2024.10.31

【考察】もうすぐ普通自動車(クルマの)免許で125ccに乗れるってハナシ…

みなさんこんにちは。最近、バイクツーリングに興味を持った職場の同僚たちから、免許の取り方などを聞かれることがあります。で、大体の費用とか、かかる時間とか、ここ数年の教習所の混み具合とか、そういう話をするんですけど、そうすると 「でももうすぐ普通(自動車)免許で125ccまで乗れるようになるんでしょ?それまで待った方がいいかなあ。オレ、ハンターカブ乗りたいんよ」という発言が出たりするんです…。これに 「いや、乗れないっすよ。現行の125ccそのものには…」というと 「ええー!?そうなの!?」とびっくり&がっかりされ…。ってなことが何度かありましてね。そこでちょっとこの『普通免許で125㏄乗れる!』という、誤解されがちな話の真相をまとめてみたいと思います。

著・編集部マスキ

乗れるけど、乗れない…


先に結論から言っておきますと、原付免許や自動車免許で乗れるようになる(来年4月以降予定)のは、『最高出力を4キロワット=5.4PS(馬力)以下に制御(デチューン)した125cc以下のバイク』です。これを「新基準原付」と言います。 ここが抜け落ちた話が広まって、出力を抑えていない「本来の」「現行の」125ccバイクにそのまま乗れるようになる、と思っている人が多いようです。しかしそれは残念ながらできません。現行の50cc超125cc以下のバイクに乗るためには、引き続き「小型二輪以上の」免許が必要なのです。 合ってるようで、合ってない。あと、この新制度、ツーリングを楽しむためには大きな問題があるんですが、それは後述します。

デチューンバージョンが出る125ccバイクのラインナップも早く知りたいところ…

4キロワット=5.4馬力ってどれくらい?


さて、新基準原付の、4kW[5.4PS(馬力)]という出力はどれくらいのパワーなんでしょうか。現行の「スーパーカブ50」の最高出力が、2.7kW[3.7PS]。配達などでよく使われる「ベンリィ」が3.2kW[4.4PS]です。これらより高い設定になってはいるのですが、125ccバイクの車両は50ccに比べ確実に大きいし重いので、果たしてどんな走り心地になるのか、乗ってみないことにはわかりませんよね。 これについては、有識者検討会の報告によると、複数車種の試乗を熟練者・未経験者で実施した結果、「運転特性は現行原付とほぼ同等」と評価されたそうです。現行原付とほぼ同等…。これは逆に言えば、大幅なパワーアップを感じることもない、ということでもあるんでしょう。車格が大きくなった分と、出力が大きくなったことが、いいあんばいに相殺されているのか。 うーん、分からん…。ここで参考までに、50㏄、125㏄、250㏄各クラスのバイクの最高出力をみてみましょう。

現行50ccは4kWより低いが

"素"の125㏄の出力は4kWよりだいぶ大きい

250ccともなるとやはり全然違います

それでも乗れるのは嬉しい…うれしいんだが…!


デチューンされた125ccとはいえ、乗れる車種が増える、いままで乗れなかった車格のバイクに乗れるというのは、嬉しいことですよね。どんな車種が新基準原付になるのかまだ分かりませんが、これにともなってツーリング人口も増えてくれるといいなあ!…って、思うんですが、先ほど言った、ツーリングを楽しむためには大きな問題が…というのがあの制度です。。。 もう、お分かりですよね。原付1種特有のあの交通ルールです。あれは継続する前提、変わらない予定なんですって。 つまり法定速度は30kmのまま。二段階右折もしなきゃならず、大きい車体の125㏄なのに二人乗りができません。「そんなの意味ないじゃん!」という声が聞こえてきそうです。もちろん、原付でツーリングを楽しんでいる人もいるのは分っているんですが…でもね。やっぱりちょっと厳しいよね。 まあしかし今回の動き、そもそもユーザーのことを考えて、とか、バイク文化を広めようとか、そういう方向からきた話じゃなく、「排ガス規制」の問題から始まったものですから、仕方ありません。

まあ4キロワット=5.4馬力では仕方ないのか…どうなのか…

50ccバイクがもう生産できない


近年、年を追うごとに排ガス規制は厳しくなっています。気候変動は、我々も身をもって体感している問題ですよね。夏はどんどん暑くなるし、大雨や台風による土砂災害、他人事ではありません。環境問題の大きな要因とされるCO2排出の削減は、避けては通れない問題です。そんな排ガス規制、50cc以下原付は、対応の難しさから猶予を与えられていたのですが、いよいよ2025年11月にその期限がきます。 しかし50cc以下原付はもう何十年も売上台数が落ちているカテゴリ。メーカーとしても技術開発は難しく、2025年11月以降、基準をクリアする機種は生産できないと言われています。それでも原付はまだ、全国各地で大事な足であることも確か。年間9万台売れる原付。販売店のこともある。どうにかしなければ…。といった経緯で始まった今回のお話。であるがゆえに、最高出力規制にしても、交通ルールが変わらないことにしても、仕方ないのかも知れませんね。

さらば50cc…って言っても、中古市場はあるし、新車が出ないってだけなんですけど

新基準原付として発売されるのはどんな車種?


さてさて、上がったり下がったりの情報ですが、改めて、新基準原付として登場する車種ってどんなのなんでしょうか?やっぱりスクータータイプだけなのかな…?と思ってたんですが、 昨年行われた有識者検討会で、「新原付」の試乗車として用意されたのは、PCX、CB125R、スーパーカブ110、リード125、ビジョン110の5車種でした(すべてホンダ)。お!CB125Rがある!試乗車として登場したということは、新基準原付として出る可能性も高いのかな?こういうバイク然としたバイクに乗ってみたいって人、少なくないんじゃないでしょうか。とすれば、これを入り口に、ステップアップする人も増えるかも!? 各社125ccクラスにネイキッドやスポーツタイプの車種もあるので、期待したいところです!

ホンダの125cc以下クラスラインナップの一部(公式サイトより)

ヤマハの125cc以下クラスラインナップの一部(公式サイトより)

スズキの125cc以下クラスラインナップの一部(公式サイトより)

今後に期待だけど、乗りたい人は今すぐ免許取っちゃおうぜ!


いろいろと思うところもある今回の制度変更ですが、それでも初めて「排気量」でなく「最高出力」が免許区分に導入されることになります。この動きが今後、免許制度全体に広がる可能性もあり、そうすると、何かがどうにかなって(笑)、近い将来、多くの人にとって、バイクがより身近に、乗りやすくなるかもしれませんね。本当に、ツーリング人口増えてほしい! そういうわけですから、もうすでにバイクツーリングに興味を持っちゃった人は、悲観せずに、そんな将来を待たずに、さっさといますぐ免許を取りに行きましょう!行きたい時が取り時です!それでいっそ小型と言わず、普通自動二輪を取りましょう!なんなら大型二輪を取りましょう!楽しいよ!

みなさ~ん!ツーリングしましょ~!!!!

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