2026.03.13

【BMW R12G/Sインプレ】『ツーリングマップル中部北陸2026年度版』実走取材で徹底チェック

ツーリングマップル2026年度版の実走取材で、実際に長期間にわたって走行した車輌の実走インプレッションをお届けします。 今回は、中部北陸版取材担当、内田さんの視点からの「R12G/S」のレポートです。撮影や取材で使って感じた乗り心地、積載性、燃費、取り回しはどうだったのでしょうか。早速どうぞ! ※掲載の情報は2026年2月現在のものです

著・内田一成・フィネス/撮影・盛長幸夫

▶目次


1.車両インプレッション  1-1.ファーストインプレッション  1-2.実走しての所感  1-3.装備について  1-4.総評 2.車両紹介

1-1.ファーストインプレッション


BMWのGSシリーズは、かつて「1150GS」、「1200GSアドベンチャー」を所有していたこともあって、とてもなじみ深い。今回はそのGSシリーズの中でも、異色のかつてのレーサーイメージをまとった、ブランニューの「R12G/S」を選んだ。G/Sとは、かつてオフロードシーンやラリーフィールドで、「小さな巨人」ガストン・ライエのライディングで一世を風靡したモデルへのオマージュでもある。

取り回しの軽さと、テレスコピックの素直なハンドリングで、未舗装路でも細かい動きができる

リア17インチのノーマルモデルのシート高は860mm。スリムな形状なので、足つき性は余裕(ライダーの身長は178cm)

現行のGSシリーズと決定的に異なるのは、フロントサスペンションがBMW独自のテレレバーから、コンベンショナルなテレスコピックに変更されている点だろう。これは、かつてのGS乗りの私にとっても、いちばん興味を惹かれる点だった。

現代のコンポーネンツを用いながら、フォルムやカラーリングがかつての名車R80G/S、R100GSの雰囲気をよく出している

フロント・リアビューも、余計なものがなく極力シンプルでスリムにまとめられているのがよくわかる。跨ってしまうと、エンジンが視界に入らないので、ミドルクラスのオフロードバイクの感覚

1-2.実走しての所感


1985年のBAJA1000、私がサービスポイントで自分がライドする、YAMAHAのTT600を待っている時、目の前のBMWピットにガストン・ライエがライドする「R100G/S」が飛び込んできた。その迫力に唖然としたのを覚えている。まさに、その血を受け継ぐG/Sにライドできるというのは、感無量だった。

空冷フラットツインのボクサーは2世代前のエンジンだが、ビッグツインらしい鼓動感が雰囲気を盛り上げてくれる

フロントサスの伸び側、圧側、それにリアサスのバネレート、減衰が微妙に調整できる。実際に、減衰を最弱にして走ってみたが、少し固めに感じた。これは、ドイツ人の体重に合せたためか?と思ったが、走り込んでアタリが出てくればかなり変わりそうな感じもあった。

車載のツールキットを使用してフロントサスペンションのスプリングプリロードの調整ができる

リアサスペンションの調整用のアジャストノブ(画像上)と調整ボルト

そして、現代に蘇ったG/Sに跨ってみると、それがおそろしくコンパクトに感じられることにびっくりした。自分が過去に乗っていたGSに比べて圧倒的にスリムかつ軽量で、これは現行GSと比較するようなものではないなと、真っ先に思った。 すでにいろいろなメディアでインプレッションが発表されていて、リア18インチのスポーツモデルの足つき性について言及されていたが、17インチのノーマルモデルでは、まったく気にならなかった。

スリムでコンパクトとはいっても、リッタークラスの重量車には変わりなく、フロントのウォブル(ふらつき)を押さえてくれるスタビライザーの効果は大きい

ヘッドライトはコンパクトにまとめられていて、これもかつてのラリーマシン的な雰囲気を出している。

明るさは申し分ない。特徴的なX型の部分はDRL(デイタイム・ライディング・ライト)

1-3.装備について


装備に関しては、さすがに先進技術を盛り込んだ現代のモデルだけに、前後ABSやスキッドコントロール、オートクルーズなど快適性重視の装備が充実している。

シンプルなメーター周りに、速度や走行モードといった、各種インフォーメーションをうまくまとめて表示していて視認性が良い。感覚が古臭いのかもしれないが、スピードメーターはデジタルより、こうしたアナログのほうがいい

走行モードはエンデューロ、レイン、ロードの3つからセレクトできる。これはエンデューロ

レイン

ロード

また、走り出してしまえば、シフトアップ・シフトダウンともにノークラッチで行える「ギヤシフトアシスタントプロ」のお陰で、左手の負担が少なくてすむのがありがたかった。ただ、ハイスピードからの急減速で、いつものようにクラッチを切ってブリッピングすると、このシステムのブリッピングのタイミングとズレてしまって、ヒヤッとすることがあった。これは、割り切ってシステムまかせにしたほうがいいというのがわかった。

ハンドル周りに集約された電装の操作系。

防風も兼ねたハンドガードが標準でほしいところだが、装備されているグリップヒーターが寒い環境の中でとても助かった

ひとつだけ不満をいえば、18インチのスポーツモデルに装備される「エンデューロプロモード」を17インチモデルでも装備して、リアをスキッドさせられるようにしてほしいことだった。こういう重量車は、オフロードではバンクさせずにリアを滑らせて方向を変えるほうが安心なので、ノーマルモデルにも装備してほしいと感じた。

1-4.総評


「レーサームードに心惹かれた」ということに矛盾しているように聞こえるかもしれないが、こいつは、街乗り用に欲しいと真剣に思った。ボクサーツインならではの低重心に、コンパクトな設計で、取り回しがとても楽で、狭い道でも気軽に入っていける。そして、何より小洒落た雰囲気が街にあう。 冒頭に書いたように、テレスコピック化のメリットがとても大きく出ているという感じだ。テレレバーのGSのほうは、「空飛ぶ絨毯」と形容されるような超フラットな乗り心地が個性で、それもいいのだけれど、俊敏とは言いがたい。空飛ぶ絨毯ではないけれど、低重心に俊敏さを加えたG/Sは、普段使いからアドベンチャーツーリング、そしてオフロードのファンライドまで楽勝で許容する本物のオールパーパスと呼んでいいと思う。

まったく躊躇なくオフロードに飛び込んでいって、スポーツライディング楽しんだ後、

バイクを止めて振り返った風景に感動する。そうした「物語」をたくさん与えてくれるのがR12G/Sだ

2.車両紹介


▶R12G/S

BMW R 80 G/Sをインスパイアしたデザインの車体に、1200CCの空油冷ボクサーエンジンを搭載したモデル。18インチのリアタイヤを装着した、さらにオフロードの走破性を高めた「スポーツモデル」もラインナップ。

戸隠・鏡池湖畔で、紅葉を愛でる[ツーリングマップル中部北陸 P.93 I-3]

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