
Touring
2025.03.19
2025春の関西おすすめツーリングコース【日帰り編】
もうすぐ春ですね。冬の間は乗れなかったけれど、そろそろオートバイで旅に出られるかなとソワソワ、ワクワクしていませんか?そこで、今年のツーリングシーズンスタートにおすすめの「春を感じられる」コースを、ツーリングマップル 各エリア取材担当者から紹介していただきます。 今回は関西の「2025春のおすすめルート」日帰り編です。
「春の明日香村まほろば紀行」コース
「大和は国のまほろば(理想郷の意)」と日本書紀で謳われた大和盆地(奈良盆地)。その南東に位置するのが、「日本のはじまりの地」とも言われる奈良県明日香村(あすかむら)です。 日本で唯一、全域が「古都保存法(※)」の対象となっており、景観・遺跡を保全するために、新規の開発や建築が厳しく規制されています。そのため、無粋な住宅団地や高層建築がなく、万葉の時代から変わらない長閑な里山の風景が広がり、古代日本の歴史が息づく希少なエリアとなっています。 古代史ファンなら、きっとワクワクすること間違いありません。かくいう私も高校時代から憧れていた場所で、実走取材では毎年のように訪れています。そしてここを訪れるなら、春がもっともおすすめです。 ※=古都における歴史的風土の保存に関する特別措置意

甘樫丘(あまかしのおか)の頂上からは大和盆地が一望できる

今では珍しくなったレンゲ畑

橘寺[ツーリングマップル関西 P.27 D-3/中部北陸 P.4 D-3]にいい感じの桜がある。小高い場所にあるので境内からの眺めがよい
コース概要
STRAT&GOAL:JR畝傍(うねび)駅(桜井線) ➡ツーリングマップル関西 P.27 C-2/中部北陸 P.4 C-2 今回紹介するコース、まずはJR畝傍駅をスタートし、駅の南東へ向かいます。大和三山=耳成山(みみなしやま)・畝傍山(うねびやま)・香久山(かぐやま)に囲まれた一帯は1300年前の藤原京の中心地で、藤原宮跡があります。 そこから、田舎道を気の向くままに走ると明日香村に辿り着きます。桜に彩られた石舞台古墳、猿石や亀石、酒船石などの謎の巨石群、日本最古の寺「飛鳥寺」、高松塚古墳、キトラ古墳など見どころがたくさん。のんびり、ゆっくり、寄り道をしながら走ってほのぼの気分を味わってみましょう。

明日香村は奈良市から南へ約30km

1.藤原宮から明日香村へ
JR畝傍駅を出発して、藤原宮跡[ツーリングマップル関西 P.27 D-2/中部北陸 P.4 D-2]で景色を堪能したら、明日香村へ向かいます。

一面の菜の花と桜のコントラストが美しい藤原宮跡。バックは畝傍山
国道をたどるよりも田舎道をトコトコ進むのが楽しいです。まずは必見ポイントの飛鳥寺(あすかでら)[ツーリングマップル関西 P.27 D-3/中部北陸 P.4 D-3]へ。こじんまりした寺ですが、日本最古の本格的な寺院とされています。裏手にある、大和朝廷の最高実力者「蘇我入鹿(そがのいるか)」の首塚も忘れずに訪れましょう。

必見ポイントの飛鳥寺には「飛鳥大仏」が祀られています

飛鳥寺の裏にある蘇我入鹿の首塚。付近の道は細いのでゆっくり走ろう
2.古墳と謎の巨石が点在
蘇我入鹿の祖父で蘇我氏の繁栄を築いた蘇我馬子(そがのうまこ)の墓とも言われる石舞台古墳[ツーリングマップル関西 P.27 D-4/中部北陸 P.4 D-4]。日本最大級の横穴式石室を持つ古墳で、明日香村のハイライトでもある歴史スポット。桜に彩られる春がとくに素晴らしいのです。

桜で彩られた春の石舞台古墳。道路を挟んで向かい側の小高い丘から全容が見られます
さらに、村内に点在する謎の巨石めぐりも楽しいですよ。飛鳥寺の南東の丘にある「酒船石(さかふねいし)」[ツーリングマップル関西 P.27 D-3/中部北陸 P.4 D-3]は、酒や薬を造るためのものと言われていますが、諸説あり謎に包まれています。 明日香村役場近くの「亀石」[ツーリングマップル関西 P.27 D-3/中部北陸 P.4 D-3]は、個人的に明日香村の巨石で一番可愛いと思います。

謎の巨大石造物その1「酒船石(さかふねいしせき)」

亀石。すぐ横に野菜や果物の直売所あり
吉備姫王墓にある、その姿から、僧、男性、女性、山王権現と呼ばれている4体の石像が猿石です。

猿石。左が僧侶、右は男性と呼ばれている

左が女、右は山王権現と呼ばれている
そして、欽明天皇陵の東側の丘にあるのが、「鬼の俎板(おにのまないた)」と「鬼の雪隠(おにのせっちん)」[ツーリングマップル関西 P.27 D-3/中部北陸 P.4 D-3]。※雪隠とはトイレのこと

鬼の雪隠

鬼の俎板
3.県立万葉文化館の「カリオン」で明日香の旬を味わう
明日香村内の食事処は石舞台周辺に何軒かありますが、県立万葉文化館[ツーリングマップル関西 P.27 D-3/中部北陸 P.4 D-3]の中にある「カリオン」の名物メニュー「プレミアム明日香野菜カレー」をお試しあれ。朝どれ明日香野菜や生ハム、季節のフルーツがトッピングされた、明日香の旬を味わい尽くせる逸品。スイーツメニューも豊富です。

彩り鮮やかな「プレミアム明日香野菜カレー」は見た目も味もGOOD。1500円
4.二上山の夕景と石舞台のライトアップ
奈良県と大阪府の県境にある二上山(にじょうさん)は、古来から神聖な山とされています。そこに夕日が沈むころの光景も明日香村ならではのものです。

石舞台古墳から見る双耳峰の二上山の夕景。雄岳山頂には悲運の王子・大津王子が葬られている
石舞台古墳は、桜の時期だけライトアップされるので、夕方以降も明日香村に居られるのなら必見です。昼間とは違った幽玄な雰囲気に包まれますよ。

石舞台古墳。桜の時期はライトアップもされ、幻想的な空間になる
5.又平衛桜や吉野の桜もすごい!
明日香村からさらに東、宇陀市には樹齢300年の「又兵衛桜(またべえざくら)」[ツーリングマップル関西 P.27 G-3/中部北陸 P.4 G-3]があります。高さ13m、幹回り3mのシダレ桜は存在感たっぷりで、別名「本郷の滝ザクラ」。開花時期は混み合いますが、見る価値ありです。

存在感たっぷりの又兵衛桜。周囲にはハクモクレンやレンギョウなども咲いている
さらに時間に余裕があれば日本有数の桜の名所「吉野山」[ツーリングマップル関西 P.27 E-6/中部北陸 P.4 E-6]へ足を延ばしてみてはどうでしょうか。こちらも混雑必至ですが、一番山奥の奥千本エリアまで、バイクで行くことは可能です。ただし、交通規制情報は事前に確認しましょう。

吉野山の奥千本の桜。桜はソメイヨシノではなく、シロヤマザクラ