2023.07.12

ソロキャンプツーリング フィールドガイド Vol.4 [ほったらかしキャンプ場(山梨県)]

山梨市にある絶景露天風呂が人気のほったらかし温泉。その駐車場の先に、ほったらかしキャンプ場がある。晴れていればサイトから富士山や甲府盆地の夜景、満天の星を望むことができる絶景のキャンプ場だ。 2016年にオープンしたこのキャンプ場は、温泉が近くてサイトからの眺望が素晴らしいと当初から話題になっていて、予約の取りにくいキャンプ場としても知られている。最初はサイト数も少なかったが、その後徐々に拡張し、2022年には新たにソロ専用のボッチサイトを増設。現在では全体で60区画以上にもなっている。 (取材日:2023年6月15日~16日)

著・フィネス

絶景を見ることができなくても、キャンプは楽しめる!


ほったらかしキャンプ場は甲府盆地を見下ろす標高700mの高台にあり、中央道勝沼ICから約14㎞、一宮御坂ICからは約12㎞とアクセスもよい。サイトからの眺望が素晴らしく、ほったらかし温泉へも歩いて行ける立地環境が何より魅力だ。ただし、眺望については天候によって左右されるので、こればかりは運を天に任せるしかない。そして今回は残念ながら天に見放されたキャンプとなってしまった。 当初の予定では温泉と絶景を楽しもうと思っていたが、天気予報を見る限り絶景は期待できそうにないので方針変更! まあ、多少天気が悪くても準備さえしっかりしていればそれなりにキャンプは楽しめる。 中央道を勝沼ICでおりてキャンプ場に向かうと、ブドウ畑や大小さまざまなワイナリーが目につく。そう、山梨県は日本ワイン発祥の地で、とくに甲州市勝沼や笛吹市には多くのワイナリーが集まっている。調べてみると山梨市には酒蔵も1件ある。であれば雨が降る前にワイナリーと酒蔵を巡って、今宵飲む酒を手に入れるのが得策だろう。 そこで今回のキャンプは雨に煙る幻想的な?景色を眺め、天候回復を祈りつつ、粛々と酒を楽しむことにした。

久しぶりの雨のキャンプ。設営さえしてしまえばあとは温泉に入ってのんびり

晴れた日のサイトからの眺望はこんな感じ(2018年撮影)

PICK UP ! 周辺情報


1.丸藤葡萄酒工業 2.養老酒造 3.差出磯大嶽山神社 4.モンデ酒造 5.新中国料理 大三元 6.ほったらかし温泉

1.丸藤葡萄酒工業


明治23(1890)年創業。「ルバイヤート」のブランド名で知られる老舗ワイナリー。敷地内の旧醸造蔵と瓶貯蔵庫は国の登録有形文化財に登録されている。また、事務所のあるショップ&ギャラリーは150年前に建てられた母屋を改修した建物で、懐かしい雰囲気の中、ゆっくりワイン選びや試飲(有料)が楽しめる。 日本ワインコンクールの金賞や日本ワイナリーアワード5つ星など、醸造するワインはもちろん優良なワイナリーとして数多くの賞を受賞している。 住所:山梨県甲州市勝沼町藤井780 TEL 0553-44-0043 時:9:00~16:30 休:無休 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.24 E-2/中部北陸 P.54 E-2

趣のある建物は事務所兼ショップ&ギャラリー

樽やヴィンテージ家具が置かれた落ち着いた雰囲気の店内

500円で5アイテムの試飲ができる(バイクなので我慢!)

試飲はできないので、お土産に2022ルバイヤート新酒ヌーヴォー マスカットベリーAの赤を購入

2.養老酒造


嘉永2(1849)年創業の山梨市にある唯一の酒蔵。主な銘柄は養老、櫂、六波、567(みろく)、玉笹で、生原酒を中心に昔ながらの伝統的な製法で酒を醸し続けている。 杉玉が吊るされた門をくぐると、すぐ正面に築200年の古民家を改装した立派な建物がある。引き戸を開ければ中は土間になっていて、奥に囲炉裏がある昔懐かしい造り。1階は売店のほかに「山梨ごはん&カフェ槽(ふね)」、2階には「蔵元ごはん&カフェ 酒蔵櫂」があり、酒蔵ならではのメニューを提供している。 直販がメインなので外ではなかなか手に入らない、そんな希少な酒がありがたい。 住所:山梨県山梨市北567 TEL 0553-22-4047  時:11:30~16:00、18:00~21:15 休:月曜 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.37 D-7/中部北陸 P.64 D-7

杉玉の色が酒の熟成度を知らせる

まず目を惹かれるのが風情ある佇まいのこの建物

今では珍しい土間 。そこはまるで時間が止まったような空間

今宵飲む酒は純米生原酒の六波!

