2023.08.15

ソロキャンプツーリング フィールドガイドVol.5[浅間山キャンプ場]

浅間山の東側山麓を走る有料道路、鬼押ハイウェー。その道路沿いに2023年6月2日、浅間山キャンプ場がオープンした。そこは以前、六里ヶ原休憩所があった場所で、正面に裾野を広げた浅間山を望む絶景スポットでもある。その六里ヶ原休憩所の施設をリノベーションし、1万2000㎡の敷地を新たにキャンプ場として整備したのが浅間山キャンプ場だ。 (取材日:2023年7月26日~27日)

著・フィネス

浅間山と満天の星と避暑キャンプ


浅間山キャンプ場は鬼押ハイウェーの峰の茶屋と鬼押出し園のほぼ中間地点に位置し、峰の茶屋からは3㎞の距離。観光客の多い軽井沢エリアに比べると北軽井沢エリアはとても静かだ。北軽井沢にも多くのキャンプ場はあるが、浅間山を裾野まで広く見渡せるのはおそらくこのキャンプ場だけだろう。 キャンプ場の標高は約1400mなので、夏でも快適! 空は広く周辺には民家もないので夜は満天の星が期待できる。 そこで今回は浅間山のある風景と満天の星を仰ぎ見る避暑キャンプツーリングへとでかけてきた。そして少し寄り道して浅間山にちなんだ酒蔵も訪ねた。

サイトから裾野を広げた浅間山を一望

Pick Up! 周辺情報


1.大塚酒造 2.懐古園 3.浅間記念館(二輪車展示館) 4.浅間牧場・天丸山 5.浅間大滝・魚止めの滝

1.大塚酒造


軽井沢周辺には残念ながら酒蔵がない。調べてみると同じ長野県でも千曲川上流部の佐久市周辺には酒蔵が多い。そこでちょっと遠回りになるが、今回は小諸市にある大塚酒造を訪ねてみた。 1841(天保2)年創業の酒蔵で代表銘柄は浅間嶽。小諸駅の近く、古い蔵や商店が今も残る町中にこの酒蔵がある。現在八代目の蔵元は女性で杜氏として醸造も行なっているという。 軟水主体の信州の酒蔵にあって、浅間嶽は随一の硬度を誇る浅間山の伏流水で醸されている。 この蔵元で今宵飲む酒を購入。長野県産の酒米「ひとごこち」を使用した精米歩合55%の浅間嶽 純米吟醸だ。 住所 長野県小諸市大手2-1-24 TEL 0267-22-0002 時 8:30~17:00 休 日曜、祝日 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.53 H-2/中部北陸 P.81 H-2

宿場町の面影を残す旧大塚酒店がある本町の旧北国街道

旧北国街道の裏通りにある大塚酒造。ここで直接お酒を買うことができる

2.小諸城址懐古園


大塚酒造とは小諸駅を挟んで反対側に懐古園がある。これまで小諸には何度か行ったことはあったが、今回初めて懐古園を訪ねてみた。懐古園は日本百名城のひとつ、小諸城の城跡に整備された公園で、三の門や天守台、二の丸・本丸跡の石垣など、かつての名城の名残を多数見ることができる。 園内を散策してひと際目を引いたのが、推定樹齢500年、幹回り6.5m、樹高約27mのケヤキ。なぜか巨木を見ると思わず手を触れて自然のエネルギーをもらいたくなる。そして次に目に付いたのが「そば処」の看板で、その名も山城館。出汁そばが名物ということで食べてみたかったが、営業時間前だったので断念。再訪を誓い懐古園を後にした。 懐古園には第1駐車場入口の隣にバイク用の駐輪スペースがある。屋根付きで駐輪代は1回200円。 住所 長野県小諸市丁311 TEL 0267-22-0296 時 9:00~16:00 休 無休(12~3月中旬は水曜休) ¥ 大人500円、小人(中学生以下)200円/散策券 大人300円、小人(中学生以下)100円 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.53 H-2/中部北陸 P.81 H-2

小諸城天守台と天守閣跡の碑。石垣は自然の石を積み上げて造る野面積(のづらづみ)でできている

小諸城は廃藩置県により廃城になったが、その後小諸藩の旧士族の手によって本丸跡に懐古神社が祀られた

小諸城の歴史を見てきたであろう懐古園の大ケヤキ

3.浅間記念館(二輪車展示館)


