2025.08.18

【ドキュメント96時間】かつて海だった場所を走る 【アフターSSTR2025 <能登半島一周&東尋坊編>】

奇跡の1日で、無事完走となった「SSTR(サンライズ・サンセット・ツーリングラリー」。2日目は、能登半島の禄剛崎(ろっこうざき)を目指します。ここ数年、SSTRで能登半島までは来ていますが、最先端までは未到達で、復興途上、と聞いている、被災地の現状はどうなのか?そのこともしっかり見てきました。 そして、翌日の3日目。一昨年は能登半島から太平洋まで一気に走りましたが、今回ツーリングマップルチームは、帰路とは反対の西へ。この時点で4日目の行く先は未定でしたが、とりあえず、敦賀市まで走ろう、ということに。 では、2日間の様子をお届けします。 ※能登半島の道路の通行状況は訪問日(2025年5月31日)の状況です。最新情報は事前にご確認ください

著・中村 聡一郎(フィネス)/取材協力:SUZUKI

【5/31と6/1の走行ルート】


5/31は宿泊先から輪島へ。ここでカソリさんと別れて、日本海沿いに禄剛崎へ。珠洲を経由して、千里浜経由、内灘で1日が終了です。 6/1は内灘でパンの朝活、そして絶品のソフトクリームを堪能して、千里浜でカソリさんと合流。下道を走って東尋坊から福井、そして敦賀市でこの日の行程は終了です。

5月31日のルート

6月1日のルート

【古民家のゲストハウスを出発、能登半島ツーリングスタート】


天気に翻弄された「SSTR2025」の本番が終わって、宿泊したのは、中能登町の県道2号沿いにある「古民家ゲストハウス結舎(ゆいのや)」。名前の通り、歴史を感じる古民家の宿。宿泊者はSSTRの参加者のみで、駐車場はバイクでぎっしりでした。カソリさんも、ほかの宿泊者との交流を大いに楽しんでいました。

朝食をとりながら今日の予定を打ち合わせ

古民家の雰囲気を味わいながら、快適な一夜を過ごしました

宿主の娘さんに見送られて出発です

県道2号、国道249号で中能登から七尾へ。そこから、七尾湾沿いに穴水を目指します。

「道の駅 なかじまロマン峠」の「すしべん中島店」に立ち寄り

「すしべん」で真剣におでんと対峙するカソリさん。「むむむ、どれも美味しそう、いっそ全部...」

能登島に架かる「ツインブリッジのと」は復旧工事中でした。「まだまだ、通行再開まで時間がかかりそうな様子だね」と現地で話していたのですが、6月16日から片側交互通行で暫定的に通行再開されました

カソリさんから、気になるので寄ってみたいとの希望で、「国民宿舎 能登小牧台谷」へ。休業中で、壊れた施設もそのままです

10時30分、穴水に到着。「道の駅 あなみず」にバイクを停めて、駅前の「穴水大宮」を参拝。道の駅で「能登ワイン米飴ソフトクリーム」を味わったら、次は輪島へ向かいます。

のと鉄道の北側の終端「穴水駅」が「道の駅 あなみず」。のと鉄道本社もこちらの構内に。かつてはこの先、珠洲や輪島まで鉄路が延びていたが、現在は終着駅

「能登ワイン米飴」のシロップとザラメをトッピングした「能登ワイン米飴ソフトクリーム」。「ワイン」?安心してください、ノンアルコールですよ

ソフトクリームはSSTRライダー特典で割引でした、ありがたいですね~

「穴水大宮」は鳥居や灯籠がまだ崩れたままでした

【災害被害が未だに残る輪島市と日本海沿岸の光景に言葉を失う】


穴水までは、沿道に、大きな災害があったことを感じる景観は無かったのですが、県道1号で輪島市へ入ると、一転して水害や震災の被害が、沿道のあちこちで見られるようになりました。 そして、輪島市街に入ると、傾いた信号機や、崩れたままの建物が目立つようになり、あらためて、震災被害の大きさを実感しながら、思い出の「道の駅 輪島」に到着です。

「道の駅 輪島」は営業中。2023年はここから太平洋へ向かって走り出したなあと、感慨にふけります

隣接の「輪島市文化会館」は震災で損壊して休館中。旧輪島駅のホーム跡へも入れません。踏切が寂しく点滅していました...

