2022.07.01

【千里浜よもう一度】SSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)、2022年も走った、そして結果は…【今年は460km】

2022年は記念すべき第10回目の開催となったSSTR。ツーリングマップルを代表して、意気揚々と参加した2021年は、時間内に完走できない、天気に見放される、そして、なぎさドライブウェイも走ることができず、と散々な結果に終わってしまいました。 その経験をもとに今年こそは完走するぞと勇ましく再挑戦してきました。まずは前半のレポートをどうぞ。

著・中村聡一郎(フィネス)/取材協力・ Honda/サイン・ハウス

【あらためてSSTRとは】


はじめにSSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)についての説明を。 太平洋側で日の出を見て、指定されたミッションをこなしながら、石川県の能登半島、千里浜に日没までにゴールするのが基本ルール。 ルールブックに書かれている完走の条件は 1.日本海の反対側となる海岸を、日の出時刻以降にスタートする 2.SSTR運営委員会が選出した「指定道の駅」の中から1ヶ所以上に立ち寄る 3.道の駅や高速道路のパーキング/サービスエリア等に立ち寄り、立ち寄りポイントを獲得する。2022年のノルマは15ポイント 4.石川県の「千里浜なぎさドライブウェイ」に、同日の日の入時刻までに到着する の4つ。 完走に必要な条件はこれだけで、走るルートも車輌も自分でノルマをクリアできるものを選べばいい。だから、「ラリー」とは名付けられているが、参加への敷居はさほど高くない。

【今年はしっかりと事前に準備】


去年の失敗は準備不足のところも大きかったと考えて、エントリーした前週に出発場所の下見と試走を行った。 2022年のSSTR初日の5月21日(土)は、知人の見送りも兼ねて東京港の暁ふ頭公園へ。想像よりもバイクが多く、かなりの混乱状況。来週も同じような状況が予測されたので、ここは候補から外すことにした。 翌日はもうひとつの候補地、「サザンビーチちがさき」へ。こちらも混雑が予想される場所だが、着いた時間がやや遅かったのと日曜だったせいか、参加者の姿はまばらで、混雑状況の確認はできなかった。その後、当日操作が必要なSSTRシステムのテストを兼ねて甲府盆地まで試走した。 それらをもとに、スタート地点を昭文社の舛木さんと検討に検討を重ねて、サザンビーチちがさきとすることに決定した。 今年の相棒はHondaのX-ADVとADV150。

HondaのアドベンチャースタイルのスクーターX-ADV(右)とADV150(左)が今年の相棒

「2台?」 そうなんです、じつは昨年は車で伴走しながら見守ってくれた舛木さんが、バイクで初参戦。数年のブランクはあるのですが、満を持してのSSTRへの挑戦なのだ。 そうなると、お互いのコミュニケーションをスムーズにできるグッズも必要と考えて、サイン・ハウスの協力で、インカムのB+COM SB6Xを用意した。また、「Route!」でツーリングマップルの地図を見ながら走れるようにスマートフォンのホルダーもあわせてお借りして準備万端。これで、あとは当日を迎えるのみとなった。

