2023.06.14

ソロキャンプツーリング フィールドガイドVol.3  [桐の木平キャンプ場(群馬県)]

群馬県北部に聳える武尊山(2158m)の南側中腹、標高1000mに桐の木平キャンプ場がある。 このキャンプ場は2014年まで川場村が運営していたが、閉鎖を機に地元出身の有志が中心となって整備をすすめ、2016年新たにキャンプ場をオープン。その後、キャンプ場の手前の小水力発電所工事のため一時休業していたが、2021年営業を再開。ちなみに沼田市のグリーンパークふきわれと同じ運営会社の手によるものだ。   (取材日:2023年5月10日~11日)

著・フィネス

ネットが使えない環境でシンプルにキャンプを楽しむ!


桐の木平キャンプ場は関越道沼田ICから約15㎞とほどよい距離にありながら、森に囲まれた場内に渓流も流れる自然豊かなロケーション。そしてキャンプ場は電波が届かず圏外となるので(管理棟はWi-Fi利用可)、サイトではスマホやネットは使えないという自然と向き合うには最高のシチュエーションだ。 キャンプ場までのアクセス道、県道64号沿いには関東屈指の人気を誇る道の駅 川場田園プラザがあるほか、川場田園温泉 楽々の湯、川場温泉センター いこいの湯、川場温泉悠湯里庵 武尊の湯、小住温泉、さらに片品村に入れば花咲温泉と、日帰り温泉施設が点在する。そして川場村に2つある酒蔵のうちのひとつが県道64号沿いにあり、なんともうれしいツーリングルートだ。 そこで今回は川場村から片品村へと、温泉と地酒を嗜む、キャンプツーリングへとでかけてきた。

1区画がとても広くストレスを感じないサイト

Pick Up ! 周辺情報


1.道の駅 川場田園プラザ 2.土田酒造 3.小住温泉 4.花咲の湯 5.吹割の滝

1.道の駅 川場田園プラザ


地元の新鮮野菜・果物が買えるファーマーズマーケット、地酒やみやげがそろう物産センターをはじめ、地元食材を利用したレストランやパン工房、ミート工房などがある。さらに、敷地内にはクラフトビールの醸造所もあり、キャンプの食材や酒の調達にも便利な道の駅だ。 今回はミート工房で山賊焼き、ファーマーズマーケットで豚もつ煮と刺身こんにゃく、物産センターでKAWABA BEERと地酒を購入。そしてランチは麺屋 川匠でかわば丼をいただいた。 また、施設内にある川場村観光協会では周辺の観光案内はもちろん、観光パンフレットも置いてあり、ツーリングの情報収集に役立つ。なお、かわば田園温泉 楽楽の湯や川場温泉悠湯里庵の入浴割引券もあるので、温泉に入るならぜひとも利用したい。 住所:群馬県川場村萩室385 TEL 0278-52-3711 時・休: 店舗により異なる ツーリングマップル➡関東甲信越 71 E-5

県道64号と利根沼田望郷ラインの交差点にある道の駅

本場ドイツ仕込みのハム・ソーセージが味わえるミート工房

特性スープを使ったラーメンのほか、郷土料理のおきりこみ、川場産コシヒカリを使った丼や定食もある麺屋 川匠

柔らかくジューシーな鶏モモ肉を使った自家製からあげに、地元のこんにゃくを使った特性タルタルソースをかけた「かわば丼」

2.土田酒造


1907(明治40)年創業。代表銘柄は誉国光と、新ブランドの土田。酒米ではなく食用米を使い、精米を最小限に抑えた酒造りにこだわり、現在では醸造アルコールなどの添加物を一切使用せず、蔵の菌に頼った江戸時代の製法である生酛(きもと)造りに取り組んでいる。 土田の酒はほとんどが精米歩合90%の純米酒だが、今回は精米歩合60%の純米吟醸酒 土田生もとを購入。 住所:群馬県川場村川場湯原2691 TEL 0278-52-3670 時:10:00~15:30 休:木曜(要問合せ) ツーリングマップル➡関東甲信越 71 E-4