2年前と同じ「器の実カフェ」で昼食。店は元気に営業中でしたが、一部、弁当での提供に変わっていました

千里浜でのSSTRのイベントへ参加するカソリさんとはここで一旦お別れです。マスキさんと二人で、能登半島の先端「禄剛崎」を目指します。

傾いたままの信号機、崩れたままの歩道、話には聞いていましたが、その想像以上に復興が進んでいなかった輪島市街でした

「道の駅 千枚田ポケットパーク」に到着。ここはGW前に営業再開したばかり

道の駅のすぐ下にある「白米千枚田」。ここも震災の被害があったのですが、一部復旧されて、田植えも終わっていました

一般車は通行止の可能性があるかも、と心配していた国道249号ですが、問題なく珠洲市大谷の県道28号との分岐まで通行できました。しかし、壊れたままの道路施設、隆起した海岸に造られた仮設の迂回路といった現況に、路面状況などを考えると、オートバイでは慎重に走ったほうが良いと感じました。夜間通行止の区間もありました。

名舟海岸の仮設道路。震災前の国道は、右の壁の向こうを通っていた。走っている場所は前は海岸だった

こちらも海岸の隆起で景観が変わってしまった三ッ子浜付近。その海岸に造られた仮設道路。道幅が狭いので対向車に注意

仮設道路から見える、被災したままの道路施設に、地震の大きさを実感する

仮設道路区間を過ぎたあたりから、雨がポツポツと降り始めました。「道の駅 すず塩田村」のあたりから、沿道には海水から塩を造る「揚浜塩田」が点在しています。そして、珠洲市の大谷から県道28号へ入ります。

道沿いの小屋の軒先をお借りして雨具を着用

道の駅 すず塩田村でトイレ休憩、と思ったのですが、この日は休業中でした※営業時間外だった可能性もあります。最新の情報をご確認ください

国道249号は県道28号との分岐から通行止

険しい海岸線を見下ろす、椿展望台へ到着。狼煙まであと少し

【二十年ぶりの能登半島先端「禄剛崎」訪問】


15時30分、「道の駅 狼煙(のろし)」に到着。これから、千里浜ゴールを目指すのかな、というライダーも見かけました。皆さん、ゴール間に合ったかな? 駅でひと休みして、今日の目的地の「禄剛崎」へ歩きます。そして、どんよりとした空模様でしたが、禄剛埼灯台からの日本海の眺めを楽しんで、珠洲へ向かいます。

2025年4月1日から休業していた「道の駅 狼煙」は、SSTR開始数日前にプレオープン。そして、7月4日に本オープンとなりました

仮オープンでしたが、ソフトの販売をしていたので、「大浜大豆の豆乳ソフトクリーム」で糖分補給

能登半島最先端、「禄剛崎」に建つ「禄剛埼灯台」。20年ぶりの訪問。眼下には日本海の大海原が広がる

「道の駅 狼煙」を出てから、雨がだんだんと強くなってきました。どこにも立ち寄らずに、海沿いの県道28号を走って珠洲市街へ。市街地手前に「道の駅 すずなり」に立ち寄ってから、「見附島」へ向かいます。

珠洲市の中心部にある「道の駅 すずなり」

旧のと鉄道「珠洲駅」のホームや線路が残されている

おもわず目をとめた、駐輪場の看板。ホンダのAX-1がモデル?駅の関係者にバイク好きな方がいるのでしょうか?

珠洲市街から海岸沿いの一般道を進みますが、ところどころに凸凹があり、雨もひどくなってきたので、慎重に走ります。 そして、見附島近くの珠洲市宝立地区では、未だに津波での被災状況が色濃く残っています。道に被さるように大きく傾いた道路標識がそのままで、鵜飼川に架かる橋も通行止だったので、国道249号へ迂回します。 予定ではさらに赤碕海岸、九十九湾まで行く予定でしたが、天候と時間を考慮して、今回はキャンセル。千里浜へ戻ることにします。

切り立った巨岩の見附島は、その姿から「軍艦島」と呼ばれています。しかし、震災で崩落して大きく姿を変えてしまっています

県道57号(珠洲道路)から「のと里山海道」の最短ルートで、千里浜を目指したのですが、これが大誤算でした。 県道57号(珠洲道路)は以前と変わりの無い、快走路で順調に走れたのですが、「のと里山海道」は復旧工事で、2車線区間のところどころで1車線規制。クランクになった箇所が連続していて、しかも雨。視界も路面も良くなくて、対向車線に出そうになることもあり、非常に神経を使いながらの走行になってしまいました。 「羽咋はこんな遠かったかな、永遠にこの状況が続きそうで、しんどい」と思いながらの頑張って走って、羽咋の海岸線に出たときには、ほっとしました。

