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2024.12.12
高速道路の「新しい深夜割引」が分からない 2025年春開始予定の新ETC深夜割引について
みなさんこんにちは。地図やバイク、ツーリングのあれこれについて考える考察シリーズ。今回は、2025年春ごろから適用される予定の「高速道路の新しいETC深夜割引」について考えてみます。先に言っておくと、なんだかこまかくて、全部把握して自分で料金を計算するのはもう諦めちゃいましょレベルだなと僕は思いました(泣)。ですがまあ考えてみれば、高速だって鉄道だって、いまやあらかじめ料金計算してる人はほとんどいないでしょうし、そもそも全部把握する必要はなく、ざっくり気をつけるべきポイントだけ覚えて帰っていただければ大丈夫ですよ。 ※全部読むのがめんどくさい方は、本文末尾の「まとめ」をご覧くださいね。
現行の深夜割引制度をおさらい
新しい割引制度を見る前に、まずは「現行の深夜割引」についておさらいしておきましょう。 現行の深夜割引は単純明快。高速道路の走行が0時~4時の間に少しでもかかれば通行料金が3割引きになります。料金所通過時(請求時)に割引かれた額が適用される「即時割引型」。非常にシンプルでわかりやすいと思うんですが、この制度の課題とは何なんでしょうか。
平日深夜が苦にならなければありがたい
「0時待ち問題」
現行制度では、0時を1分でも過ぎて料金所を通過すれば、もれなく3割引きを受けることができます。ということは逆に言えば「絶対に0時より前に出たくない!」と思う人も多いわけです。そりゃそうです。スーパーの割引シールみたいなもんで、「少し待てば安くなるなら待とう」となるのが自然です。むしろ「シール貼られる時間に合わせて行くわ」っていう。
割引シールも最近は20%とか数十円とか控えめな気がする(どうでもいいが)
特に、長距離運行の大型トラックを抱える運送会社などは、割引の有無が利益を左右する、なんてシビアなケースも多いらしく(根本的な問題は、そこにあると思うんですけどね…)、それゆえ「初めから、深夜割引を前提に運行する」のが当たり前になっているようです。 しかしこのような状況が、危険な事態を発生させてしまうわけです。 ・0時前に料金所付近で滞留する車が多数 ・それにより渋滞や事故が起きる可能性UP ・SAPAでは大型車駐車場が不足しがち ・はみ出たトラックがやむを得ず駐車禁止箇所へ駐車 などなど。過去にはSAPAと本線をつなぐ接続路に停まっていたトラックに、別のトラックが衝突して死者が出る、といった事故もあったようです。
料金所前後の渋滞は、車線が入り乱れがちでちょっと怖いんですよね…
職業ドライバ-の負担
また現在国からの告示で、ドライバーは連続運転が4時間を超える前に、30分の休憩をとるよう求められています。これが深夜割引のための時間調整とあいまって、ストレスとなることがあるようです。 目的地には早めに着きたいが、0時より前には高速を降りられない。時間調整はどこでする?休憩も取らないといけないし…。事前に計画を立てるも、いざSAPAに着いたところで駐車場がない、じゃあ次に進むか。でも次が空いてる保証はないぞ…ああ、最悪、料金所付近で停まらなきゃいけないのか…?様々なジレンマに挟まれて、気が休まらない。これじゃ疲れやすいし、疲れがたまれば事故の確率も高まっちゃう…。 このような現行の割引制度が由来となっている(…?)課題を受け、その状況を変えようというのが今回の変更の趣旨のようです。では何がどう変わるのか。
休むつもりの場所で休めなかったときのツラさといったら
新しい深夜割引はこう変わる
まず、0時~4時だった深夜割引の時間が22時~5時へ拡大します。時間帯が広がるのはありがたい。ですがそれだけだと「0時待ち問題」が「22時待ち問題」になるのみ、というのが容易に想像できます。むしろ一般ライダーやドライバーにも使いやすくなっちゃって、余計ひどくなるかもしれない。 で、実はもう一つ大きなポイントがあって、これまでの 「走行時間が少しでも深夜時間帯にかかれば全線3割引き」 だったのが 「深夜時間帯に走行した距離分だけが3割引き」 になります。むむ?
これはお得なのか、損なのか、よくわからない印象
実質的には値上げ?(割引の縮小?)
