2023.05.17

ソロキャンプツーリング フィールドガイドVol.2  [FLAMME(ふらむ) 日向山オートキャンプサイト(山梨県)]

山梨県北杜市を流れる尾白川(おじらがわ)は南アルプス・甲斐駒ヶ岳を源とする清流で、日本の名水百選にも選定されている。山々が連なり、森が迫るその尾白川沿いの白州町エリアには多くのキャンプ場が点在する。今回は尾白川渓谷にほど近いFLAMME 日向山オートキャンプサイトへでかけてきた。 このキャンプ場は2021年7月にオープンし、2023年1月に新たにソロ用のサイトを増設したということで、気になっていたキャンプ場だ。 (取材日:2023年4月17~18日)

著・フィネス

居心地のよい施設環境にリピーター率の高さがうかがえる


FLAMME 日向山オートキャンプサイトは金属プレス加工会社の末長製作所(埼玉県川口市)がその技術を活かし、オリジナル製品の開発環境の一環として運営。キャンプ場の看板をはじめ、場内施設の案内プレートなど、オリジナル製品が随所に見られ、おしゃれなデザインでさりげなく演出されている。サニタリー施設も最新設備が整い、細かいところまで管理が行き届いているのが印象的だ。 東京からは中央道の須玉ICか長坂ICが最寄りのICで、須玉ICからは約14㎞、長坂ICからは約13㎞の距離。国道20号から尾白川渓谷に向かうべるが通りの直線道路は快適だが、キャンプ場手前の1㎞くらいは道幅が狭く離合が厳しいので注意しよう。ちなみに国道20号からキャンプ場までのアクセスは、キャンプ場の公式WEBサイトに動画で紹介されている。 今回は、甲州街道の宿場町として栄えた台ヶ原宿にある酒蔵「山梨銘醸」を訪ねるほか、キャンプ場の名前にもある日向山と尾白川渓谷を歩き、「酒と名水を楽しむ」白州へのキャンプツーリングとする。

入口にある看板も末長製作所オリジナル作品

Pick Up ! 周辺情報


1.山梨銘醸 2.ソーセージの店 フランク 3.おっぽに亭こっこ 4.道の駅はくしゅう 5.日向山 6.尾白川渓谷

1.山梨銘醸


1750(寛延3)年創業の山梨を代表する酒蔵、代表銘柄は七賢。宿場町だった当時の趣を残す建物で、蔵には七賢の酒や発酵食品などが購入できる売店、糀糖を使ったスイーツが味わえるくらかふぇ、明治天皇の行在所として使われた母屋奥座敷、七賢創業家の北原家所有の歴史的に貴重な品々を展示する伝奏蔵などがある。 今宵の酒とつまみ一品をこちらで購入。 ツーリングマップル➡関東甲信越36 F-4/中部北陸63 F-4

往時の面影を残す山梨銘醸の建物

七賢の酒が購入できる酒処大中屋。ここでしか買えない蔵元限定生酒「七賢人シリーズ」もある。テイスティングもできるが今回バイクなので✖

あわびの日本酒浸しや合鴨の酒粕づけ、鮭の糀づけ、塩糀づけモッツァレラチーズなど発酵食品も販売。酒の肴におすすめ!

2.ソーセージの店 フランク


創業1968(昭和43)年の手作りハム・ソーセージ・ベーコンの店。塩漬けした原料の肉をじっくり時間をかけて熟成させ、燻製材には桜やナラ、山葡萄の広葉樹をおがくず状にブレンドしたものを直火燻製するなど、昔ながらの製法にこだわっている。仕込みや冷却、ボイルなどで使う水はもちろん白州の水を使用。ソーセージの種類も多く、山菜など旬の素材を使用した季節限定商品もある。 こちらでは酒のつまみにアラカルトソーセージを購入。 ツーリングマップル➡関東甲信越36 E-4/中部北陸63E-4

釜無川に架かる竹花橋のたもとに店がある

3.おっぽに亭こっこ


白州郷牧場で大切に育てた鶏の卵や野菜など、その素材の味を生かすため、化学調味料などの添加物を一切使わない食事を提供。定番メニューは卵の味わいをストレートに感じられる卵かけごはん、ほかに白州鶏カレー、そぼろ丼定食などがある。また、たまごプリンやシフォンケーキなどの手作りスイーツも人気だ。 ツーリングマップル➡関東甲信越36 E-5/中部北陸63E-5

