2023.09.20

【サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー2023】予想外の結末を迎えたアフターSSTR<後編>

無事、完走で終了した2023年のSSTR。今年は時間を取って、週末のイベントに能登半島ツーリングと、アフターSSTRを楽しんでから帰路につく予定でした。しかし、賀曽利さんのひと言で、事態は思わぬ方向に。何が起きたのか、その答えが見られる5月28日、29日のレポートです。

著・フィネス

【5月28日・29日の移動ルート】


 

能登半島で迎える2日目の朝ですが、私も舛木氏も浮かない顔。というのも、今日と明日、能登半島周辺の旅を賀曽利さんと満喫する予定が、どうやら明日から雨予報。 「じゃぁどうしましょう?」 と昨晩、話し合っていたのですが、結局答えが見つからず。 朝食をとりながら、あとは賀曽利さんの意見を聞いてみてからですからね、となって、ひとまず集合場所の千里浜へ向かうことにした。 途中、SSTR参加ライダー向けにいろいろとおもてなしをしている羽咋市の深江八幡神社へ立ち寄って参拝。サービスのコーヒーを頂いて、浜へと向かった。

河合谷小学校の跡地に建つ「河愛の里 Kinschule」。「Kinschule」は「禁酒」とドイツ語で学校を意味する「schule」を組みあわせた造語ですが、「禁酒」の由来とは...

「Kinschule」の「禁酒」の由来はこの禁酒の碑。宿からすぐの場所にある

禁酒の碑の建立についての説明文

羽咋市の深江八幡神社。古くから集落を見守る鎮守様という雰囲気ですが、境内には多くのSSTR参加ライダーの姿が

浜に着くと、昨晩は遅くまでお楽しみだったのか疲れ切った姿の賀曽利さん。恐る恐る声をかけて、今日と明日の行程について相談を始めました。明日の北陸地方は雨予報。今日のうちに南のほうへ行けば、雨を避けられるかもしれないと話すと、ふと「太平洋」という言葉が出てきた。 それを聞いた賀曽利さんのやる気にパチーンとスイッチが入ったようで 「知多半島の先端、羽豆岬へ行きましょう。そこから確かフェリーが伊良湖へ…」 「知多半島?伊良湖?あれ、フェリーまだ運航していたかな...」 禁断のスイッチに触れてしまった…と後悔する間もなく 「早速出発しましょう!」 と、元気よくバイクに跨がって北へ走り出しました。 昨日と同じルートで巌門まで進み、海岸線を見下ろす場所が今日のスタート地点となった。賀曽利さんを先頭に、まずは輪島市を目指す3台。あまり時間に余裕はないので、ひたすら走って、途中寄ったのは機具岩(はたごいわ)のみ。道の駅 輪島には13時ごろに到着した。 「輪島丼とか、何かご当地メニューが食べられないですかね」 と、期待していたが、食事はゴーゴーカレーと喫茶店の器の実カフェのみで、喫茶店で昼食をとることにした。

昨日訪れた巌門を見下ろす

しめ縄で大小二つの岩が結ばれている機具岩

道の駅 輪島はのと鉄道輪島駅の跡地に建っているので、一角には鉄道時代を偲ぶ展示が

さて、お腹もいっぱいになったので、いよいよ太平洋側の知多岬へ向けて出発です。ここからは、とにかく、ひたすら、脇目も振らずにただただ走るのみ。 県道1号、のと里山海道、能越自動車道をノンストップで走って能越県境PAで最初の休憩。「県境」という名前の通りに富山県と石川県の県境にあり、富山湾を見下ろすロケーションが素敵です。ここで賀曽利さんのバイクに給油が必要なことが判明。しかし、この先ガソリンスタンドは岐阜県のひるがの高原SAまで無いことがわかったので、有料区間になる高岡ICでいったん降りて給油することになりました。 若干の時間ロスにはなりましたが、予定通り給油を済ませて再出発。小矢部砺波JCTから東海北陸道へ進み、一昨日走ったルートを南へ進みます。飛騨トンネルを抜けて岐阜県に入り、飛騨河合PAで休憩。