1955~1959(昭和30~34)年、全日本オートバイ耐久レース(浅間火山レース)が北軽井沢で開催された。このレースは日本の二輪車産業の基礎を築き、モーターサイクルスポーツに多くの人材を輩出するきっかけとなったことでも知られる。 浅間記念館はモーターサイクルスポーツ発祥の地として、その歴史を語り継ぎ末永く記念するために浅間ミーティングクラブと地元長野原町が協力して1989(平成元)年、浅間園内に開館。現在は移転して浅間牧場売店内にある。 館内には主要メーカーの旧車はもちろん、陸王、メグロ、ライラック(丸正自動車)、ラビット(富士重工)など、往年の名車が30台ほど展示されているほか、往時を偲ぶ写真や資料なども多数展示されている。展示車両は定期的に入れ替えていて、HPで展示車両リストを確認することができる。 この地をツーリングするならぜひ立ち寄ってみたいスポットだ。 <40年ほど前のことだが、学生時代に読んだ『汚れた英雄』(大藪春彦著)で浅間火山レースを知って、草刈正雄主演の映画まで観に行ったことを思い出した。> 住所 群馬県長野原町北軽井沢2032-23 浅間牧場売店内 開 4月下旬~11月3日 時 9:00~16:00 休 火・水曜(祝日、繁忙期は除く) ¥ 大人(高校生以上)500円 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.62 A-5

開館当初は浅間園にあったが、2021(令和3)に現在の浅間牧場売店内に移転

ハーレーダビッドソンとライセンス契約を結び誕生した、国産ハーレー陸王

1950~60年代の人気スクーター、富士重工のラビットと三菱重工のシルバーピジョン

初期の水平対向エンジンを積んだBMW R52(1928年)。価格は当時の家1軒相当

北軽井沢のローソンの駐車場の一角に建つ「第一回全日本オートバイ耐久レース」と「浅間高原レース発祥の地」の碑

4.浅間牧場・天丸山


浅間記念館がある浅間牧場売店の裏には小高い丘があり、浅間牧場や天丸山へと続く遊歩道がある。これまで北軽井沢には何度も来ているが、浅間牧場には行ったことがなかった。そこで今回は浅間牧場とその先の天丸山の頂上まで行ってみた。 浅間牧場には道幅も広く緩やかな上り坂が続く遊歩道を歩いて約15分で到着。そこには第2駐車場とトイレがあり、ここまでは一般の車でも来ることができる。事務所の横の「みはらしまきば」には数頭の牛が放牧され、その後ろには浅間山も見える。 第2駐車場の先も車道が続いているが、一般車両は通行止め。ここから天丸山まで20分ほど舗装された歩道を歩く。途中、「熊出没注意」の看板や熊除けの鐘がいくつか設置されていたので、少々心細くなる。天丸山は標高1344m、山頂からは浅間山をはじめ浅間隠山、四阿山、草津白根山、鼻曲山などを望む360度のパノラマ展望が広がっている、らしい。残念ながらこの時は雲に覆われ、遠くで雷がゴロゴロ鳴っていたので早々に山頂を後にした。 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.62 B-5

みはらしまきばで牛を見ることができる、晴れていればバックには浅間山もバッチリ見えるのだが‥‥

熊除けの鐘を打ち鳴らし天丸山へ

「熊出没注意」の看板のほかに、標識には熊の横に小さく「頻出地点!」の文字が‥‥

とりあえず天丸山登頂!

山頂からの展望。浅間山は雲の中

5.浅間大滝・魚止めの滝


浅間大滝は落差約10m、幅約3mの北軽井沢最大の滝。駐車場から渓谷沿いの平坦な遊歩道を5分ほど歩けば、滝のすぐそばまで行ける。夏でも滝のそばはひんやりと涼しく、汗も一気にひいて心地よい。 浅間大滝の下流には魚止めの滝があり、いったん駐車場に戻ってから5分ほど歩けば滝のすぐそばまで行ける。ただしこちらは坂道。魚止めの滝は三段になっていて岩を滑るように流れ落ちる滝。滝の音を聞いているだけでも心が癒される。夏のツーリングでは涼を求めて滝巡りもいいものだ。 県道から駐車場までは250mほどだが、未舗装路なので注意しよう。 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.62 B-5