3.差出磯大嶽山神社


山梨市の中心部、笛吹川沿いに位置する景勝地、差出の磯にある神社。バイク神社として知られ、健康(病気平癒、癌封じ)の神として、また厄除け開運の神として、信仰されている。ライダーにはタイヤの形のバイク守やバイクの図柄が入った御朱印が人気だ。 本殿は高台にあり表参道の入口は南側の笛吹川沿いにあるが、駐車場がなく長い階段を上ることになる。バイクでのアクセスは北側の国道140号沿いの入口から入ると一般駐車場の先にバイク用の駐輪場があり、撮影スポットにもなっている。 住所:山梨県山梨市南1376-1 TEL 0553-22-0081 時・休:参拝自由 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.37 D-7/中部北陸 P.64 D-7

甲府盆地を見渡せる駐輪場。バイクの撮影スポットらしいが、どんより曇り空

表参道から本殿を正面に見る

バイクの御朱印や期間限定の御朱印など、御朱印の種類も多彩。バイク守にはハンドルに着けるお守りもある

4.モンデ酒造


昭和27(1952)年創業のワイナリー。ワインをより身近に、より手軽に飲めるようにと、珍しい缶ワインを生産しているのが特徴。ソロキャンプではフルボトルのワインは持て余してしまうけれど、180ml~300mlサイズの缶入りワインやスパークリングなら手ごろで飲みやすい。もちろんワインオープナーも不要。 売店では豊富な種類のワインが並び、一部試飲もできるほか、ワイン以外のおみやげも多数販売している。 住所:山梨県笛吹市石和町市部476 TEL 055-262-3161 時 9:00~16:00 休 無休 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.24 C-2/中部北陸 P.54 D-7

入口には大樽やベンチ、看板があり、撮影スポットに

売店ではワインのほかに、つまみになる漬物や干しブドウなど山梨の名物も販売

モンデ酒造で購入したワイン。左からプレミアム缶ワインの白と赤、デラウェアスパークリング。いずれも山梨県産のブドウを使用

5. 新中国料理 大三元


以前から気になっていた笛吹市のソウルフード?「ラーほう」。その名前からなんとなく想像できるが、ほうとうの麺を使ってラーメンのように気軽に食べられるというのがコンセプトで、味やトッピングは自由らしい。 笛吹市を中心に「ラーほう」を提供する店は24店舗(2023年6月現在)。今回は石和にある新中国料理 大三元で「ラーほう」をいただいた。 麺は普通のほうとうの麺に比べると薄めで幅もやや細い感じ。そしてスープは鶏白湯塩味、具は鶏肉、白菜、ニンニク、長ネギ、ホウレンソウなどで、糸唐辛子が添えられている。独特の麺が白湯スープによく絡んで、想像以上においしかった。 ランチセットや単品メニューもいろいろあるので、機会があればまた行ってみたい。 住所:山梨県笛吹市石和町市部789-98 TEL 055-262-6534 時 11:30~14:00、17:00~22:00 休 月曜(祝日の場合は翌日休) ツーリングマップル➡関東甲信越 24 B-2/中部北陸 P.54 B-2

鶏白湯のあっさりとしてコクのあるスープが後を引く

ほうとうの麺よりやや薄く程よいコシもある

6.ほったらかし温泉


富士山を望み甲府盆地を見渡す眺望、そして夜景と満天の星も素晴らしい絶景の日帰り温泉。それぞれ源泉の異なる「あっちの湯」と「こっちの湯」があり、「あっちの湯」は日の出1時間前にオープンするので、湯船から日の出を見ることもできる。 今回は初日に「こっちの湯」に入り、「軽食スタンド桃太郎」で温玉あげを買って酒のつまみに。 翌日晴れたら「あっちの湯」で日の出を見ようと思っていた。が、目が覚めた時にはすでに6時近く、しかも一面、雲に覆われていたので朝風呂は断念。でも、せっかく温泉入口まで歩いてきたのだから「気まぐれ屋」で朝食をいただいた。 住所:山梨県山梨市矢坪1669-68 TEL 0553-23-1526 ¥ 大人800円、小学生以下400円(あっちの湯とこっちの湯の入浴料は別々) 時 10:30~21:30(あっちの湯は日の出1時間前~、季節により異なる) 休 無休 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.37 C-7/中部北陸 P.64 C-7

