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2024.11.15
【インプレッション】 Husqvarna Norden 901 Expedition(ハスクバーナ ノルデン901エクスペディション)ツーリングマップル中部北陸版の実走取材紹介!
ツーリングマップルでは、メーカーのご協力のもと、エリア担当者が注目して選んだ車両やグッズを、使わせていただいています。1日、2日試しただけじゃ分からない、長期、長距離使用のインプレッション記事をぜひご参考に。 まずは各エリアの実走取材で使用した車両のインプレをお届けしていきます。今回は中部北陸編です。 ※掲載の情報は2024年11月現在のものです
1.車両インプレッション 1-1.ファーストインプレッション 1-2.実走しての所感 1-3.装備について 1-4.総評 2.車両紹介
1-1.ファーストインプレッション
2024年度版の取材ではKTM 890 ADVENTURE Rを主に取材の足とした。このハスクバーナ Norden 901 Expeditionは、890 ADVENTURE Rとエンジンや基本的なコンポーネンツを共通にする兄弟モデル。 昨年の890 ADVENTURE Rが非常に好印象だったので、今回もとても期待を持っていた。
一見するとボリューミーだが、操作性も取り回しも見た目とは裏腹に軽く感じる
ノーマルのNorden 901にWP製EXPLORサスペンション、ロングウインドシールド、シート&グリップヒーター、センタースタンド、サイドバッグセット、ヘビーデューティスキッドプレートなどを装備した文字通りのエクスペディションモデルで、見た目がボリューミーで威圧感があるが、またがってしまえば重さも車格もさほど気にはならない。 890 ADVENTURE Rは、大型のアドベンチャーバイクというよりも無駄が削ぎ落とされたスパルタンなオフロードレーサーという印象だったが、これは、シート高とステップ位置、ハンドル幅など、とてもゆったりしたポジションで、いかにもワールドワイドを見据えたツアラーだ。
ポジションは伸びやかで、大柄なライダーにちょうどいいという感じだが。ちなみに私は身長178cm
ゆったりとしたポジションで重苦しさは感じない
1-2.実走しての所感
KTMのフラッグシップモデルは、VツインのLC8エンジンを積載して、そのフィーリングはエンジンが「思い切り回してくれ!」と言わんばかりの鋭いピックアップを見せるけれど、このモデルに搭載されるパラレルツインエンジンは、高回転まで一気に回して楽しいというよりも、低速からマイルドに立ち上がるトルクに乗せてスムーズに走るというキャラクター。 LC8は調子に乗って走っているとリッター20kmを切ってしまうことがあるが、このエンジンだと、20kmオーバーのアベレージで走れる。高速道路で引っ張ると若干燃費が落ちる傾向があるが、それはオフロード走行を意識した少しローギアードの設定のためかもしれない。それでも19リットル容量のタンクで、400kmあまりの航続距離は余裕なので、 燃料補給の心配はあまりいらない。
パラレルツインのエンジンはシュラウドとロワータンクで見えないが、大型ラジエターとファンで十分な冷却効果がある。低重心化に貢献しているロワータンクはがっちりとしたアルミのスキッドプレートに守られているので安心
操縦性は極めて素直で、去年の890 ADVENTURE Rで感じたのと同様、エンジンヘッドよりも下に配置されたローワータンクによる低重心のお陰で、大柄な車体なのに、積極的にバンクさせていけるし、低速でのタイトターンなどもまったく不安を感じさせない。アドベンチャーモデルの多くが、タンク位置が上部にあって、さらに重いラゲッジを積載すると低速のタイトターンを苦手とし、押し回しでもふらつきやすいのに対して、このモデルはそうした不安がないのがありがたい。 走行モードが「ストリート」「レイン」「オフロード」を選べるだけでなく、「エクスプローラーモード」もあって、自分の好みに細かくセッティングできるのはありがたい。走行安定性でいえば、ステアリングダンパーを装備しているのもありがたいところで、たとえば轍が錯綜した砂浜などのハンドルを振られやすいシチュエーションでも、穏やかに吸収してくれるので、不安を感じるところがなかった。
ロワータンクによる低重心化は、足つき性の不安を解消するのにも一役買っている。シート高は875/895mmで、ロングツーリングの快適性を確保するためシート幅が広く、低い方にセットしても足つき性はいいとは言えないが、片足のつま先が接地すれば、ぐらつきもなく安定している
ライディングモードや各種ファンクションの切り替えは、左のグリップに集中されていて使いやすい
1-3.装備について
装備に関しては、走行装備としては、先に触れたステアリングダンパーの他に、走行中のシフトチェンジがクラッチ操作無しでできるイージーシフトがありがたい。頻繁なシフトチェンジが必要になる市街地やタイトターンの連続する山道などでクラッチ操作から解放されることで、トータルでの左手の疲労が大幅に軽減される。 最近は完全にクラッチレスのシステムも登場しているが、半クラッチ操作をしばしば行う私のようなライダーにとっては、長年の運動反射でとくにタイトなターンやダートでのリアスライドなどでどうしても半クラッチを使いたくなるので、このイージーシフトくらいがちょうどいいという気がする。 さらに、ツーリング装備としては、大型のウインドスクリーンによって高速走行の疲労が軽減されるのと、リアの左右に装備された完全防水のソフトパニアケースの使い勝手が特筆できる。ハードケースはたしかに使い勝手はいいが、重量増とリアの左右の張り出しに気を使うのがネガティヴな要素で、このソフトパニアなら、容量も十分な上に、そうした懸念がないのがいい。
大型のウインドスクリーンが頼もしい
完全防水のソフトパニアケース。デザインも良い
ライディングモードや各種のファンクションを一元的に管理・表示するコックピットモニターは大型で見やすく、スマホとコネクトすれば電話の着発信もできる。今回はこのコネクト機能は使わなかったが、今後はこうしたシステムが主流になるだろう。 また、この記事の執筆時に、世代のコックピットモニターシステムも発表された。2025年のアドベンチャーやロードモデルには、現在のものより大型で見やすく、さらに高機能なスマホとのコネクティングが盛り込まれることになりそうだ。
コックピットモニターはくっきりと大型で見やすい
1-4.総評
ワールドワイドなツーリングシーンに対応できるように仕立てられたモデルだけに、日本国内のツーリングにはオーバースペックのようにも感じられるが、とくにロングツーリングするライダーはいろいろと装備していくうちに、このモデルくらいのボリュームになっているから、それなら最初からこのモデルを選ぶというのも賢い選択だと思う。 また、エンジンをはじめとしたコンポーネンツはラリーレイドでも通用する高性能なものが奢られているので、スポーツツーリングはもとより、オフロードでのファンライド的な走りも十分楽しませてくれる。
エンゼルライン頂上(ツーリングマップル中部北陸 P.47A-5/関西 P.77A-5)より若狭湾を望む。世界ツーリングを身近にする「仕立て」のモデルだけに、やはり雄大な風景がよく似合う
▶ハスクバーナ Norden 901 Expedition 889ccの並列2気筒エンジンを搭載したアドベンチャーモデルNorden 901に、長距離ツーリングのパフォーマンスを向上させる、大型のウインドシールド、防水のサイドバックなどを標準装備したモデル。 シート高875/895mm/車両重量214.5kg(燃料除く) 総排気量889cc/燃料タンク容量約19L/最高出力77kW (105PS) / 8,000rpm
爽快に若狭湾岸を辿る。国道162号、世久見付近(ツーリングマップル中部北陸 P.47E-4/関西 P.77E-4)