で平湯から奥飛騨、神岡へと走る。そろそろ日も傾きだしてきて、朝からの走行の疲れも出てきた。 沿道の温泉宿が、 「ここでリタイアして温泉でゆっくりしていきなよ」 と語りかけてくる気がするが、 「いや、千里浜までは絶対に走る!」 と心を奮い立たせてVストローム250を走らせる。 高原川沿いを走っているとサイドミラーには北アルプスの美しい山並みが写る。それに癒やされながら淡々と進み、神岡から国道41号へ。 国道41号はところどころで道路工事のために片側交互通行規制箇所があったが、ほとんど引っかからずにスムーズに進むことができた。

温泉旅館を横目に見ながら国道471号を走る

神通川に沿って国道41号を富山へ

そして、神通川の渓谷がとぎれて、富山平野へやっと到着。しかし、能登半島まではまだ100km近く距離が残っている。 ここからはツーリングマップルアプリとスマートフォンのナビでルートを検討して、一般道を進むことにした。今思えば、ここで道の駅細入に寄って、ルートとゴール地点の状況をしっかりと確認すべきだった。そうすれば、このあとの悲劇はおこらなかったかもしれないし、ポイントも獲得できた。 一般道ルートは距離的には最短だったが、時間帯的に道がところどころで渋滞して思うように進まない。気がつけばだんだんと雲が多くなり、空模様が怪しくなってきた。結局、高岡で能越自動車道に入ったところで日没となり、さらにポツポツと雨も降ってきた。 あわてて、道ばたでレインウェアを着たのだが、これでだいぶ時間をロスしてしまった。道の駅で天候などの情報を確認しておけば良かったと反省したが後の祭りだ。

石川県を目の前にして無情にも日は暮れていく

氷見インターから国道415号で最後の峠越え。対向車線にはバイクが次々と走ってくる。ステッカーは見えないが、きっとSSTRにエントリーしたライダーだろう。 自分も早くなぎさドライブウェイへ、と頑張るのだが、雨がさらに激しさを増し、風も強くなってきた。峠を越える頃には、あきらめる気分になりそうな嵐になっていたが、ここまで走ってきたのだから、と必死にかつ慎重にバイクを走らせる。 そして、ギリギリ、ゴールゲート閉鎖間際に今浜入口に到着したのだが...。 何とこの荒天で道が閉鎖されていた。土砂降りの雨と強風の中、呆然としてしまい、肝心なゴール記録の登録も忘れてしまった。一般道でゴールの能登千里浜レストハウスへ行こうとも考えたが、完全に心が折れてしまって、宿泊地へと向かうことにした。翌日スタッフに聞いたところ、荒天のためゴール受付も予定より早く撤収していたとのこと。 雨にうたれ、寒さに震え、宿まで走りながら、完走できなかった理由を考えていた。出発時間、ルート選定、うーん、何がいけなかったのだろうか...

やっとの思いでたどり着いた今浜入口、しかしGOALは車止めの向こうに...

アプリ「Route!」で記録した10/16のルート。神奈川→千里浜の最短コースを走っていると思うのですが、うーん

大雨と強風に耐えて、宿泊先のいこいの村 能登半島に到着。完走していれば、「真っ白に燃え尽きた」と言えたのですが....

明けて10月17日。起きると外はまだ雨。今日も好天は望めそうにない雰囲気だった。 今日が今年のSSTR最終日だが、出走はできなくて、イベントのみ開催される。完走はできなかったが、それには参加して、なぎさドライブウェイも走って帰ることにした。 いこいの村 能登半島を出発する頃には雨もあがっていた。千里浜につくと、イベント開催前に砂浜へ行ってみる。すると、千里浜の入口にゲートが....。 何と荒天による高波で通行止になっていた。 「え~!」 せめて、千里浜の砂浜を走るだけでも体験しようと思っていたのだが、天に見放された気分だった。しかし、これで来年あらためて完走を目指してエントリーすることを決意した。

いこいの村 能登半島を出発。心も空模様もどんより....

しかし、高波によりなぎさドライブウェイは通行止。ここまでくるともう笑うしかない、ハハハハ...

来年は沈む夕日を見ながらあの砂浜を走る、そう心に誓う

トークショーの前に賀曽利さんに挨拶をした。本当なら昨日完走してゴールでガッチリ握手!、のハズだったのだが、ふがいない結果に終わったことを報告した。 その賀曽利さんと主催者の風間深志さんのパリダカールラリーにまつわる思い出話からトークショーがスタート。二人の掛け合いがじつにおもしろかった。 気づくとステージの後ろに青空が見えてきた。心も少しだけ晴れ晴れとしてきた。 後半からはパリ・ダカール・ラリーで日本人初の優勝者となったラリードライバーの篠塚建次郎さんも登壇してさらに話しが盛り上がっていった。 その後千里浜再生プロジェクトからじゃんけん大会と続き、浜のゴミ拾い、浸食された浜の保全のために、砂を海に戻す「一人一砂運動」の後、全員での集合写真で2021年のSSTRはグランドフィナーレとなった。 なお、2022年のSSTRは、第10回の節目なので、これまで以上にいろいろと楽しめる事がありそうな雰囲気だ。

「完走できなかったかぁ」「いや、その....うーん、何が悪かったと思いますか?」

篠塚建次郎さんが登壇したトークショー後半にはやっと青空が

「一人一砂運動」に参加して砂を浜へもどす

イベント終了後、能登千里浜レストハウスのSSTR CAFE chirihamaで舛木さんとひと息ついたが、思い出してみるとこうやってのんびり休んだのはこの2日間で初めてのことだった。せっかくなので、SSTRのロゴが入ったTシャツを購入して、来年はこれを着て走るぞ、と誓った。そして、舛木さんとここでわかれて帰路へついた。 最後に、一気に神奈川の自宅まで走った帰路の話しはまたあらためて記事を書いて紹介したいと思います。

能登千里浜レストハウスに今年オープンしたSSTR CAFE chirihama。海を見ながらくつろげる店内、外にはテラス席も

SSTR公式グッズのTシャツを購入、来年はこれを着て走る!!

【取材協力】スズキ・ Vストローム250 ABS


今回のSSTRはスズキのVストローム250 ABSで走破した。 最初に乗ったときは、思っていたより小さく感じた車体だったが、乗り慣れてくると、ちょうどいいサイズ感に変わっていった。 片道500km近いロングランで一番頼もしかったのは、17Lの燃料タンク。給油のことをあまり気にすることなく、走ることができたのは非常に助かった。燃費は30~35km/Lで、千里浜までの往復(帰路もほぼ同じルート)で給油は2回だった。 高速道路ではもう少しパワーが欲しいな、と感じることもあったが、並列2気筒のエンジンは振動も少なく、想像以上に快適にクルージングできた。

ウインドスクリーンとナックルカバーを標準装備

フル液晶ディスプレイのインストルメントパネル。速度や走行距離のほか必要な情報が見やすくまとめられている

ロングツーリングに安心の大容量17Lのガソリンタンク

Youtube動画もアップされています。笑いと涙に包まれた感動の一日(笑) 併せてどうぞ!

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