緑に包まれて豪快に流れ落ちる清涼感たっぷりの浅間大滝

浅間大滝とは対照的に優美に流れ落ちる魚止めの滝

浅間山キャンプ場【キャンプ場情報】


サイトから雄大な浅間山を間近に望むことができる、そして夜には空を覆いつくすほどの満天の星、それがこのキャンプ場の最大のポイント。 2023年6月にオープンしたばかりのキャンプ場だが、センターハウスは以前の六里ヶ原休憩所の建物をリノベーションしたもので、休憩所としての機能も併せ持っている。そのセンターハウスの裏にはこのキャンプ場の特徴的な宿泊施設であるウッドデッキ付きのジオルームグランピングが建ち並ぶ。 センターハウスの前面にはオートキャンプサイト、横にはバイクサイトが配され、いずれも浅間山の素晴らしい眺望を正面に見ることができる。北軽井沢の中でも抜群のロケーションのキャンプ場だ。 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.61 L-6/中部北陸 P.89 L-6

キャンプ場入り口にある看板。浅間 六里ヶ原休憩所も併記

■サイトの種類


▶バイクサイト バイクサイトは2区画のみ。1区画約15㎡の広さで芝生のサイト。サイト内に収まればバイクも横付け可能だが、隣接してバイクサイト専用の駐輪スペースもある。 1~2人用テントとタープを設営する場合は、バイクの横付けは厳しい。 定員は1~2名だが、2名で利用する場合は追加料金が必要。

タープはテントに半分掛けた状態でバイクもギリギリ横付けができた

バイクサイトと専用の駐輪スペース。後ろはドッグラン付きオートサイト

▶オートサイト オートサイトは14区画で100㎡のサイト(定員6名、車1台)と、150㎡の広々サイト(定員8名、車2台)がある。そのほか広さ130㎡のEV充電器&AC電源付きサイト(定員6名、車1台)2区画と広さ24㎡のドッグラン付きサイト(定員8名、車1台)が1区画。 ドッグラン付きサイトは芝生だが、それ以外のサイトは浅間火山砂利が敷かれているので水はけがよく、テントが泥で汚れる心配もない。ただし強風が吹くこともあるので、ペグは長めのペグを用意したほうがよい(40㎝のペグの無料貸し出しあり)。また各サイトの周りの枠には張り綱を止めるフックも設置されている。 サイトは日差しを遮るものが何もないので夏はタープが必要だ。

10×10mのオートサイトは3.5×5mの駐車スペースを含む

テントサイトは枠の中に浅間火山砂利が敷かれている。枠に収まればテント、タープの張り数制限はなし

▶ジオルームグランピング とんがり屋根が特徴的な宿泊施設が12棟。いずれもデッキ付きで定員は3~4名、うち1棟はドッグラン付き。 センターハウスには事前予約制の専用キッチン、シャワールーム棟には洗面所付きの専用個室シャワールームが用意されている。車は横付けできないが専用の駐車場がある。 また、すべてカット済みの食材を真空パックにした食材セット付きのプランがあり、簡単な調理でキャンプ料理が楽しめる。素泊まりプランもある。

ジオルームグランピング。デッキにはタープ、テーブル、チェア、焚火台などがセットされる

フェンスで囲まれたドッグラン付きジオルームグランピング

■場内施設


▶センターハウス(休憩所) キャンプ場の受付をはじめ、売店、休憩所、ジオルーム利用者専用のキャンパーズキッチンがある。 売店ではキャンプ用の燃料、着火剤、電池、薪、木炭のほか、紙皿、調味料、カップ麺なども販売。 ホットドッグやワッフル、コーヒーなどの軽食の用意もあり、キャンプ場利用者以外でも休憩所として気軽に利用できる。

六里ヶ原休憩所の建物をリノベーションしたセンターハウス

SOTOのCB缶やOD缶、ライター、着火剤など消耗品も販売

薪はナラ薪1000円、針葉樹700円、焚き付け用細薪700円の3種類

ランタンや調理器具、焚火台などのレンタル品もある

▶トイレ、自動販売機、炊事場 サニタリー施設は屋内にあるので荒天時でも安心。炊事場はすべてのシンクで温水が使えて、洗い物も楽。この棟のトイレは男子小3、個室1、女性用は未確認。いずれも清潔に管理され、快適に使える。