県道614号沿いにあるおっぽに亭こっこ。「卵かけごはん」の大きなのれんが目印

定番の卵かけごはん定食にしようか迷ったが、白州鶏カレーを注文

4.道の駅はくしゅう


尾白川渓谷周辺のキャンプ場を利用するほとんどのキャンパーはこの道の駅に寄って行くはず。道の駅の入り口には天然名水の水汲み場があり、ポリタンクやペットボトル持参で来る人も多い。ファーマーズマーケットには採れたての新鮮野菜や果物、米や卵などが並ぶ直売コーナーがあり、白州の名水で仕込まれた地酒やクラフトビール、ワインなども販売している。また地元食材を使った料理を提供する食堂もある。隣にスーパーもあるのでキャンプの食材はほぼここでそろう。 ツーリングマップル➡関東甲信越36 E-4/中部北陸63E-4

尾白川渓谷の玄関口にある道の駅

順番待ちの列ができることもある天然水の水汲み場

5.日向山(ひなたやま、1660m)


キャンプ場前の尾白川林道をそのまま進めば、日向山の矢立石登山口に至る。キャンプ場から登山口まで約4㎞。登山口の手前には駐車スペースもある。そこから日向山山頂までは約1時間半。看板には日向山ハイキングコースと書いてあったので大したことはないと思って登り始めたのが甘かった。運動不足の身にはきつく、山頂に着く頃には脚がガクガクになっていた。そこからさらに10分ほど先に進み、森を抜けると視界が開け、白い砂浜のようなザレ場(細かい小石に覆われた地面)が広がる。ここが天空のビーチと形容される雁ヶ原だ。雁ヶ原からは北東方面に八ヶ岳、南西方面に甲斐駒ヶ岳を見ることができる。今回、天空のビーチとその山岳風景を見たくて日向山に登ってみた。疲れたけれど登った甲斐はあった、と思う。 ツーリングマップル➡関東甲信越36 D-4/中部北陸63D-4

日向山矢立石登山口。案内板には日向山ハイキングコースとあるが...

日向山の三角点

白砂のザレ場が広がる雁ヶ原

八ヶ岳も一望できる。当日は雲が多く、霞んでいたが

6.尾白川渓谷


エメラルドグリーンの美しい千ヶ淵、落差10mの旭滝、百合ヶ淵、三段に流れ落ちる神蛇滝、最奥部にある豪快な不動滝など、渓谷道沿いに大小さまざまな滝や淵が見られる。入口の駐車場から不動滝まで往復(周遊ルート)で約4時間。渓谷道は傾斜の急な箇所や滑りやすい箇所もあるので、登山に適した装備で楽しみたい。今回は雲行きも怪しくなってきたので、残念ながら千ヶ淵までの往復。 ツーリングマップル➡関東甲信越36 D-5/中部北陸63D-5

駐車場から約5分で竹宇駒ヶ岳神社へ

竹宇駒ヶ岳神社から吊り橋を渡って10分で千ヶ淵へ。晴れていればもっと鮮やかなエメラルドグリーンのはず...

FLAMME 日向山オートキャンプサイト【キャンプ場情報】


キャンプ場は日向山登山道へと続く尾白川林道沿いにあり、標高は800m。入口にはその存在感を示すようにFLAMME 日向山オートキャンプサイトの大きな看板がある。場内に入ってまず目につくのはフィンランドログハウス風の管理棟で、同じ建物の中にサニタリー施設も入っている、言わばセンターハウスだ。炊事場やトイレなども最新の設備で、キャンプ場の施設とは思えないほどの充実ぶり。施設はまだ新しく、使い勝手もよいので、女性でも安心して利用できるだろう。 サイトはAC電源、水道付きのFLAMMEサイト、そしてお一人様用木々の間サイトの2タイプがある。全体のサイト数は多くないが、FLAMMEサイトは各区画が広いので、大型のテントを設営してもゆったり過ごせそうだ。今回はお一人様用木々の間サイトを利用したが、バイクを乗り入れできて、これだけ充実した施設で平日ソロ1泊3000円はとてもお得感がある。 このキャンプ場は日向山登山や尾白川渓谷の滝巡りのベース地として最適な位置にあり、近くには温泉施設や道の駅、スーパーもあるので、立地環境も抜群だ。 ツーリングマップル➡関東甲信越36 E-5/中部北陸63E-5

サニタリー施設はすべて管理棟に

■サイトの種類


▶FLAMMEサイト サイト数は全10区画ですべてオートサイト。サイトの広さはまちまちで、約100平方メートル(定員5名)のサイトが4区画、約150平方メートル(定員6名)のサイトが1区画、約200平方メートル(定員6名)のサイトが2区画、約300平方メートル(定員10名・2家族用)のサイトが1区画、そのほかルーフ付きマイキッチンを設置した約140平方メートル(定員6名)のサイトが1区画、さらにルーフ付きマイキッチンにプライベート薪サウナ、薪風呂が設置された約150平方メートル(定員6名)のサイトが1区画。 車は各サイト内に1台駐車できるが、約300平方メートルのサイトのみ2台駐車可能。AC電源を利用する場合は延長コード(約10m推奨)を持参のこと。

サイトは砂利敷、一番小さなサイトで8×11m

各サイトに水道とAC電源が設置されている

ルーフ付きマイキッチンが設置されたサイト。給湯器付きでルーフ下のスペースも広い

キッチン、薪サウナ、薪風呂が設置されたサイト。水着を忘れずに!