15時30分、能越県境PAに到着。後で知ったのですが、舛木氏の左に見える青い線、県境に沿ってかかれているそうです

飛騨清見ICの手前からぽつぽつと雨が降ってきて、だんだんと本格的に降り出してきたのですが、賀曽利さんはどんどん進みます。 このまま濡れ続けると凍えてしまいそうなので、意を決してひるがの高原SA手前で先頭に出て、SAへ誘導することにしました。 「この先で標高が下がればきっと雨も止んだのに」 と、賀曽利さんから言われたのですが、そろそろ限界でした。駐輪場で雨具を着込んでいると 「賀曽利さんですよね?」 と、女性の人が声をかけてきました。 話しを聞いてみると、知多半島の「ぽんカフェ」という店をやっている方でした。 「あ、SSTRの出発地点で多くのライダーが集まる店ですよね、聞いたことがありますよ」 「そうなんですよ、店の前が出発地点になっているんです」 それだけではなく、いろいろとSSTRに繋がりもある方でした。 実はこの時点で今晩の宿は未定でした。場合によってはそのまま関東へ帰宅、という事態もあるかなと不安に思っていたのですが、賀曽利さんが 「これから知多半島の先端まで走るんですよ、そのあたりで宿とかご存じないですかね?」 と、先ほどの女性に相談してみると、なんと知り合いの宿へ連絡して、宿泊の交渉をしてもらえた。結果、今晩の宿が見つかり、この先の不安が一つ消えた。 「ありがとうございます!」 と、お礼を述べて、知多半島へ向けて再スタート。 宿泊の不安が消えたので、晴れやかな気持ちで東海北陸道を南下して、名古屋高速で名古屋市街地を通過。そして知多半島道路、南知多道路で一気に知多半島の先端へ。豊丘ICを降りてしばらく走ると、むっとするような濃い汐の香りに包まれる。 「海にきた!」 暗闇で何も見えないけれどそう体感できた。そして、羽豆岬の側でバイクを停めてここを本日のゴールとした。 宿泊場所のまるは食堂旅館まではすぐだった。到着したらまずは温泉のうめ乃湯でひと息。そして、能登半島からの一気走りの無事終了に乾杯した。

21時20分、羽豆岬へ到着。防波堤の向こうの暗闇に岬がある

まるは食堂旅館に到着、今日はよく走った!

翌日、朝風呂の後、海を見ながら朝食をとって、今日の予定を確認。昨日、走りながら確か廃止されていたはず、と思い出していたとおり、師崎から伊良湖へのフェリーはかなり前に運航が終わっていた。そのため、三河湾をぐるっとまわって伊良湖を目指すことになった。 昨晩は漆黒の闇に包まれていた、羽豆岬を訪れようとしたが、バイクの駐車場所が見つからなかったので、残念ながらそのまま通過した。 次は昨日のお礼にぽんカフェを訪問。開店前だったが、昨日の女性の方が出迎えてくれた。店は海岸沿いにあり、確かに出発地点には最高の場所だ。お店は名前のとおり「ポン菓子」の専門店で、いろいろな種類のポン菓子を販売している。イートインもあるので、ツーリング中の休憩にも便利。我々もひと休みさせてもらった。

旅館の朝食会場からは伊勢湾を一望に

伊良湖へむけて出発!

ぽんかふぇに到着

店の向かいには撮影用のボードが

ぽんかふぇを後にして国道247号を走る。武豊市に入ったぐらいからぽつりぽつりと雨が降り始めたので、コンビニの軒先で雨具を着用して、衣浦海底トンネル、国道247号と海岸線に沿いながら進む。蒲郡で国道23号に入り、豊川で県道2号を経由して国道259号へ。そして、14時過ぎにようやく伊良湖へ到着した。輪島から約540km、よく走りました。 悪天候のため、道の駅 伊良湖クリスタルポルトをゴールとして、帰路につくことになり、東名高速の牧之原SAまで一緒に走ってそこで解散となった。

道の駅 伊良湖クリスタルポルトへ到着、ここをアフターSSTRツーリングのゴールとした

2023年のSSTRの個人的な最終ゴールとしたかったので西湘PAに戻ってきた

まさかまさかの結末となったアフターSSTRでした。能登半島から知多半島へひたすら走っての長距離移動は大変でしたが、バイク旅の醍醐味を実感できました。 知多半島から三河湾をぐるっとまわっての伊良湖までの行程は、雨で通過だけになってしまいましたが、静かな港町から工業地帯と変化のある沿道の風景がじつに楽しかったです。 そして、ひるがの高原での思いがけない出会い。あれがなければ、羽豆岬到着後に宿泊先を探して右往左往していたかと思うと、ほんと幸運だったと思います。あらためて、感謝ですね。 ただ、残念だったのは今年も能登半島の先端の禄剛崎(ろっこうさき)まで行けなかったことです。次回のSSTRではぜひここを目指したいですね。

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