2023.06.16

ツーリングマップル取材担当者が選ぶ巨岩奇岩百選~東北編~

ツーリングマップル2023年度版から、取材担当者が選ぶ日本各地の奇岩巨岩百選を掲載しています。その中から各エリアの10選をピックアップしてご紹介!今回は東北編です。

著・賀曽利隆

【紹介スポット】


1.願掛岩【青森県】 2.仏ヶ浦【青森県】 3.千畳敷【青森県】 4.鵜の巣断崖【岩手県】 5.三王岩【岩手県】 6.穴通磯【岩手県】 7.ゴジラ岩【秋田県】 8.磐司岩【宮城県】 9.黒伏山【山形県】 10.霊山【(福島県】

1.願掛岩【青森県】


ツーリングマップル➡東北 P.102 H-4

下北半島の国道338号(海峡ライン)沿いの巨岩。男願掛の男岩と女願掛の女岩から成っている。国道は願掛岩のすぐ下を通り、海岸へと下っていくが、上から見下ろすこの道の眺めはすごくいい。写真は男岩の方になるが、海岸に下ったところからは男岩、女岩の両方がよく見える。ここは夕日の名所。津軽海峡を真っ赤に染めて落ちる夕日が見られる。国道沿いには休憩ポイントの「がんかけ公園」があり、キャンプ場もある。

2.仏ヶ浦【青森県】


ツーリングマップル➡東北 P.100 F-1

写真は国道338号(海峡ライン)の展望台から見下ろす仏ヶ浦。仏像のような形をした奇岩が林立している。荒波に削られた自然の造形美は極楽浄土の世界を思わせる。国道沿いの駐車場から仏ヶ浦の浜までは歩いて下っていける。往復40分。かなり急な下り、そして登りになる。佐井の「津軽海峡文化館アルサス」前からは仏ヶ浦への観光船が出ている。仏ヶ浦に近い牛滝漁港からも船は出ている。海から見る仏ヶ浦はおすすめだ。

3.千畳敷【青森県】


ツーリングマップル➡東北 P.92 H-3

国道101号沿いの千畳敷は日本海屈指の名勝の地。寛政4年(1792年)の大地震で隆起した海岸段丘の岩棚。国道と並行して走るJR五能線には千畳敷駅がある。駅前が広々とした千畳敷。ここには大仏岩や恵比寿岩、カブト岩などの奇岩もある。夕日の名所で「日本夕陽百選」に選ばれている。夏は海水浴場としてにぎわう。冬は千畳敷駅ホーム前の段丘崖からしみ出る水が凍りつき、「氷のカーテン」となって、氷瀑の世界に変身。

4.鵜の巣断崖【岩手県】


ツーリングマップル➡東北 P.76 D-3

三陸道の鵜の巣断崖ICから海岸に向かうと広い駐車場に着く。そこから松林の中の平坦な遊歩道を500mほど歩いたところに展望台がある。そこからの眺めは絶景。三陸海岸のハイライトシーンといってもいいほど。「海のアルプス」を思わせるような風景で、大断崖が北へと延びている。ストンと海に落ちる高さ200mの大断崖の中腹が海鵜の生息地になっている。鵜の巣断崖の北には弁天崎、北山崎、黒崎の絶景岬が連続する。

5.三王岩【岩手県】


ツーリングマップル➡東北 P.70 E-1

田老のシンボルの三王岩は男岩(高さ50m)、女岩(高さ23m)、太鼓岩(高さ17m)の3つの巨岩から成っている。東日本大震災の大津波にも耐えてしっかりと残った。田老漁港の入口を守る大王のような存在だ。写真は展望台から見る三王岩で中央が男岩、右が太鼓岩、左が女岩になる。三王岩からさらに北へ。海沿いの道は絶景路。特に沢尻海岸は絶景だ。真崎の展望台に立つと、宮古から田老へと延びる海岸線を一望できる。

6.穴通磯【岩手県】


ツーリングマップル➡東北 P.53 J-2

大船渡の末崎半島は見所満載だ。半島南端の碁石岬は絶景岬。太平洋の荒波が大岩にぶつかって白く砕け散る。展望台に立つと対岸の広田半島を一望する。岬入口の食事処「岬」では美味な海鮮料理が食べられる。日本最大最古の三面椿が近くにある。碁石岬から半島の東側を行ったところに名所の穴通磯がある。穴通磯というのはまさに自然の造形美。波の浸食作用によってあいた巨穴のことで、観光船に乗ってこの巨穴をくぐり抜けられる。

7.ゴジラ岩【秋田県】


ツーリングマップル➡東北 P.70 J-7

男鹿半島の西岸を通る県道59号沿いには大桟橋のような大断崖や巨岩、奇岩が連続する。半島南西端の潮瀬崎にあるゴジラ岩は奇岩の代表格。日本海に向かって吠えるその姿には圧倒されるし、「よくぞここまで造り上げたものだ!」と自然の偉大な力に感動してしまう。ここにはゴジラの尻尾岩やカメ岩、ガメラ岩、双子岩もある。岬の突端にある灯台まで歩いて行ける。潮瀬崎から西に行ったところにある帆掛島は男鹿半島最大の巨岩だ。

8.磐司岩【宮城県】


ツーリングマップル➡東北 P.33 J-4

奥羽山脈の二口峠を越える二口林道(舗装林道)の宮城県側にある巨岩。新緑・紅葉の名所の二口渓谷に高さ80~150m、長さ3kmの大岩壁がそそり立っている。威容を誇る大岩壁の眺め。磐司岩近くの二口林道沿いには「二口渓谷の湧水」があり、名水を汲みにくる人が多い。二口林道の入口にはビジターセンターがあり、秋保二口キャンプ場もある。二口林道は2023年6月8日時点で通行止だが、磐司岩の展望ポイントまでは行ける。

9.黒伏山【山形県】


ツーリングマップル➡東北 P.39 J-6

国道48号の関山の交差点から東北の名山、船形山(1500m)の登山口に向かっていくと、黒伏山(1226m)の大岩壁が見えてくる。「黒伏高原スノーパーク ジャングル・ジャングル」のスキー場からは、黒伏山南面の高さ300m、幅1kmの柱状節理の大岩壁が間近に見られる。東北でも最大級の大岩壁の眺めは超迫力がある。黒伏山は南面の大岩壁を除けばほぼブナ林などの落葉樹林に覆われているので見事な紅葉が見られる。

10.霊山(福島県)


ツーリングマップル➡東北 P.25 C-5

巨岩・奇岩で知られる霊山(825m)は平安時代の貞観元年(859年)、慈覚大師によって開山された。ここには慈覚大師が建立した霊山寺の堂塔の礎石や霊山城跡、国司館跡が残されている。霊山城は南北朝時代に北畠顕家によって築かれた城で、陸奥国の国府を置くなどして、東北(奥羽)の南朝方の一大拠点になった。しかし、北朝方が優勢となり、正平2年(1347年)に落城。それ以降、霊山が歴史の表舞台に出ることはない。

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