高速道路の利用が22時~5時の範囲内なら、基本的にはこれまでと変わらない割引を受けられます(※ただし後述する距離上限がアリ)。…ですが、例えば21時に入って1時に出たとすると、21時~22時の走行分は割引になりません(現行制度だと全線分が割引になる)。 走る時間帯によって、現行制度より安くなるケースもあれば、高くなるケースもあります。しかし多くの場合においては、実質値上げなんじゃないかと言われています。ほんとにこれでトラックドライバーの負担は軽減されるんでしょうか?よくわかりません(ただ、トラック協会はこの新制度を「評価する」と書いている) さきほど運送会社の多くが、深夜割引を適用できるか否かで利益が大きく左右されるらしい、ということを書きましたが、「そもそも荷主が深夜割引前提の料金しか払っていない」というのが問題なんじゃないでしょうか。規制緩和で競合が増え、安い料金でも請け負わざるを得ない状況があると聞きます。いろんな業界で同じような話はありますが、こういうのってほんと、もうちょっと国がフォローできないものなんですかね。日本の賃金が上がらない、根本的に景気が良くならない要因がこういうところにあるように思います。まあ、この辺は記事の趣旨ではないので今回はやめておきましょう。
割引には距離上限がある
ハナシが脱線しましたが、「深夜時間帯に走った分だけが割引対象」となると極力「22時~5時の間に距離を稼ぎたい」と思うのが人情です。ですがそれで深夜に爆走する車両が増えては元も子もありません。そこでそうならないように設けられているのが、「割引距離の上限」です。オートバイを含めた乗用車等については「時速105kmで走れる距離」が割引き上限となっています(大型車等は時速95km)。 例えば深夜時間帯に3時間走るとすれば【3時間×105km=315km】これが上限となります。同じ3時間でも、平均120kmなら360km走れますが、オーバーする45km分は割引対象外となります。 さらに、4時間を超える運転には、安全上30分の休憩を入れる必要がある、という前提があります。ゆえに、例えば5時間連続で、時速105kmで運転すると525kmですが、30分ぶんは休憩を取らないといけないので、0.5時間×105km=52.5kmがここから引かれます。つまり【525km-52.5km=472.5km】これが5時間利用時の割引上限距離。 んーなんか、ややっこしいな…。
まあ職業ドライバーでない限り、普通に運転してたら2,3時間に1回は休憩挟むだろうし、あまり考えなくてもいいかもしれません
計測方法とか計算方法とかは…なんかうまいことやってくれるみたい
ちょっと待って待って、「走った距離だけ割引く」とか、「上限距離」がどうとか言ってるけど、そもそも「距離」をどうやって測るんよ?だって、道走ってるときに、どの地点で22時になるか、5時になるかなんて、わっかんねえじゃん。GPS?ん? って、思う人もいるかもしれませんが、そこはETCの計測機器を新たに設置したりとか、独自の計算式とかを使ったりとかして、いいあんばいに出すらしいです。まあ国とNEXCOさんがやるって言ってんだから、もうね、そんなところ気にしてもしょうがない。どうしても気になる方は、NEXCOさんのWEBで調べてみて下さい。一応資料貼っときます。
ETCマイレージサービスに登録しておこう!!
そんなことよりも、気をつけなきゃいけないのは割引の還元方法ですよ!現行制度では、料金所を通るとき、すでに割引かれた金額が請求される「即時割引型」ですが、これが新システムではいったん「通常料金」が請求されて、後日「ETCマイレージサービス」で還元される仕組みに変わります。 これ現在もサービスとして存在しているので、登録するならさっさとしておくべきなんですが、「還元」されるポイント(マイル)は、単純な「キャッシュバック」と違ってて、次回以降の高速道路料金にしか使えません。その辺は長くなりそうなので別記事でやろうと思いますが、なんにせよ、大前提、まずマイレージサービスに登録しないといけないってことです。マイレージは今走る分にもついていくので、さっさと登録しといた方が良いですよ。逆に登録してないと、新しい深夜割引は受けられないってことになります。今回一番大事なのはここです。たぶん。
即時割引型の方が分かりやすいし、マイレージ還元って「割引」と言えるのか、ナゾだけどね…
まとめ
ってことで、長々書きましたがまとめです。 ・2025年春ごろからETC深夜割引が変わります ・対象となる深夜時間帯は22時~5時に拡大 (※現行は0時~4時) ・「その時間内に走った距離」のみが割引対象 (※現行は少しでも深夜時間にかかれば全線が割引対象) ・割引される距離には上限がある (※普通車等=時間×105km 大型車等=時間×95km) ・4時間を超える場合は休憩30分ぶん距離が引かれる ・割引はETCマイレージサービスで後日還元される 以上、おさえておきましょう。 ちなみにこれと同時に、運送業者などの急激な負担増を防ぐため、「長距離逓減(ていげん)制」が拡充されます。現行制度でも、100 km以上で25%、200 km以降で一律30%の割引がされますが、これが新制度では400 km以上で40%、600 km以上で45%、800 km以上で50%が割り引かれるようになります。 また、こういった割引サービス以外にも、NEXCO各社ではオートバイライダー向けに定額乗り放題の「ツーリングプラン」を実施していたりするので、めんどくさがらずに調べてみると、かなりお得に旅ができるかもしれませんよ。まあそれはそれで、またご案内しますね。ではまた!