蔵造りの土田酒造直売店

和モダンで落ち着いた雰囲気の店内

酒器などオリジナルグッズも販売

日本酒仕込みの柚子酒や梅酒もある

3.小住温泉


桐の木平キャンプ場から一番近い日帰り温泉施設で、キャンプ場から約5㎞。テントを設営して15:00には温泉に着いたが、地元の方が2名入っていただけなのでのんびり入浴できた。薄根川沿いに面していて、秘湯のような風情があり、露天風呂からは渓流を望むことができる。ぬるめで、かすかに硫黄臭を感じる優しい湯。レストランや休憩スペースもある。なぜか帰りがけにフロントの人から「うまい棒」を2本、おみやげですと言って手渡された。なんでだろう? 住所:群馬県川場村川場湯原1851-2 TEL 0278-25-8695 ¥ 大人750円、小学生500円 時:10:30~20:00 休:火曜 ツーリングマップル➡関東甲信越 71 E-4

薄根川沿いにある素朴な温泉

4.花咲の湯


2日目、キャンプ場を早めに撤収して県道64号で片品村へ。一路めざしたのが花の駅・片品にある日帰り温泉施設、花咲の湯だ。季節の花を眺めながら入浴できる香りの湯と、ロックガーデン風の露天風呂がある風の湯があり、毎日男女入れ替えとなる。平日の午前中だったので、利用者が少なくのんびり温泉に浸かることができた。 ここでは片品村でしか採取できないという貴陽石を使用した岩盤浴が評判のようだが、別料金(1000円)なのでパス。ほかにハンモックのある休憩処やレストラン、売店などがあり、できれば時間を気にせず過ごしたいところ。 住所:群馬県片品村花咲1113 TEL 0278-20-7111 ¥ 大人800円、3歳~小学生600円(土・日曜、祝日は大人850円、小人650円) 時:10:00~19:30(繁忙期は~20:30) 休:金曜(繁忙期は営業) ツーリングマップル➡関東甲信越 71 G-3

今回、男湯はロックガーデン風の庭園風呂、風の湯(引用:まっぷるトラベルガイド)

5.吹割の滝


日本の滝百選にも選定され、東洋のナイアガラと称される吹割の滝。近くで見ると迫力あるが、現在はパイロンやロープ、白線などで規制され、滝の流れに近づくことはできないのが残念。また、日本語をはじめ英語や中国語などで注意のアナウンスが大きな音量で流れていて、ちょっと耳障りだったが、これも安全対策上、致し方ないのか‥‥。 今回、初めて観瀑台がある遊歩道を一周歩いてみた。観瀑台は第一から第三まで3つあるが、時期的に悪かったのか木や枝が邪魔で、こちらも残念ながら絶景という感じではなかった。ただ、遊歩道を歩いているときにサルとリスに遭遇できた。 住所:群馬県沼田市利根町追貝 TEL 0278-23-2111(沼田市観光交流課 利根観光係) 時・休:遊歩道は夜間通行止め(12月中旬~3月下旬は冬季閉鎖) ツーリングマップル➡関東甲信越 71 H-4

近づくと危険! ということで規制を守って見学しよう

第三観瀑台からの眺め

遊歩道で遭遇したおサルさん

桐の木平キャンプ場【キャンプ場情報】


キャンプ場は薄根川の上流部にあり、管理棟のあるAサイトとB・C・Dサイトは離れていて、B・C・Dサイトへ行くには未舗装路を500mほど走行することになる。オフロードバイクやアドベンチャーバイクなら問題ないが、荷物満載のスポーツタイプの大型バイクは注意が必要だ。また、Bサイトから最上段のDサイトへの場内路も勾配のきつい未舗装路なので、リスクを避けるならAサイトがおすすめ。 サイトはすべてオートサイトで、ほとんどが100㎡以上のゆったりとした広さ。ソロ専用サイトはないが、ソロキャンプの場合はA~Cサイトで当日空いているサイトを利用できる。ただし週末や繁忙期は、ソロはAサイトへの案内となるようだ。 炊事場の水は川の天然水を利用しており、水質検査はしているとのことだが、お腹の弱い方や体調の悪い方は飲用しないようにとのこと。煮沸すれば問題ないと思うが、キャンプ場では受付時に2リットルのミネラルウォーターのペットボトルを飲料用に配布している。 キャンプ場は圏外のためネットや電話などの通信は使えないが、管理棟だけWi₋Fiが使える。また、緊急連絡の場合は管理棟とセンターハウスにある固定電話が利用できる。 キャンプ場の印象としては人里から離れて自然に囲まれた素晴らしいロケーション。ワイルドな雰囲気もあるが場内の施設は必要十分で、できれば連泊してのんびり過ごしてみたいキャンプ場だ。 ツーリングマップル➡関東甲信越 71 F-3