▶木々の間サイト(お一人様用) 2023年1月に増設したソロ用のサイト。サイト数は全7区画でサイトの広さはまちまち。中央に通路があり、奥に向かって緩い下り坂になっていて、通路を挟んでひな壇状にサイトが並ぶ。サイトは各サイト車の乗り入れは可能だが、4区画は軽自動車の乗り入れに限定される。もちろんバイクは全サイト乗り入れ可能。サイトはビリ砂利が敷かれ水はけはよさそうだが、砂利深くまだ踏み固められていないので、バイクの場合はサイドスタンドを立てると沈み込んでしまう。サイドスタンドの下に敷くプレートは必須だが、キャンプ場でも貸し出し用に極厚のスタンドプレートを用意している。また、ペグもあまり抵抗なく打ち込めるので、タープを張る場合は長めのペグを用意したほうがよい。 今回一番苦労したのがサイト内でのUターンで、砂利深いためバイクを押したり引いたりするのも重いし、エンジンをかけてUターンするにも後輪で穴を掘ってしまいそうになる。サイトに入る前に通路でUターンすればよかったと後悔。もしバイクを乗り入れる場合はいきなり入らずに、歩いてサイトの状況をよく見て、バイクを置く場所、Uターンする場所を想定したほうがいい。できればバイクは入口に近い手前のサイトの利用をすすめる。

寝心地はいいのだが、バイク泣かせのフカフカ砂利サイト

極厚スタンドプレートは無料で貸し出し

イスやテーブルの足も、モノによっては沈み込む可能性あり。ペグも長めの方がよい。今回タープ用には40㎝のペグを使用

■場内施設


▶管理棟 受付のある管理棟には売店があり、薪、炭、OD缶(キャプテンスタッグ)、CB缶、ホワイトガソリン、着火剤、ライターのほか、氷、カップ麺や調味料も少々置いてある。また焚火台などオリジナル商品も販売。 ※ なんとFLAMMEオリジナル焚火台HIASOBIは、SSTR10周年記念特別参加賞だった!

売店の品は必要最小限なので、食材や燃料などの消耗品は事前に用意しておこう

オリジナル焚火台HIASOBIも販売。ソロキャンプにほどよいサイズ感

薪は桜、1束1000円

▶炊事場 シンクが3つあり、給湯器もあるので温水も使える。洗剤やスポンジ、たわしも常備。炊事場室内にはヒーターもあるので冬でも暖かい。

炊事場にはシンクが3つ。ピカピカ!

▶トイレ 男女別でそれぞれ個室が2室ずつ。温水洗浄機付き便座で快適。男子トイレに小便器はないので、ハイシーズンなど混雑時は待つことがあるかもしれない。

個室のドアを開けたら便座のふたが自動で開いた!