今やツーリングに必須のグッズとなったBluetoothのインカム

今年はRoute!のマップを最大限に活用して走る

【砂まじりの茅ヶ崎からSTART! 北北西に進路を取れ!】


5月28日(土)午前4時前に、スタート地点付近のコンビニで舛木さんと合流。そしてサザンビーチちがさきへ。想像していたとおりに、参加者で大混雑。方角的にここでは日の出は見えないので、おおよその日の出時間の4時35分にスタート登録して、いよいよ、千里浜へのロングランがスタートだ。 運営側から発表されているゴール地点の日没時刻は19時3分。およそ14時間30分後で、秋開催だった去年よりも3時間以上は制限時間が長いので、かなり余裕がある。ただ、走行時間も長くなるので、体力的にどうなのかという一抹の不安が… 続々とスタートしていくが、その混雑に巻き込まれたくなかったので、少し時間をおいて参加者の姿がまばらになった頃、私を先頭に海岸を出発。 去年と同じくまずは「指定の道の駅」での登録という、完走条件のひとつをクリアすべく、道の駅「足柄・金太郎のふるさと」へ向かうことにする。 圏央道から東名が一番近いのだが、やはり海を見ながら走れる西湘バイパスに心が引かれてしまうのはバイク乗りの性。 国府津ICから県道72号へ。 N:「左に見えますのが曽我の梅林で...」 M:「あれは富士山ですか?」 N:「そう見えるけれど、違う山なんですよ、名前はえーっと....」 そんな感じで舛木さんとの会話を楽しみながら順調に進んでいたのですが、国道255号から県道78号へ左折しようとしたときに後ろを見ると、後ろにバイクがいない。慌てて、路肩にバイクを停めて待ってみるが来る気配がない。無線も距離的に届かないのか応答無し。 「まさか…、アクセル操作を誤ってウイリーしたとか...」 と、思ったところで着信。トラブルだが事故ではない模様で、道の駅「足柄・金太郎のふるさと」での合流を約束した。 N:「ど、どうしたんですか?」 M:「いや、荷物が嫌がって、バイクから逃げだそうとして…」 N:「?」 どうやら、シートバッグの固定コードが切れてしまったとのこと。何しろ、会社に眠っていた年代物なので、見た目よりも劣化していたようだ。 幸い、バッグ本体は破損していなかったので、そんな事態がおきた時のために私が用意しておいたベルトでバッグを再固定してなんとかDNF(Do Not Finish)は回避した。 気を取り直して、道の駅で休憩。到着が遅くなったので、SSTRライダー向けに販売していた朝食はすでに売り切れだった、残念。ただ、ありがたいことに休憩室が使えたので、ルートや今日の「びっくりボーナスポイント」の場所などを確認して、再出発だ。 が、またしても舛木さんが来ない。 M:「エンジンがかからない!」 N:「!!!」 あわてて道の駅に戻ったが、スイッチにストラップが挟まっていただけでほっとひと安心。これで、今日のトラブルは出尽くした、と思いたい。 道の駅「足柄・金太郎のふるさと」で獲得➡指定道の駅 3pt/合計 3pt

休日の道の駅「どうし」かと思うほどの多くのバイクが茅ヶ崎の海岸に集結

長~い一日がもうすぐ始まる、背景にはエボシ岩と江の島

朝の西湘バイパス、青空も見えてきた~

朝からいろいろとありましたが無事「足柄・金太郎のふるさと」に到着。よいしょ君、早朝からのお出迎えお疲れさまです

【天気は上々、謎の「びっくりボーナスポイント」へ】


国道246号経由で道の駅「すばしり」へ。思い出せば、去年はここに着いた時点ですでに制限時間内のゴールが怪しくなっていた。 今年はまだまだ余裕があるので、朝食をとりながらルートを検討した。 候補A 東富士五湖道路に乗って一気に松本ICを目指そう 候補B 今年の新要素、びっくりボーナスポイントが山中湖にある。ならば、そこに寄らない手はない 楽なルートを選ぶなら候補Aで、午後の行程にも余裕はでる。が、びっくりボーナスポイントが無理せずに寄れる場所にあるのを見過ごすわけにもいかない。 熟考した結果、候補Bを選択した。山中湖からは道の駅「富士吉田」には寄らずに、山中湖ICから東富士五湖道路、中央自動車道で松本まで走る、で決定した。 道の駅「すばしり」で獲得➡道の駅 2pt/合計 5pt 「寒くて雨も降っていたなあ」 と、昨年を回想しながら、青空が広がる好天のもと篭坂峠を越える。 びっくりボーナスポイントの三島由紀夫文学館の駐車場で 「ポチッとな」 と、立ち寄り登録。結局「びっくり」が何だったかはわからなかった。ただ、どんな施設か気になったので今年の実走取材では寄ってみようと思う。 三島由紀夫文学館で獲得➡びっくりボーナスポイント 3pt/合計 8pt

自販機で購入したパンを食べながら、ツーリングマップルでプランニング

三島由紀夫文学館の駐車場で3pt獲得。しかし、ここに来るまでの道すがら含めて他の参加者の姿が見えない、、、う~ん?

【中央道を西へ、松本へ】


予定通り、東富士五湖道路から中央道へ進み松本を目指す。順調にいくと思いきや、富士吉田西桂スマートICの先で事故渋滞。完全に流れが止まってしまったが、それほど時間がかからずに何とか通過できた。 しかし、笹子トンネルを抜けると渋滞の表示が出ている。眠気が出てきたこともあって、釈迦堂PAでひと息入れることにした。 釈迦堂PAで獲得➡サービスエリア/パーキングエリア 1pt/合計 9pt 少し仮眠して、再出発すると渋滞表示は消えていた。さっきの表示は休憩させるために神が見せた幻だったのか? ただ、車の交通量は多い。もしかすると、安房峠の前後は大変なことになっているかも、と不安になってきた。 そんなことを忘れさせてくれるほど、天気は絶好調で、南アルプスから八ヶ岳までしっかりと見えた。双葉SAに入るが、立ち寄り登録と給油だけで済ませて、松本へ急ぐ。 双葉SAで獲得➡サービスエリア/パーキングエリア 1pt/合計 10pt

予想外の事故渋滞、止っていたのは5分ほどだったが、とても長く感じた

甲府盆地の入口にある釈迦堂PA。この日は遠くの山並みまではっきりくっきり

釈迦堂PAはラーメンの充実ぶりで有名なんです、ただ今回はおあずけ...