露天風呂に浸かりながら、こういう景色を見たかった(引用:マップルトラベルガイド)

温玉あげはサイトに持ち帰って酒のあてに

2日目朝、あっちの湯入口にて朝風呂断念

ほったらかしキャンプ場【キャンプ場情報】


このキャンプ場の魅力は、何といってもサイトからの眺望の良さと、ほったらかし温泉に隣接していることだろう。 オープン当初は小さな管理棟と十数区画ほどのオートサイト、そして炊事場とトイレが1か所だけの小ぢんまりとしたキャンプ場だったが、その後、山を切り開いてエリアを拡張し、今では9タイプ、60区画以上のサイト数に増えている。しかも眺望を生かしたサイト造りによって、どのサイトからも多少の差はあれ、絶景を見ることができるキャンプ場はほかにあまり見ない。 今回利用したボッチサイトは、それまであったフリーサイトの奥を拡張して造成したサイトだが、まだまだ拡張するスペースはあるようなので、さらなる進化が楽しみだ。 ツーリングマップル➡関東甲信越 P.37 C-7/中部北陸 P.64 B-2

眺望がすばらしいキャンプ場だけに、悪天候だとちょっと悔しい!

■サイトの種類


▶ボッチサイト ほったらかしキャンプ場で一番新しいサイトが、ソロ専用のボッチサイトだ。 キャンプ場の最下部にあり、上段12区画、中段8区画、下段8区画の3段で全28区画。1区画の広さは約5×8mだが、上段最奥の12番サイトだけはほかよりやや広くなっている。 サイトは受付順に空いているサイトを選べるので、チェックインの14:00前には受付待ちのキャンパーが並ぶ。そのためアーリーチェックイン(12:30~、別途1000円)を利用する人も多い。

今回利用したのは上段の7番サイト。OGAWAのステイシーとペンタ3×3とバイクを入れてぎりぎりの広さ。砂利敷きなので水はけがよく、ペグもしっかりと効く

車だと区画内にテントとタープを収めるのは厳しそう。タープだけ張って車中泊する人も多かった

▶その他サイト ボッチサイト以外には、標準的なサイズ(約7×9m)の「区画サイト」と「ハナレサイト」、車2台まで駐車可能な広めの「ダイノジサイト」、約5×6mのデッキと車1台分の駐車スペースがある「デッキサイト」、犬をリードなしで遊ばせられる柵で囲まれた「ほったらかしサイト」、キャンプ場最上部にある約8×13mの広々とした「頂上サイト」、約120㎡の広さでプライベート空間も確保した「横浜サイト」、そして小屋の横にテントやタープが設営できる「小屋付きサイト」がある。 ボッチサイト以外は全区画AC電源付き(別途使用料1000円)で、「ダイノジサイト」には個別のシンクが付いている。 今回はあいにくの天気だったが、ボッチサイトを含め、いずれのサイトも視界が開けている分、日差しを遮るような木々はほとんどない。そのため、夏の日中や強風時には注意が必要だ。

区画サイト。車1台に大型のテントを設営するとタープの設営は厳しい

小屋付きサイト【兄】。エアコン、ミニキッチン、トイレ、シャワールーム、冷蔵庫、ベッド×2、マット×2が標準装備(2018年撮影)

小屋付きサイト【兄】のテント設営スペース。屋外シンクもある(2018年撮影)

■場内施設


▶センターハウス(管理棟・売店) チェックインの受付はここで。販売品は薪や炭、氷をはじめ、OD缶(プリムス)、CB缶(SOTO)、ホワイトガソリン、着火剤など消耗品や小物もいろいろそろっている。もちろんビールやワインも。また、シェラカップやTシャツ、バッグ、帽子、ステッカーなど、キャンプ場オリジナルグッズも充実した品ぞろえ。そして、管理棟の並びには「駄菓子屋ほったらがし」があり、懐かしい駄菓子やマシュマロ、カップラーメンなども売っていて、酒のつまみに困ることはない。 レンタル品も必要最小限のキャンプ用品はあるが、利用の際は予約時に要確認。

オリジナルグッズなど、品揃え豊富な売店も要チェック

▶炊事場 炊事場は各エリアにあるので、個々のサイトからでも比較的近くに位置している。それぞれの炊事場の蛇口数は多くはないが、給湯器付きで温水の出るシンクもある。また、各炊事場には排水口用の水切りネットが備え付けられていて、排水口のゴミ受けに生ごみを流したらネットを交換して、サイトまで持ち帰り各自可燃ごみとして出すことになっている。