▶シャワールーム 男女別でそれぞれ1室ずつ。24時間無料で利用できる。ボディソープ、シャンプー&リンス常備。脱衣所も広くて使いやすい。

子どもと一緒に入っても余裕ある広さ

▶コインランドリー 洗濯機と乾燥機が各2台。24時間使用可能。

洗濯機は60分200円、乾燥機は10分100円

▶キャンプ場基本データ◀


住所 山梨県北杜市白州町白洲8843 TEL 080-7065-6095 開設期間 通年 ※火・水曜休、繁忙期は無休(要問合せ) 予約 利用日の2カ月前の1日から受け付け開始    WEB予約(なっぷ)    ※トップシーズンは予約開始早々にいっぱいになることが多いが、レギュラーシーズンの週末は1カ月前でも空きがあることもある。ただし、薪サウナ・薪風呂付きのサイトは人気があるため週末の予約が取りにくい。木々の間サイトは比較的空きがある。今回は平日の利用だったため、完全に貸し切りだった。 CHECK IN 13:00/OUT 11:00 <ソロキャンプモデル料金> ソロキャンプ(木々の間サイト利用)  バイク・軽自動車=平日3000円、土・日曜、祝日・祝前日、トップシーズン4000円  普通車=平日4000円、土・日曜、祝日・祝前日、トップシーズン5000円 施設利用料 大人1000円、3~12歳600円 木々の間サイト   平日2000円・3000円/土・日曜、祝日・祝前日、トップシーズン3000円・4000円 FLAMMEサイト   平日7000円~/土・日曜、祝日・祝前日1万円~/トップシーズン1万3000円~ FLAMMEサイト(ルーフ付きマイキッチン)   平日1万3000円/ 土・日曜、祝日・祝前日1万6000円/トップシーズン1万9000円 FLAMMEサイト(ルーフ付きマイキッチン、プライベート薪サウナ、薪風呂)   平日2万6000円/ 土・日曜、祝日・祝前日3万2000円/トップシーズン3万8000円 <ゴミ処理> 可燃物/生ごみ(水気を十分に切ってから)/缶/ビン/ペットボトル/ガス缶に分別収集。消し炭や灰捨て場あり。発泡スチロール、段ボールはスタッフまで。 <周辺情報> ※( )内はキャンプ場からの距離 温泉:尾白の湯(約2㎞) 山梨県北杜市白州町白洲8077-1 TEL 0551-35-2800 スーパー:エブリ(約4㎞) 山梨県北杜市白州町白洲1319-1 TEL 0551-35-2780 コンビニ:ローソン(約4㎞) 山梨県白州町白洲301-5 TEL 0551-35-4422 道の駅:道の駅 はくしゅう(約4㎞) 山梨県北杜市白州町白洲1308 TEL 0551-20-4711 ホームセンター:コメリ(約10㎞) 山梨県北杜市武川町牧原東原2161-1 TEL 0551-26-0051

建物の横にゴミ箱があり、ほとんどのものが捨てられる

尾白の森・名水公園べるがにある尾白の湯。キャンプ場に割引券(大人830円➡630円)あり

今回のキャンプ飯


キャンプでは基本的に生で食べる、焼いて食べる、茹でて食べるだけの手抜きメニュー。でも食材はなるべく地物を取り入れるようにしている。あとは酒! 地酒やクラフトビールがあればなお良し。 ということで今回のメニューは‥‥

夕食➡山梨銘醸で購入した七賢の純米大吟醸生酒「劉伶」、あわびの酒浸し。フランクで購入した6種類のソーセージがセットになったアラカルトソーセージ。さらにスーパーエブリで馬刺しを購入。酒とつまみだけ

朝食➡レトルトのおかゆとインスタントのみそ汁のみ。朝は質素に

白州観光尾白川渓谷キャンプ場


尾白川渓谷道の入口に、白州観光尾白川渓谷キャンプ場がある。 登山者やハイカーの車は駐車場から先は進入できないが、キャンプ場利用者は駐車場の先にあるキャンプ場まで車を乗り入れることができる。ただし未舗装道路で道幅が狭く、ハイカーも多いので、利用の際は慎重に。 テントサイトは車を横付けできるサイトと車の乗り入れができない下段の川沿いサイトがある。ロケーションは圧倒的に川沿いのサイトがよい。一応、直火も可能だ。昔ながらのバンガローもある。 20年くらい前にこのキャンプ場を利用したことがあり、その時は車(4WD)で下段のサイトまで降りることができ、ハンモックを張ってのんびり過ごした思い出がある。炊事場やトイレは昔のままで、今風のキャンプ場しか知らない人にとってはかなり勇気がいるかもしれない。ポットン(汲み取り式)トイレに抵抗ある人は売店のある駐車場まで5分ほど歩けば、新しいトイレがあるのでそちらを利用しよう。 どちらかと言えばワイルドに野営を楽しみたい人におすすめのキャンプ場だ。

キャンプ場の受付は駐車場にある売店で

尾白川渓谷道の入口。キャンプ場はこの先にある

<白州観光尾白川渓谷キャンプ場基本データ> 住所 山梨県北杜市白州町白洲8886 TEL 0551-35-2345 開設期間 4~11月(要確認) 予約 電話にて随時受付 CHECK IN 13:00 /OUT 11:00 料金 1人1泊1500円、車1台 1000円(バイクも同料金) ツーリングマップル➡関東甲信越36 D-5/中部北陸63D-5

車を横付けできるサイト

車の乗り入れができない川沿いのサイト。10張りくらいは設営できるスペースがある

屋根付きの炊事場。水は飲用可

トイレ。男女共用。男子小用は壁に向かってするタイプでパーテーションなし。個室は和洋1室ずつ。洋式といっても和式に便座をかぶせただけ

関連記事