「道の駅 のと千里浜」に到着。SSTR2025最終日のイベントを終えたカソリさんを待ちます

この日の夕食は8番ラーメンの羽咋店で。こちらでもSSTR参加者への割引サービスがありました

【アフターSSTR2日目は内灘町からスタート】


6/1の朝を内灘町の「内灘町サイクリングターミナル」で迎えました。カソリさんは今日もイベントのため、午前中別行動で、我々が寝ている早朝にすでに出発していました。 我々も8時過ぎに宿を出発。まずは、マスキさんがリサーチして見つけた、地元で人気のベーカリー「ボングー」へ。ここでパンを購入して、「道の駅 内灘サンセットパーク」で朝食です。

2日目の宿は「内灘町サイクリングターミナル」。風呂は温泉で、温泉名は「内灘砂丘放水路温泉」。ヨード泉の匂いがたまらない湯でした

「ボングー」で朝食を調達。朝から店内はお客さんでいっぱいでびっくり、人気店のようです

特産品の販売が中心の売店とカフェがある「道の駅 内灘サンセットパーク」はおしゃれな雰囲気

「道の駅 内灘サンセットパーク」で内灘大橋を見ながらモーニング。どれも美味しいパンでした

朝食後、ツーリングマップルを見て行ってみたくなった、河北潟の北にある干拓地へ。広大な畑や牧草地が広がる、じつに気持ちの良いエリアでした。「メタセコイアの並木」を見学して、「夢ミルク館」でソフトクリームを味わったら、三たび千里浜へ。

「メタセコイアの並木」を見る

干拓地の牧場「ホリ牧場」が経営する「夢ミルク館」のソフトクリームはさっぱりとした味わい。ワタクシ的にはこれまで食べたソフトクリームのベスト3に入る美味しさでした

トイレの建物に大きな牛の顔!

牧場で飼われているヤギさん達、マスキさーん、マスキさーんとグイグイ大接近

【奇跡よ再び?越前海岸の夕日を目指して福井県へ】


国道159号を北上して、「道の駅 のと千里浜」へ。カソリさんと合流したら、この後の予定を打ち合わせです。13時過ぎになっていたので、さすがに「太平洋」を目指すには時間が遅いので、「東尋坊」と「越前岬」経由で、敦賀市まで行くことになりました。

再び「道の駅 のと千里浜」。SSTRに来る度に寄っているのですが、まだここで「道の駅ポイント」を取ったことがありません。次回のSSTRでは取りたいですね

能登半島を後にして、金沢市から小松市、加賀市と進んで、国道305号で福井県へ。 東尋坊には18時頃到着。ここで夕陽まで待ってみることにしたのですが、海上の厚い雲が消える気配が無かったので、あきらめて出発しました。

「夕陽はダメですかね」「ナカムラさんが金曜のような奇跡をおこしてくれると思っていたのですが」「一度しか起きないから奇跡なんですよ」

柱状節理の切り立った断崖。端に立って下を見ると、吸いこまれそうなほどの高さ

そろそろ、日没。越前海岸ルートはあきらめて、福井、鯖江、越前の内陸ルートで敦賀へ。国道8号の武生トンネルを抜けて若狭湾の海岸線へ出て、しばらく走ると敦賀の町の明かりが見えてきます。そして、JR敦賀駅前のルートインに到着。3日目も無事終了しました。

北陸新幹線の「越前たけふ駅」と一体になった「道の駅 越前たけふ」。24時間利用できる無料休憩所が広々。周辺は水田でしたが、今後開発が進んで大型店が立ち並ぶのでしょうか?

敦賀駅前の通りに建つ『宇宙戦艦ヤマト』のキャラクター「古代 進」と「森 雪」の銅像は、1999年に「敦賀開港100周年」を記念して設置されたそう。『銀河鉄道999』に登場するキャラクターのモニュメント象もあるそうです

【youtubeも配信中】


マスキさんが走って、見て、そして感じた「SSTR2025」を「TOURING MAPPLEチャンネル」で配信中です。こちらも是非!

関連記事