2023.03.09

【ツーリングマップル中部北陸2023年度版】取材車両インプレッション~BMW R 1250 GS Adventure~

ツーリングマップル中部北陸2023年度版(2023年3月16日発売)の表紙撮影&実走取材で使用した車両を紹介します。 ※掲載の情報は2023年2月現在のものです ※画像の車両は2022年モデルです

著・内田一成・フィネス/撮影・盛長幸夫

 


1.車両インプレッション 2.仕様・価格など

※メーカー公式サイト、取材担当者による取材で使用したグッズのインプレッションは下記リンクからどうぞ▶

1.車両インプレッション


ボクサーツインのGSは、個人的にとても馴染みのあるバイクだ。かつてR1150GSとR1200GS ADVを乗り継いで、10万キロ以上を走った。 また、1980年代半ばにBAJA1000を走ったときは、BMWワークスからはガストン・ライエ、エディ・ハウ組がライドするR100GSのレーサーの走りを間近に見た(このときのぼくのマシンはヤマハのTT600だった)。

使用車両はブラック&イエローが懐かしく、スタイリッシュな40周年のアニバーサリーモデル。リアケースはメーカーオプション

筆者は身長178cm、体重78kg。シートポジションはハイに設定。ハイポジションだと膝の屈曲が少なく、長時間のライディングでも疲れが少ないからだ

全体的にボリューミーだが、跨ってみるとタンクの絞り込みなどが絶妙でコントローラブルだ

今回ライドしたブランニューのR1250GSが、従来のR1150GSやR1200GSともっとも違うのはBMWシフトカムを装備したことだろう。旧モデルのときに顕著だったのは、高回転の伸びが重視されたエンジンの極低速でのトルクが不足することで、急坂の登りの発進やタイトなUターンのときなど、意識して回転を上げて半クラッチを使わないとストールしそうになったのが、このシステムではバルブを絞って低速トルクを稼ぐことで、神経質にならずにごく普通の操作で極低速での動きがスムーズになった。それだけでも、ライダーが感じるストレスはかなり違う。

可変バルブ機構のBMWシフトカム装備のエンジンは極低速のトルクがあって、Uターンなどでも安心だ

フロントがテレレバーでリアがパラレバーというサスペンション構成は、相変わらずこのシリーズの乗り心地と超長距離でも疲れを知らない性能のベースになっている。ブレーキング時のノーズダイブや急加速時のピッチングを抑え込み、重量車でありながらフロントの動きがとても軽いのは、このサスペンションのおかげだ。

BMW独自のテレレバーシステムのサスペンション

今回は、前半がR1250GS ADVで後半がR1250GSだったために、両者の違いが感じられて面白かった。どちらも走行モードは、ダイナミック、ロード、レイン、エンデューロ、エンデューロプロの五つが設定されている。このうち、普通に使うのはロードモードだが、ADVは、ロードモードでリアの動きがかなりソフトに感じられて、コーナー進入時など、フロントは踏ん張っているのに、リアが抜けそうで少し節度感がない気がした。ただ、ダイナミックモードに切り替えるとそういうネガな部分は消えて、普通にスポーティな走りが楽しめた。

ドライブモードの切り替えなどファンクション操作の大部分は左側に集中。一部、設定方法をとまどった機能もあった(笑)

ADVではないノーマルのほうでは、そういうクセはなくてロードモードでは前後がバランスよくソフトで、ダイナミックモードでは前後がハードめになる。恐らくこのあたりの違いは、ビッグタンクやプロテクター類でかなりフロントヘビーなADVに、ノーマルのセッティングを踏襲しているためだろう。タンデムではリアに荷重がかかるので、アンバランスなネガは消えた。 また、ノーマルと比べると、かなり重量感があって、流石にエンデューロプロモードにしてリアを滑らせようという気分にはならなかったが、ノーマルだとそれが気軽にできる。

スロットル側はいたってシンプル。昔からのGS乗りとしては、ウインカースイッチが左右別だった頃が懐かしい

ノーマルのGSからアドベンチャーに乗り換えた友人がいるので、どうしてかと聞いたら、 「給油タイミングが全然違うからね。ノーマルだと300kmを越えると、そろそろ給油を考えるけど、アドベンチャーは500km越えてもまだ余裕だから、一日、給油のことは考えなくていいんだよ」 と答えが帰ってきた。たしかに、1回の給油でそれだけの長距離を走行できるアドベンチャーはツーリングバイクとしてはストレスレスな無敵のモデルだろう。

ダイヤルで高さを可変できるシールドは、走行環境に合わせてアジャストできてとても快適

TFT液晶ディスプレイのメーターパネルはとても見やすくモード設定など瞬時に確認できる

燃料タンクの容量は30L。燃料の残量を気にしながら走ることは無かった

オプションで用意されているアドベンチャー専用パニアケースは容量もたっぷり。はみ出しもミニマムですり抜けでもさほど気を使わずにすむ

2.仕様・価格など


可変カムシャフトコントロールシステム搭載の水平対向ボクサーエンジン搭載のアドベンチャーモデル。シートヒーターや大容量の燃料タンクなど、快適なロングライディングをサポートする装備が充実。 メーカー希望小売価格=260万3000 円〜 全長2190mm×全幅980mm×全高1530mm/シート高825mm/845mm/車両重量278kg 総排気量=1254cc 燃料タンク容量=30L 最高出力=100kW(136PS)/7750rpm

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