ボッチサイトにある炊事場。温水が出るシンクがひとつのみ

備え付けの水切りネット。生ごみを流したら各自交換を

▶トイレ トイレも各エリアに男女別水洗トイレがあり、全部は確認していないが温水洗浄便座で管理も行き届いている。ただし、個室の数はサイト数からみるとやや少ない感じがする。

区画サイト入口にあるトイレ(男子個室1+小1、女子個室2)

ボッチサイトにあるトイレ(男子個室2+小1、女子個室2)

男子個室(ボッチサイト)

男子小も扉はハーフだが一応個室(ボッチサイト)

▶その他場内施設 場内にはキャンプ宿泊者以外でも利用できるバーやカフェなど、飲食施設がある。 ボッチサイトの入口にある「BAR山鳥」は、営業時間15:00~21:30(不定休)で、テントを設営した後や、夕食後に気分を変えてもう少し飲みたいという時に利用したい。ビールをはじめワイン、ウイスキー、カクテル、焼酎、サワーなど、豊富な種類がそろい、つまみなどのフードメニューも充実している。テイクアウトもできるが、テラスで夜景を眺めながら飲む酒はさぞかしうまいことだろう‥‥。 キャンプ場の山頂部には「Cafe:山歩SANPO」がある。営業時間は11:00~19:00(木曜休)。今回は定休日だったので行けなかったが、サイトからの景色よりもさらに素晴らしい眺望が広がっていて、コーヒーやビール、軽食やスイーツなど、豊富なメニューがそろっているようだ。センターハウスから10分ほど坂道を歩いて上がっていくが、晴れていたらぜひコーヒー(ビール?)を飲みながらその眺望を楽しみたい。

なかなか雰囲気のよい「BAR山鳥」。ここは昔、管理棟だったような‥‥

▶キャンプ場基本データ◀


住所 山梨県山梨市矢坪1669-25 TEL 080-9677-1010 開設期間 通年 予約 利用日の3か月前の1日から受付開始    WEB予約 ※土・日曜や連休は予約開始日にほぼ満サイトとなるが、月~木曜は利用直前でも比較的空きはある。また、土・日曜や連休に空きがなくても、キャンセルが発生した場合にメールや電話で知らせてくれる「空室お知らせサービス」というサービスもある(サイトの指定は不可)。 CHECK IN 13:00(ボッチサイトは14:00)/OUT 11:00(小屋付きサイトは10:00) <ソロキャンプモデル料金> 4000円(大人2500円+ボッチサイト1500円) サイト宿泊料金 大人2500円、小学生1000円(ハイシーズンは大人3000円、小学生2000円) サイト使用料  ボッチサイト1500円         区画サイト・ハナレサイト 2000円         ダイノジサイト・ほったらかしサイト 3500円          デッキサイト・頂上サイト・横浜サイト 4000円 <ごみ処理> 可燃ごみ(生ごみ、ペットボトル、プラスチック類)/ビン/缶/ガス缶(穴を開ける)に分別し、11:00までに受付へ。ゴミ処理代は500円。使用済みの炭や灰は各炊事場の横にあるドラム缶へ。

ボッチサイトの炊事場横にある炭・灰捨て用のドラム缶

<周辺情報> ※( )内はキャンプ場からの距離 温泉:ほったらかし温泉(すぐ) スーパー:いちやまマート(約6㎞) コンビニ:セブンイレブン(約5㎞) ホームセンター:コメリ(約5㎞)

今回のキャンプ飯


いつもなら缶ビールを飲みながら食事の準備をするのだが、今回はモンデ酒造で手に入れた缶ワインを開けて夕食の準備スタート。食材は地元スーパーのいちやまマートで焼き肉用の味付け牛肉と馬刺し、ごぼうサラダを購入。まずは馬刺しをつまみに養老酒造で仕入れた六波で始動。ほどなくメインの焼き肉へ。あとはひたすら焚火と酒を楽しむだけ。 そして朝食は横着を決め込んで、ほったらかし温泉の気まぐれ屋へ。

手始めに山梨県産マスカットベリーA種を使用したプレミアム缶ワイン赤から。キャップがコップになっているので便利

いつもながら調理に手間のかからない食材

日が暮れてきたので薪に火を着けてソロ宴スタート!

本日のメインディッシュ。フライパンで焼いてそのまま直食い

朝食は気まぐれ屋で卵かけごはんの豚汁セット(700円)をいただく。納豆と漬物も付いて、これぞ清く正しい、ザ・朝ごはん

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