韮崎ICを過ぎると正面に八ヶ岳、やがて左に南アルプスの山並みが近づいてくる。そんな、ビューティフルな沿線風景は諏訪南IC付近まで続く

【トラブルも渋滞も無い、順調な走行が続く】


「天気はいいんだけど、風が強いなぁ」 走りながらそう感じていたけど、この時はまだ、あんな事態が起きるとはつゆ知らず。 その後は松本ICまでノンストップで走る。塩尻ICで降りて広域農道経由のルートも頭に浮かんだが、冒険をせずに予定通り進むことにした。 高速道路を降りて、いよいよ安房峠越えへ。ここから富山まではほぼ一本道でもし交通支障があって、迂回するとなると大きく遠回りになってしまう。交通がスムーズに流れていること、突発的な通行止が起きないことを願いながら、国道158号を走る。 しかし、想像よりも交通量は少なくて、立ち寄った道の駅「風穴の里」も、車よりもバイクのほうが多い雰囲気。名物の山賊焼とかゆっくり食べたかったが、結局おやきで軽い昼食。それでも、去年は時間がギリギリで休憩すらできなかったのだから、やはり制限時間の3時間の差は大きい。 獲得ポイントも12ポイントになって、単純にあと2箇所道の駅に立ち寄ればノルマはクリアだ。 道の駅「風穴の里」で獲得➡道の駅 2pt/合計 12pt

去年は舛木さんとはぐれてしまって休憩どころではなかった道の駅「風穴の里」。今年はひと休みできた。結局、ここのおやきが昼食に

巨大なアーチ式ダム「奈川渡ダム」の堤体の上を走る

【完走の条件を3つクリア、しかし予想しなかった事態が】


風穴の里を出てからも順調、交通もじつにスムーズだ。 道から見える、標高の高い山の山頂にはまだ白い雪が残る。その、山麓には瑞々しい新緑がまぶしい森。そのコントラストは5月ならではの素敵な光景だ。 「最高のバイク日和だ!」 しかし、風はさらに強くなってきた。渓谷を吹き抜けてくる風で橋の上では車体が左右に振られる。その度にミラーで後続の舛木さんの状況を確認して、 N:「風が強いけれど、大丈夫ですか?」 M:「大丈夫です~」 と、インカムでやりとりしながら進む。 安房峠道路を抜けて岐阜県へ。今年は料金場横で休憩はせずに次の道の駅を目指す。 道の駅「奥飛騨温泉郷上宝」で完走条件まで残り1ポイント。 道の駅「奥飛騨温泉郷上宝」で獲得➡道の駅 2pt/合計 14pt そして道の駅「スカイドーム神岡」でついに15pt達成。あとは日没までにゴールするのみだ。残りの距離と時間を考えるとそれもほぼ間違いないと確信した。 道の駅「スカイドーム神岡」で獲得➡道の駅 2pt/合計 16pt 「やったー、後は制限時間内でゴールするだけだー」 と、喜びながら、でも去年の反省から、念のためにSNSなどでSSTR関係の最新情報を確認することにした。 すると「強風のためなぎさドライブウェイが一部通行止。ゴール地点などの変更あり」の情報に気づく。 SSTR本部からのメールをチェックすると、確かに案内が届いていた。なぎさドライブウェイは通行止で、千里浜ICから約1kmだけ走れるようだ。ただ、全線を走ってウイニングランはできない。 「え、それを楽しみに頑張って走っているのにー!?」 思わずがっくりきたが、とにかく制限時間内に千里浜へゴールしよう。 道の駅「スカイドーム神岡」からの残りは約130km。さぁ日の入時刻までに千里浜へ到着できるのだろうか。 後編に乞うご期待!

去年はまったく余裕が無い状況だった安房峠道路の平湯料金所。今年はまだまだ余裕あり

「飛騨牛まん」がとても気になった、道の駅「奥飛騨温泉郷上宝」。次回は食べてみたい...

道の駅「スカイドーム神岡」に到着。去年は岐阜県の道の駅はすべて通過だったが、今年は立ち寄る余裕あり

スタートから約10時間、ここで獲得ポイントの合計が16ptに。びっくりポイントに寄って3pt獲得は正解だった

【当日の様子は動画も配信中】


youtubeでは、舛木さんはあの時何を思いながら走っていたのか、心のつぶやきを動画で配信中。ぜひこちらでチェックしてみてください

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