センターハウスの隣の建物にトイレ、自販機、炊事場がある

炊事場にはシンクが全部で6つ

トイレは温水洗浄機付き便座

ソフトドリンクの自販機、値段はそれなり

▶シャワールーム シャワールームは中2階にあり、キャンパー用とジオルームグランピング宿泊者専用の個室シャワールームがある。 キャンパー用のシャワールームは男女別で男子が2部屋。利用時間は17:00~22:00と朝は8:00~11:00、利用料は無料。1回の利用時間の制限もない。半地下にはトイレもある。

シャワールーム棟

手前がキャンパー用、奥がジオルームグランピング宿泊者専用の個室シャワールーム

ボディーソープ、シャンプー、コンディショナーも備え付けあり

洗面所にはドライヤーもある

▶キャンプ場基本データ◀


住所 群馬県嬬恋村鎌原1053-46 開設期間 4月上旬~11月末 予約 WEB予約 ※バイクサイトは週末でも空きがある場合もあるが、オートサイトは週末利用の場合は早めの予約を。 CHECK IN 13:00~18:00/OUT 11:00 <ソロキャンプモデル料金> 3500円(バイクサイト3000円+ゴミ回収費500円) サイト使用料 バイクサイト3000円、オートサイト5500円~ ゴミ回収費 500円 <ごみ処理> 可燃ごみ(プラスチック含む)/ビン/缶/ペットボトル/段ボールに分別して、ごみ集積場へ。ほとんどのゴミは回収可能。

ゴミ集積場はシャワールームの裏にある

可燃ごみは受付時に渡される指定のゴミ袋へ

ビン、缶、ペットボトルは指定のゴミ箱へ。ガス缶は穴を開けて専用の箱へ

灰、炭を捨てるドラム缶もある

<周辺情報> ※( )内はキャンプ場からの距離 温泉:かくれの湯(約12㎞) スーパー:ツルヤ(約13㎞) コンビニ:セブンイレブン(約9㎞)、ローソン(約9㎞) ホームセンター:ケーヨーデイツー(約13㎞)

今回のキャンプ飯


北軽井沢でキャンプをする場合、食材を手に入れるスーパーといえばツルヤ軽井沢店だろう。地元産の商品を数多くそろえ、新鮮な食材はもちろん、オリジナルブランド商品も多く扱っている。そして地酒やクラフトビール、ワインも充実した品ぞろえ。キャンプで必要な食材や酒はここでほとんど調達できる。店内を見て回るのも楽しいので、ついつい時間を忘れて長居をしてしまうほどだ。 夕食➡まずはビールを飲みながらつまみの枝豆を茹で茹で。焚火の準備をして火が落ち着いたら鉄板で黒毛和牛の焼き肉。カット野菜を盛り付けてできあがり。 昔みたいに無茶食いはできなくなってきたので、夕食はこんなもの。あとは酒があれば満足。 期待していた満天の星は浅間山にまとわりつくように雲が広がり、天を仰いでも星はまばらに見えるだけ。仕方ないので酒を飲み干し、焚火を消して早々に寝袋にもぐりこんだ。

左4本は軽井沢ブルワリーのTHE 軽井沢ビール、右はヤッホーブルーイングの軽井沢高原ビール

大塚酒造で買った今宵の酒は浅間嶽の純米吟醸。やや辛口ですっきりとした味わい

毎度のことながら焼くか、茹でるか、生で食べられる手抜きメニュー

キャンプの夜の幸せなひと時

朝食➡テントを出ると前日と打って変わって青空が広がり、浅間山も頂上から裾野まで隠れることなくその山容を見せてくれた。 朝食はペペロンチーノとトマトポタージュスープ、そして生野菜。ペペロンチーノはパスタを茹でてパスタソースをまぜるだけ。スープはお湯を注ぐだけ、生野菜もドレッシングをかけるだけ。別に説明するほどでもない。 以前はコーヒーもミルで豆を挽いて、ドリップで淹れていたのだが、今は缶コーヒー。時間の短縮と荷物を減らすため!

キャンプ飯のレパートリーも底が知れてきた

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