受付のある管理棟。入口を入って右側が山猫文庫

■サイトの種類


▶Aサイト  キャンプ場の入口、管理棟のあるサイト。15区画あり、1区画のサイズは約8.5×14~15mで、Aサイトの区画が一番広い。ほかに手ぶらプラン(セットアップテント)のサイトが4区画ある。管理棟はWi₋Fiが使えるので、ネットを頻繁に使うのであればAサイトが便利。

前武尊と剣ヶ峰を望む開放的なAサイト。左の白いテントが手ぶらプランのサイト

▶Bサイト Aサイトから離れたエリアにB~Dサイトがある。最下段は駐車場とセンターハウスがあり、そこから上段に向かってBサイト、トイレ・炊事場、Cサイト、Dサイトとなっている。 Bサイトは6区画あり、1区画のサイズは9×12~13m。1区画だけ通路を挟んで川側にあり、独立したサイトのようになっている。今回利用したのはセンターハウス側のB-1サイト。

サイトは奥行きがあり、山側を背に1列に並ぶ。サイト間の区切りはロープが目印

唯一川側にあるB-6サイト。せせらぎのBGMが心地よい

▶Cサイト Cサイトは7区画あり、1区画のサイズは9×12~13m。ロケーションもBサイトとほぼ同じ。川側にサイトはないが東屋がある。

Bサイト側3区画、Dサイト側4区画の対面型レイアウト

通路を挟んで東屋がある

▶Dサイト 最上段のDサイトは7区画あり、1区画のサイズは約9×11m。CサイトからDサイトへ上がる道の勾配が一番急なため、キャンプ場では4WD車のみ乗り入れ可能なサイトとしている。トイレは二段下にあるためやや遠いが、炊事場はサイト内にある。

キャンプ場最奥、最上段にあるDサイト

DサイトからCサイトを見下ろす。この通路の勾配がなかなかきつい

▶山小屋 Bサイトの川側にある4人用簡易宿泊施設。室内はシングルベッド4台に枕、シーツ、毛布付き。AC電源あり。車1台は横付け可能。

屋根付きテラスはあるが、焚火はテラス外で

■場内施設


▶管理棟 キャンプ場の受付はまずここで。管理棟には売店があり、薪、炭、OD缶(コールマン)、CB缶、ホワイトガソリン、着火剤、カップ麺、レトルト食品、調味料などを販売。レンタル品はテント、タープ、寝袋、BBQグリル、テーブル・チェアなど。

燃料類などはある程度そろうが、食料品は非常食程度なので事前調達が基本

▶山猫文庫 管理棟に併設の図書館。さまざまなジャンルの本が置いてあり、自由に手に取って見たり読んだりできる。また、電気ポットやコーヒー豆、コーヒーミル、使い捨てドリッパーなども用意され、こちらも自由にコーヒーを淹れて飲むことができる。Wi₋Fiも使えるのでリモートワークも可能だ。 なお、本を持参すれば1冊50円(最大10冊まで)をサイト料から値引いてくれるといううれしいサービスもある(週刊誌や状態の悪いものは除く)。

雨の日には最高のフリースペース! もちろん雨じゃなくてもくつろげる

自分で豆を挽いてコーヒーを淹れる。インスタントコーヒーじゃないところも粋な計らい

▶センターハウス Bサイトの下にあるフリーカフェスペース。テーブルとイス、コーヒーセットがあり、自由に使える。ランドリースペースもあり、無料で使える洗濯機が2台ある。

センターハウスは24時間開放。緊急時の避難場所にもなる

コーヒーセットもあるので、ここでコーヒーを淹れてサイトで飲むもよし

連泊にはあるとうれしい洗濯機。洗剤も常備

▶炊事場 炊事場はAサイト、B・Cサイトの間、Dサイトの3か所にあり、いずれも温水が使える。ただし飲用に使う場合は煮沸してからの使用を推奨。洗剤、スポンジ、たわしは常備。生ゴミ用のゴミ箱もある。

Aサイトの炊事場

B・Cサイトの間にある炊事場

Dサイトの炊事場

▶トイレ トイレは管理棟内とB・Cサイト間の2か所にあり、すべて温水洗浄便座完備で管理も行き届いている。

B・Cサイト間にあるトイレ。内部は男女別で男子は個室が1つ。ハイシーズンは渋滞の可能性あり

個室はすべて温水洗浄便座

▶キャンプ場基本データ◀


住所 群馬県川場村川場湯原2681 TEL 0278-52-2442 開設期間 4月中旬~11月上旬 予約 3か月前の1日から受け付け開始    WEB予約(なっぷ)    ※予約受付開始時は比較的予約は取りやすいが、ハイシーズンの週末は2か月前くらいから埋まってくる。GWやお盆時期は受付開始早々にいっぱいになることが多い。 CHECK IN 13:00 / OUT 11:00 <ソロキャンプモデル料金> 平日2700円/土・日曜、祝日、祝前日、ハイシーズン3200円 入場料 大人600円、小学生以下400円 ごみ処理料1泊100円 サイト使用料 ソロ 2000円~2500円        Aサイト 3500円~5500円        Bサイト 3200円~5200円        Cサイト 2900円~4900円        Dサイト 2500円~4500円 <ごみ処理> ゴミ捨て場はAサイトとセンターハウスの下の2か所。ゴミ袋は受付時に燃えるゴミ用として1枚配布。燃えるゴミは生ごみ、ペットボトル、プラスチック、アルミホイル等。燃えないゴミはビン、缶、電池等。ビン、缶は中を空にして、缶は極力つぶして出す。 消し炭は管理棟の横とB・Cサイト間の炊事場横に灰捨て場がある。

センターハウス下のゴミ捨て場

B・Cサイト間の炊事場横にある灰捨て場

<周辺情報> ※( )内はキャンプ場からの距離 温泉:小住温泉(約5㎞)、花咲の湯(約10㎞) 道の駅:道の駅 川場田園プラザ(約10㎞) スーパー:ベイシア沼田モール店(約13㎞) 群馬県沼田市久屋原町吉野415 TEL 0278-22-7711 ホームセンター:CAINZ沼田モール店(約13㎞) 群馬県沼田市久屋原町吉野479-1 TEL 0278-22-7111

今回のキャンプ飯


道の駅にある川場物産センターとファーマーズマーケットで食材を調達。地元産の食材や特産品など品ぞろえが豊富で、毎度のことながらあれこれ食べたくて悩むのだが、1泊のソロキャンプで食べる量には限界があるし、手抜き料理なのでメニューは絞られてくる。 ということで、今回のメニューは‥‥

➡夕食 まずは喉を潤すKAWABA BEER。写真左から2023年春に誕生した新IPA、ヴァイツェン、雪ほたかピルスナー、カワバエール

左からミート工房かわばの山賊焼き、旨辛豚もつ煮、刺身こんにゃく

酒は川場村の地酒。720ml瓶は土田酒造の土田生もと。雑味のないスッキリとした味わい。300ml瓶は永井酒造の酒で左が水芭蕉 純米大吟醸 翠、右が谷川岳 原水吟醸。酒蔵巡りでは酒器も買ってコレクションに。今回は土田酒造の冷酒盃と一合枡を購入

山賊焼きともつ煮は湯を沸かして温めるだけ!今宵も絶好調!

➡朝食 非常食用として家にあった賞味期限切れ間近のパックご飯とレトルトカレーを有効利用‥‥

焚火で朝カレーを調理

生野菜とオニオンスープを添えて、本日のモーニングセット完成!

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